菅田将暉の歌にある新しい可能性ーー『関ジャム』いしわたり淳治の発言から考える

 いしわたりの指摘通り、かつては西田敏行や舘ひろしなど、俳優活動と歌手活動を並行していた人も少なくなかった。もちろん、皆が皆“シンガーを演じるように歌う”のではつまらないが、“自己表現の音楽”だけでも新鮮味がなくなってしまう。そんな中で、“役を演じるプロ”である菅田は芝居をしながらも、彼だけの歌を魅力的に歌い上げている。佇まいも美しく、見せ方も上手い。どうしようもなく、惹きつけられる。いわば、与えられた歌を自分だけの歌として消化しているのだ。だからこそ彼の歌には、独特な力強さと色気があり、不思議と心をギュッと鷲掴まれるのだろう。

 現代の音楽シーンにとって、彼の存在は良い意味で異質であり、唯一無二だ。現に、蔦谷が「圧倒的な1位」と評した米津玄師「灰色と青(+菅田将暉)」では、米津に「どうしてもやりたいと無理を言いました。この曲は菅田くんでなければ絶対に成立しないと思ったからです」と言わせている。菅田将暉の歌には、現代の音楽シーンに革命を起こすような“新しい可能性”が詰まっているのかもしれない。

(文=戸塚安友奈)

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