吉本坂46、ラストアイドル、22/7……様々な要素を掛け合わせる秋元康のプロデュース術を読む

 2月21日、秋元康と吉本興業によるアイドルユニットプロジェクト・吉本坂46の始動が発表された。吉本坂46は、乃木坂46、欅坂46に続く、坂道シリーズの第3弾。よしもと所属タレント約6,000名を対象に参加希望者を募り、オーディションでメンバーを選出。芸歴および男女は不問、「コント感、ゆるいバラエティ感、一切不要のアイドルユニット」として、東京ドーム公演、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出演を目標としていくという。

 2005年12月にスタートしたAKB48は、今年で結成から13年が経つ。AKB48グループとして日本各地に姉妹グループ(SKE48、NMB48、HKT48、NGT48、STU48)を、国外にもJKT48、BNK48を展開し、他にもTPE48、MNL48、MUM48が現在進行中だ。同じく、秋元康のプロデュースとして2011年8月にスタートしたのが乃木坂46。続く、坂道シリーズの第2弾として2015年8月には、欅坂46が誕生。過去に秋元康はインタビューの中で、AKB48を高校の華やかな芸能コース、乃木坂46をファッションや音楽の専門学校、欅坂46を等身大の普通科とし、AKB48が築いた礎の元でそれぞれのグループが成長していったと話している(参照:秋元康が明かす 欅坂46と乃木坂46が向かう先(NIKKEI STYLE) )。方向性、グループの特徴に違った色を持たせることで、世間を飽きさせない秋元の手法が見える。

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 他にも秋元康は、2016年10月に22/7、2017年8月にラストアイドル、同月に劇団4ドル50セントとコンスタントにプロジェクトを立ち上げている。まず、22/7は「声優からアイドルを作る」という秋元が初の試みに挑んだデジタル声優アイドル。デビュー曲「僕は存在していなかった」のMVでは、彼女たちが演じるキャラクター8人の動きがモーションキャプチャを用いて収録されている。ライブは宮沢賢治『よだかの星』など朗読を披露するのが特徴だ。2月27日には、ディファ有明でのイベントも決定している。オーディション番組『ラストアイドル』(テレビ朝日系)から生まれたラストアイドルは、「プロアマ問わず、兼任可能」「1対1のパフォーマンスバトル」というルールのもと、確定メンバーとして勝ち残った7名がラストアイドルとしてデビュー。バトルの挑戦者を中心とした4つのセカンドユニットも生まれ、ラストアイドルファミリーとして新たな勢力となっている。2ndシーズンでは秋元以外に小室哲哉、織田哲郎、指原莉乃、つんく♂をプロデューサーに迎えたバトルを展開中だ。最後に、演劇や歌、ダンスを中心とした劇団4ドル50セントは、「9割、演技経験ゼロ」を特徴とし、先日旗揚げ公演『新しき国』を終えたばかり。各個人がドラマや映像作品へと着実に出演を果たしている。

 吉本坂46を「お笑い」とすれば、22/7は「アニメ」、ラストアイドルを「バラエティ」(TVで展開するオーディションバトル)、劇団4ドル50セントを「舞台」とカテゴライズすることができ、秋元がアイドルという大きなジャンルの中で、様々な方面に手を伸ばしていることが分かる。1985年に誕生したおニャン子クラブから続く、秋元のアイドルプロデュースに対する探究心はまだまだ枯れることはなさそうだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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