宇多田ヒカル「パクチーの唄」のリワークも 多国籍バンド Superorganismのユニークさに迫る

 これまで何度か取り上げてきた、世界レベルでのアジア文化のプレゼンス向上というアイデンティティポリティクス的な潮流とともに考えるべき問題があるとすれば、異なる人びとのあいだの協働、共生の可能性だ。その点で、Superorganismは、バンドのあり様そのものが、多様な個人を束ねる協働のひとつのロールモデルであり、彼らの音楽はそうした理想が結晶化したものだと言える。

 自分たちの名前を関した楽曲「SPRORGNSM」のなかで、彼らはこう語る。

「スーパーオーガニズムは生き物です。たくさんのいろんな人たちで構成された、技術的なシステムの賜物です。あなたは私、そして私はあなた。私たちはひとつの加工システムのなかに一緒に結び付けられています。私たちはみんな、素晴らしいスーパーオー……」

 Superorganismの楽天的なサウンドやシニカルな歌詞の向こうには、多様性と共生のモデルとして自分たちを位置づける、やわらかな政治的スタンスの表明が隠されている。彼らは自らそうしたモデルを実践し、また作品のなかでユートピア的なポップミュージックの世界と私たちの日常を接続することで、それが単なる夢物語ではないことを実演しているのだ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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