『GRACE UNDER PRESSURE』インタビュー

SAが新作で表現した、バンドの“気品”「窮地に陥ったときでもニヒルに笑える男でいたい」

 「気品を持って余裕を見せたいよね」(TAISEI)

ーーそんな“大人げなさ”とは対極にあるような、硬派なSAパンクの真骨頂「NEVER END」があったり。

TAISEI:「NEVER END」は、パンクロックで始まったSAだから、本物のパンクを作ろうと。何年もパンクを掲げてやってきたら、誰でもパンクロックっぽいものはできるのよ。だけど、僕らがドキドキしたあの時代の、あの音で、っていうさ。そこを意識したね。だから非常に乱暴なレコーディングだったよね。ギターがバッキングだけで4本入ってたり、ドラムがポコポコの音だったりとか。80年代のイギリスの、ヘタクソなんだけど味があるっていう、あの匂い。

ーー先ほど、「ライブからの流れ」「セッションっぽく」という話が出ましたが、そういったライブバンドらしい生々しいサウンドが感じられる楽曲ですよね。

TAISEI:これはレコーディングの技術的なところでね。今回、アナログに落とす作業をしたんだ。今はデジタルのレコーディングでね、リズムトラックを録って、ギターを重ねて、歌を録って、コーラスを入れて……、というやり方なんだけど。今回はリズムを録ったら、一回アナログテープに落として、そこからまたデジタルに戻して、ギターを録ったんだよね。それで、最後のトラックダウンの作業を終えたら、もう一度アナログに落としてから、マスタリングへ、という作業をね。だから音像的にはアナログのあたたかみ、昔レコード針を落として聴いていた音に近づけるような。実は、インディーの頃にもやったことがあったんだけど、そのときは、わからなかったんだよ。アナログに落とす意味が。

ーー若い頃にはわからなかったことだけど、あらためてサウンドを追求していく上で導いた答えがそこだったと。

TAISEI:「なんで、あの好きな音にならないのかなぁ」とは思ってたから。今回、ずっと一緒にやってきたエンジニアとの話で、「アナログに落としてみよう」というアイデアが出てね。最初はおっかなびっくりだった。自分が言い出したことなんだけど「本当に成功すっかな?」って。でも、結果としていい感じになったし、やっぱ、こういう音が好きなんだなと思ったし。「MY ONLY LONELY WAR」も入ってるけど、シングル盤と聴き比べると面白いよ。全然変わってる。

NAOKI:ボトムがシマるんよね、ぶっとい! 本来同じはずなのに、アナログ通しただけでこれだけ変わるからね。音がグッと前に出てくるというか、立体的になるんだよね。

ーー「MORE MORE MORE」は、「NEVER END」とはまた違うテイストのアグレッシブなパンクナンバーですよね。

NAOKI:これはギャリンギャリンの音で暴力的に演ったんだけど、そしたらベースがもっと暴力的になって来てさ、タイコも暴力的で、歌も暴力的で、アウトレイジみたいな(笑)。

TAISEI:こういうサウンドが、僕らが聴いてきたパンクロックのカッコよさだと思うし、あの頃をリアルタイムで聴いてた僕らだからこそできるパンクロックなんだとも思うね。後追いじゃなくて、体感してきた音だから。「ジャパニーズパンクって、こういう感じだよ」っていう、なんかカミソリっぽいっていうかさ。音自体がガーッとしてるんじゃなくて、持ってるもの自体がブン殴ってくるみたいな。

NAOKI:あのビート感って独自なもんだよね。だから、とくにSHOHEI(Dr)はつらかったと思うよ(笑)。

TAISEI:今回プリプロ、1日で録ったのよ、12曲。で、一番最後に録ったのがこの曲でさ。もうね、叩けないんだよ(笑)。ちょっとヨレてたり、走ったりとかさ。でもそういうスリリングさ、その感じがまた、僕らの好きだったパンクだったりするわけよ。そこはすごく意識した。

ーーライブ感のあるリアルなグルーヴですね。

TAISEI:「KEEP THE FLAG FLYING」も最初はアタマの部分なかったんだけど。NAOKIちゃんが作ってきて、いきなり合唱で<KEEP!THE FLAG!FLYING!>って、「これ、聴け!」って感じで始まる、みたいな。

NAOKI:アルバム一発目、いきなり声から出てくるって勢いつくよね。

TAISEI:で、フロア(タム)じゃん。ドドダダ、ドドダダ、って。パンクロックってフロアが命だと思ってるから。フロアビート。若いヤツには出せないね、この感じ。

NAOKI:洗練されたビートしか知らない世代には難しいやろねぇ。

ーー濃厚な12曲が詰まってるんだけど、それでいて流れがよくて聴きやすくて、絶妙なアルバムだと思いました。

NAOKI:曲間もいいでしょ? 今回、TAISEIが書いた曲とオレが書いた曲がイーブンな感じで、TAISEIの書く抒情的なメロディの部分と、オレの書くロックンロールのC調なバランスがすげーよくて、どっちも際立たせてる効果を持ってる気がしてるんですよ。そこに乱暴なアウトレイジが2曲入ってるでしょ(笑)? これも、いいバランスでね。散々泣かした後にアウトレイジが出て来る。

TASEI:めちゃくちゃだよな。情緒不安定(笑)。

NAOKI:曲のバリエーションが豊富にあるわけじゃないんだけど、いいピースが揃ってる。SAが本来やって来た曲ばっかりだし。

TASEI:このご時世、プレイリストだ、シャッフルだ、音楽の聴き方もいろいろあるだろうけど。“アルバム通しての世代”ならではのもの、というさ、そういうことは意識して行きたいよね。

ーージャケット写真もアーティスト写真もここまでキメられる日本のバンドはSA以外にいないだろうな、というくらいカッコいいです。

NAOKI:いいねぇ。カッコええねぇ、カッコええ4人組やね。

TAISEI:アー写はわざとちょっとブレてる写真を選んでね、ここもアナログ感というか。昔の洋楽のレコードを裏返したときの写真って、そんなにバシッとは写ってないんだよね。あの感じにしたくてね。

ーーThe WhoやThe Jamの往年のアルバムと並べたくなります。

TASEI:そこは意識したよね、The Rolling Stonesとかね。

ーーライブ映えしそうな楽曲ばかりですが、4月から始まるツアーはどんな感じになりそうですか?

TASEI:もう1回ギラギラで行きたいな、というのはあるね。でも、笑うとこは笑いたいし。強くて、あったかくて、優しいSAを見せられたらいいね。そして、気品を持って余裕を見せたいよね、ギラギラだけど余裕。

(取材・文=冬将軍)

SA『GRACE UNDER PRESSURE』

■リリース情報
SA ニューアルバム『GRACE UNDER PRESSURE』
発売日:3月21日(水・祝)            
価格:【通常盤】3,000円+税
【初回限定盤】4,000円+税/CD+DVD

<CD収録曲>
01. KEEP THE FLAG FLYING
02. 攻めでゆけ!
03. MY ONLY LONELY WAR
04. I SAW THE LIGHT 
05. 赤い光の中へ
06. MORE MORE MORE
07. hi-lite BLUE
08. BABY SMILEY
09. フォーエバーキッズ
10. Starting Today
11. NEVER END
12. 吠えたい雨    

<DVD収録曲>※初回限定盤のみ
『SA presents GOSH YOU GIG!!2017-BACK TO 1984,DRIVE TO 2018-』 
01. CONFOUND IT
02. ONE TWO
03. ALL BOYS SAY
04. MERRY STAR
05. RAISE YOUR HANDS
06. CHAIN
07. GET UP! WARRIORS
08. KIDZ IGNITE
09. MY ONLY LONELY WAR
10. I GET POSITION
11. WORKING MAN
12. runnin' BUMPY WAY
13. さらば夜明けのSkyline
14. (GOOD BYE)SHINING FIELDS
15. サマーホリディズスカイ
16. NOTHINGNESS
17. 青春に捧ぐ part.2
18. SONG FOR THE LOSER
19. START ALL OVER AGAIN!
20. YOUTH ON YOUR FEET
21. SA(BAD TIME)
22. NAUGHTY BOYS
23. DON'T DENY,GIVE IT A TRY!!
24. DELIGHT

■イベント情報
『SA New Album『GRACE UNDER PRESSURE』発売記念 トーク&5ショット撮影会』
日程:3月22日(木)
時間:集合18:30/開演19:00
会場:タワーレコード新宿店 7F イベントスペース
集合:タワーレコード新宿店 7F エレベーター横階段
内容:トーク&5ショット撮影会
詳細は、レーベルサイトにて。

■ツアー情報
全国ツアー『GRACE UNDER PRESSURE TOUR 2018』
4月12日(木)千葉LOOK
開場19:00/開演19:30
4月19日(木)郡山#9
開場19:00/開演19:30
4月21日(土)盛岡the five morioka
開場18:00/開演18:30
4月22日(日)仙台MACANA
開場17:30/開演18:00
4月28日(土)高松DIME
開場18:00/開演18:30
4月30日(月・祝)広島BACK BEAT
開場17:30/開演18:00
5月2日(水)岡山ペパーランド
開場18:30/開演19:00
5月4日(金・祝)松阪M’AXA
開場18:00/開演18:30
5月12日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
開場18:00/開演18:30
5月13日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
開場17:30/開演18:00
5月18日(金)札幌COLONY
開場19:00/開演19:30
5月25日(金)金沢VANVAN V4
開場19:00/開演19:30
5月27日(日)名古屋CLUB QUATTRO
開場17:00/開演18:00
6月1日(金)梅田Shangri-La
開場19:00/開演19:30
6月3日(日)福岡Queblick
開場17:30/開演18:00
6月9日(土)マイナビBLITZ 赤坂
開場17:15/開演18:00
チケット:前売3,800円(税込み・ドリンク代別)/当日4,300円(税込み・ドリンク代別)

■関連リンク
SA オフィシャルサイト
SA レーベルサイト

関連記事