『桃色タイフーン』インタビュー

春奈るなが明かす、楽曲の表現を広げるテクニック「歌詞を朗読することで自分の言葉に組み替わる」

 春奈るなが、8月22日にシングル『桃色タイフーン』をリリースした。配信のみで発表された前作「JUSTICE」のロックサウンドから一転し、キュートでポップな面を前面に打ち出した本作は、現在放送中のTVアニメ『ゆらぎ荘の幽奈さん』(TOKYO MXほか)のオープニング曲として、その名の通り日本中に早くも“桃色タイフーン”を巻き起こしている。今回のインタビューでは、本作の制作への向き合い方、さらに今後の展望について聞いた。(編集部)

春奈るな、「桃色タイフーン」に恋愛の真実を見る

——暑い日が続いてますけど、夏ってお好きですか?

春奈るな(以下、春奈):一番好きな季節が夏だし、満喫したいタイプですね。今年は行けてないんですけど、できる限りはプールに行ったり、花火大会に行ったりしてますし、水着も毎年買ってますし。

——じゃあ今回のシングルの表題曲「桃色タイフーン」みたいな世界観も……。

春奈:好きですね。夏祭りにもけっこう行くので、しっくりくるというか。

——ただ、春奈さんのディスコグラフィーを追ってみると、ここまで“かわいらしい”にパラメーターを振り切った曲も珍しいですよね。6月に配信リリースした前作「JUSTICE」はシリアスでハードなロックナンバーでしたし。

春奈:短期間のうちにすごい振り幅ですよね。衣装も黒1色からピンク1色と色味が真逆で。リスナーさんが混乱しないか、若干不安です(笑)。

——とはいえ、さすがというか「JUSTICE」も「桃色タイフーン」も見事にご自分のものにされている。

春奈:そういうギャップにだいぶ慣れてきたというか(笑)。この振り幅の大きさが自分の魅力の一つなのかな、という気はしています。

——聴かせるバラード「Startear」(2014年8月の6thシングル曲)のあとに、アッパーなブラスロック「君色シグナル」(2015年1月の7thシングル曲)をリリースなさったりしていましたしね。

春奈:そうなんですよね。でもそれぞれ違う曲調であっても、それをかみ砕いて理解していくことが好きなんです。以前は自分は楽しく歌ってるつもりだったのに、改めて聴いてみるとなんかそういうふうに聴こえなかったり、曲ごとの表現方法に悩んだりもしたんですけど、その頃から妄想というか(笑)、想像をすることが好きではあったというか。1曲1曲、歌詞を読み込んで「主人公はこういう女性かな?」「こういう少年かな?」ってイメージを膨らませながら歌うことは常に心がけています。例えばこれは今回に限らず、デビュー当時から毎回やっていることなんですけど、歌詞が届いたら絶対に一度は朗読してみたり。そうすることで歌詞が自分の言葉に組み替わるというか、歌詞に込められた感情がより自分の中に伝わってくるんです。

——「桃色タイフーン」の歌詞はどう読みました?

春奈:恋愛の真実を見たというか「恋愛ってこういうことだよな」という気がしました。

——〈ラブ・ヘクトパスカル〉、〈ハート・デストロイヤー〉とユニーク極まりない造語を連発する上に、〈キミ〉について〈大好き メガ好き 明日はもっと好き〉と明け透けに歌う、ご陽気なこの歌詞の中に恋愛の真実を見ましたか(笑)。

春奈:確かにすごい歌詞ではあるんですけど(笑)、こういう言葉で自分の気持ちを表現してしまえることって純粋だなと思っていて。この曲の主人公は打算や下心なんか持っていなくて、なんなら恋が叶わなくてもいいと思っている。「今、恋をしていること自体が幸せ」「好きな人のためにキレイになろうって思えていることが楽しい」っていうすごくプラスのイメージをもたらしてくれる子だったので、レコーディングのときには、いかにかわいらしい女の子像を抽出して歌うか、ということを考えていました。

——で、実際この曲の春奈さんのボーカルはすごくかわいらしいんですけど、具体的にはどうやって“かわいらしさ”を抽出しました?

春奈:もうめいっぱいぶりっ子しました(笑)。口角を上げて楽しげな感じを出しつつ、声色もかわいらしく変えて。あとこの楽曲がオープニングテーマになっている『ゆらぎ荘の幽奈さん』(TOKYO MXほか/以下、『幽奈さん』)のヒロインの幽奈さんの気持ちに寄り添うようにした感じですね。アニメのテーマソングなんだから当たり前のことではあるんですけど、幽奈さんとこの歌詞の主人公にはすごく重なるところがあると思っていて。幽奈さんはまさに「自分は幽霊で、恋した相手は人間。だから叶わないかもしれないけど、恋する気持ちがあれば幸せ」っていう女の子だったので、等身大の春奈るなではなくて、ある意味幽奈さんの気持ちになって歌ってみましたね。

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