フォーリミ主催『YON FES』が浮き彫りにした、ロックシーンの今

 そして、今フェスで感じたのは、今の日本のロックシーンに、04 Limited Sazabysがどれほど影響を与えているのか、ということ。出演者のステージからは、彼らが後輩として、そして先輩として、バンド仲間の間でどういう存在であるのかが明らかになっていた。

フレデリック(Photo by ヤオタケシ)

 フレデリックは04 Limited Sazabysとの共演経験も多く、2日目に出演したバンドのなかでは、唯一の後輩バンド。ライブ中、三原康司(Ba)は「俺たちフレデリックにさ、いつでもいつでもさ、今日は良かった、今日は違んかったって正直に言ってくれるんやで。こんなに純粋な先輩おるか」と熱心に伝えていた。後輩たちから見て、04 Limited Sazabysは単に憧れの存在なのではなく、彼らを鼓舞してくれる存在なのだ。

NAMBA69(Photo by Yukihide JON... Takimoto)

 また、先輩であるNAMBA69の難波章浩(Vo/Ba)は「こんなにすげー環境、こんなにいい天気でこんなチャンスを与えてくれて感謝してます」と発言していた。同フェスに訪れたファンは若者が多く、04 Limited Sazabysから上の世代のバンドのライブを観たのは、初めての人も多かったかもしれない。筆者が見たNAMBA69も東京スカパラダイスオーケストラのステージも、自分たちのライブのスタイルをどこまでも貫き、その音楽に自然と惹き寄せられている人がたくさんいたように感じた。

KOUHEI(Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)) HIROKAZ(Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography))

 GENの「バンド夢ありますね! 俺たち特に特別なものは持ってないですけど、仲間に恵まれてて、みなさんのおかげで輝けてます」という言葉からは、この日のイベントが彼らを中心とした出会いと、信頼で成り立ったフェスであることを強く感じさせた。アンコールでGENは「僕が高校生の頃初めてベースを持って、初めて人前で演奏した曲をやらせてください」とHi-STANDARDのカバー「My First Kiss」を披露。出演者がステージに上がり、途中、難波章浩がマイクを持った。最後に披露した「swim」を演奏する前に「日本のロックシーンに光が指しますように。名古屋の04 Limited Sazabysでした」という言葉が、未だにとても強く響いている。彼らはインタビューで「僕らは去年名古屋を出て上京したんですけど、『YON FES』という居場所、帰る場所を作れたと思ってるんですね」(ナタリー)と答えていた。バンドがどんなに大きくなり、日本各地や海外、どこでライブをしていても、彼らがスタート地点である“名古屋”を掲げていく姿勢が、バンドの強い軸になっているようだ。

GEN(Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)) RYU-TA(Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography))

 コラボステージや、出演バンドが04 Limited Sazabysへの想いを語る姿から、普段はステージ裏でしか見えないバンド間の交流や、それぞれが刺激を与えながら今の音楽シーンを動かしていることが明らかになっていた今年の『YON FES』。集合写真の真ん中に写る彼らの姿こそ、04 Limited Sazabysが今、ロックシーンの中心にいることを表している。

(Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography))

(文=大和田茉椰/サムネイル・メイン写真=Viola Kam (V'z Twinkle Photography))

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