中居正広、“ピン”の活動ににじみ出たSMAP魂 『行列』から『CDTV』まで直近の司会を振り返る
事務所の後輩であるKinKi Kidsには、嬉しそうな表情で「お久しぶりです」と堂本光一にぐっと距離をつめて迎えた。KinKi Kidsの二人が中居をデビュー前からお世話になっていると紹介すると照れた様子でやんわり否定。「忘れますよそんな過去のことなんて。何かありましたっけ」とボケてみせたり、デビュー前のユニット名・KANZAI BOYAをネタに「なんで変えちゃったんですか? ずっと坊やでいられるんだよ」とツッコミを入れてみたり。反対に光一から「あの時はSMAPでよかったって思ってたでしょ? 名前」と振られると、「そりゃそうでしょ。KANZAI BOYA、SMAP坊や、冗談じゃないよ(笑)」と照れた様子。ここまでKinKi Kidsをいじれる司会者も、反対に中居をいじれるアーティストもいないだろう。
昨年デビュー20周年を迎えたKinKi Kidsに、あえて「知らない人もいるから」と「堂本剛、堂本光一、兄弟じゃないんですよね」という堂々たる中居のボケに「え、いま?」とツッコむ二人。さらに「剛、耳大丈夫なの?」と、ファンであれば心配になる部分も、切り込んでいた。相手を気遣いながら、ファンにも情報を伝えてくれる。長年の付き合いもあるが、これも中居だからこそのやりとりだろう。アーティストの特別な事情について、絶妙な加減で触れることでファンも安堵するのではないか。司会としてファンとアーティストをつなげる役目をしっかり果たしていた。
一方Kis-My-Ft2が登場すると「今日は誰が歌っているの?」と舞祭組のメンバーに声をかけた中居。6年ほど前から音楽番組で共演するたびに、北山宏光、玉森裕太、藤ヶ谷太輔とその後ろに立つ44の格差を気にかけ、「早く後ろの4人が同じ衣装を着れるといいですね」と声をかけていた。その後、中居がプロデュースを買って出て、ユニットとして成長していく彼らを見届ける眼差しは父親のようだった。
25年間の総合ランキングは、50位のSMAP「らいおんハート」からはじまった。VTRにはスタンドマイクに手を添えて歌う20年ほどまえの中居の姿。画面が会場に戻っても司会者として立つ中居の姿があった。司会者でありアイドルである、ファンとしては中居の歴史を感じる番組でもあった。
その後も90年代からのヒットソングが並ぶ中で、1位には「世界に一つだけの花」がランクイン。当時のSMAPの映像が放送された。『CDTV』に限らずだが、制作スタッフ陣からの応援の気持ちが込められているのではないかと深読みせずにはいられなかった。
「Sports Music Assemble People」の頭文字を語源とするSMAP。中居の仕事は「音楽」と「スポーツ」がキーワードのように存在し、「ピンで活動してます」としながらもどこかSMAP魂を感じた。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。