シングル『Time Has Gone』インタビュー

w-inds.に訊く、“充実”を迎えたグループの現在地「『僕たち自身が音楽を表現している』ことが一番の舵」

ボーカルドロップのサビにしたことで100%で踊れる

――今回の「Time Has Gone」はどんな風に作りはじめたんですか?

慶太:「We Don't Need To Talk Anymore」を作った時はまだメジャーシーンではそれほどフューチャーベースは流行っていなかったと思いますけど、リリースした頃からぐんぐん流行りはじめて、余計にフューチャーベースが作りたくなりました。それに、『We Don't Need To Talk Anymore』と『INVISIBLE』で僕らの音楽を聴いてくれる人が広がったのもすごく感じていたので、その延長線上にあるようなものをもう1曲作りたいと思って。この曲のデモは結構サラっと、機械のように作りました(笑)。

龍一:打ち合わせから2日ぐらいで最初のデモが上がってきて驚きました(笑)。しかも、最初のデモと完成形とを比べても印象がほぼ一緒で、最初からクオリティがすごく高かったんです。曲の世界観も、空気感もすごいと思いました。悲しさがあって、でも同時に浮遊感もあって……。シンプルだけど、一つひとつの音の響き方もすごく考えられていて。

慶太:音の一つひとつも死ぬほど考えまくっていて、「どうやったらこの曲の悲しさが伝わるかな」と、フィルターのかけ方や音のレイヤーの仕方をかなり工夫しました。たとえば、ベースのレイヤーだと、サブベースは一番下の70以下のものを作って、その上のベースライン、アタックのライン……と、合計3本のレイヤーを重ねていて。そこから余分なところを削っていきました。シンセも同じようなやり方で、3本レイヤーを作ったりしていますね。それに、サイドチェイン(コンプレッサーの一種で音量を調節してうねりを出す効果がある)が重要なので、カットアップも使いながらベースやシンセのうねりを出して、浮遊感を作っていきました。

――フューチャーベースはテクノ/ハウス・マナーの音楽とは違って、揺らぐシンセや規則的ではないビートも特徴的なので、うねりは大事ですよね。また、ボーカルドロップも細かくピッチがコントロールされていて、それが悲しい雰囲気を増幅させています。

慶太:今ってDAWも優秀なんで、タイミングをバンバン合わせると、あまりに機械っぽくなってしまうんです。だから、それをわざとズラすことで声ネタにも人間味のある、心に響く「歌心」が生まれると思って工夫したところですね。

――そしてパフォーマンス時には、ボーカルドロップで3人が揃って踊るパートが、曲の重要な見せ場になっているように思います。

龍一:この曲の“武器”ですよね。

慶太:僕はリードボーカルを取ることもあって、今までサビでは100%の力で踊れたことがなかったんですよ。でも、ボーカルドロップを入れて、初めてそれができるようになりました。これは本当に嬉しくて、今まで僕のことを「ボーカルだから(ダンスは上手くないよ)ね……」と思っていた人たちにも存分にダンスをアピールできます(笑)。僕は被害妄想が激しいんですよ(笑)。でも本当に、ドロップで踊るというのはメリハリがついていいですよね。

涼平:独特の空気感になるよね。お客さんがそれに対してワーッ! となるわけではなくて、注目して観てくれているような感じで。

慶太:あれは本当に不思議な感覚だよね。EDMはドロップでワーッと盛り上がりますけど、フューチャーベースやディープハウスのドロップで踊ると、すごく新しい空間になると思いました。過去に感じたことのないような経験をここ1年でさせてもらっていますね。

――揺らぐシンセに乗って踊るというのは、難しくないですか?

慶太:リズムを全部シンセで取っているわけではなくて、スネアを取る瞬間もあれば、キックを取る瞬間もあれば、シンセやメロディを取る瞬間もあるので。その辺りはそんなに気にしていなかったです。でも確かに、そもそも振りが難しくなったというのはあります。今回はより新しいジャンルの曲で、kooouyaという19歳のダンサーに振りを付けてもらったので、これまで自分たちがやったことがないような部分では難しいと思うこともあったので。僕はこの曲のMVでひとつ思い出があるんですけど、撮影直前まで僕は黒髪だったものの、今回はモノクロの映像を撮るということで、「金髪にしよう!」と前日の夜中12時くらいにふと思ったんです。それですぐに美容師さんに連絡して、翌朝金色に染めて撮影現場に向かったら、みんなが「えっ、昨日黒かったじゃん!」って(笑)。「このMVはきっとこっちの方が映えるから、俺を信じてくれ」と言って撮影に臨みました。

涼平:MVを撮っている時、僕はちょうど舞台の期間中で、振り入れ日も1日しかなくて、MV撮影も舞台の空き日だったんですけど、そんなタイミングだったのに振りがめちゃくちゃ難しくて(笑)。もちろんかっこいいんですけど、馴染むまでは大変でした。

慶太:「We Don't Need To Talk Anymore」のときに「w-inds.史上一番難しい振り」だと言っちゃいましたけど、実は「Time Has Gone」の方が振りは難しいんです。ただ、どんどん難易度が上がっていくものだからいちいち言うのも嘘っぽいので、今回はそれは言わずに難しい振りをやってます。実際は僕らも泣きたいぐらいだし、ダンサーも泣いてます(笑)。

w-inds.「Time Has Gone」 MV

関連記事