あっこゴリラ自主企画イベント『ドンキーコング2.5』
あっこゴリラは正真正銘のB-BOY!? 永原真夏、STUTSらも花添えた自主企画レポ
2017年2月16日恵比寿BATICAにて、あっこゴリラの自主企画イベント『ドンキーコング2.5』が開催された。
あっこゴリラはこれまでに『ドンキーコング』のVol.1、Vol.2を渋谷Gladで開催してきた。実はあたしもVol.2を見に行ったことがあるが、OMSBやKMCが出演するなんとも豪華なイベントだった。昨年は念願のアフリカロケを果たし、渋谷WWWでワンマンライブも開催したあっこゴリラ。1月には女子限定の『CINDERELLA MC BATTLE』で見事に優勝を果たし、さらなる躍進を続けている。
今回のステージに花を添えるのはPARKGOLF、KMC、STUTS。スペシャルゲストとしてSEBASTIAN Xの永原真夏が参加した。あっこゴリラがリスペクトを送るアーティスト達とのコラボだ。その華やかなステージをひと目見ようと客が訪れ、オープンの時点でBATICAの前には入場待ちの列ができるほどだった。あたしも並んでいたんだけれど、たまたま外に出ていたKMCが「おおお! かなえちゃーん!」と話しかけてきたので少しだけ話をした。ライブも準備万端な様子だったので期待が募る。
舞台はPARKGOLFのDJで幕を開ける。これまでにトラックメーカーとしてDAOKOの「水星」などを手掛けたPARKGOLFがエッジの効いたエレクトロニカサウンドを選曲。すでにフロアは混み始め、観客がそれぞれに踊っていた。ついついお酒も進んでしまう。
そのままKMCがPARKGOLFをバックDJに従えてライブをスタート。過去の『ドンキーコング』全てに出演という快挙を成し遂げるKMCは、今回の目玉アーティストでもある。STUTSが制作した「KING」や「東京WALKING」「HIPHOPが好き」などを熱唱。曲の合間に「あっこゴリラは昔はラップが上手いことだけが取り柄だったけど、あれからちゃんとHIPHOPを学んで今じゃ立派なB-BOYだ!」と言うので、あたしが「B-GIRL!」と突っ込みを入れると、KMCは「あいつは正真正銘のB-BOYだ!」と煽り、観客を大いに盛り上げた。そして他のライブ出演を終えて駆け付けたSTUTSが登場し、2人で名曲「KMC&STUTS」を熱演。会場はますます盛り上がった。
そして遂にあっこゴリラの登場で、観客のテンションも最高潮に。あっこゴリラに魅了された男性ファンが前列に押し寄せる。そして女性ファンもそのあとに続く。シンデレラMCバトルでも印象的だった白のノースリーブにハーフパンツというあっこゴリラ独特のスタイル。白い肌に緑に染められた髪、スポーティーながらも溢れ出す色気。そしていきなり代表曲「TOKYO BANANA」を歌い上げる。疾走感のあるビートに巧みなラップスキル。ここは東京コンクリートジャングル、あっこゴリラが暴れだす。もうあっこゴリラのライブではお約束だが、歌いながら客席にバナナを投げ込んでオーディエンスを沸かす。あたしはバナナを受け取れなくて残念だったが、その場で食べてしまう観客もいて面白かった。
1stアルバム『TOKYO BANANA』からは「ハゲ」をピックアップ。続いて「ゴリラ夫妻」をあっこゴリラをサポートするJUNGLE BANDのカディオと一緒に熱唱した。昨年発売されたEP『Back to the Jungle』からも「Back to the Jungle」「シン・ゴリラ」「ドンキーコング」などを歌う。「遺書」ではバウンシーなビートに合わせてJungle Bandと息の合ったサークルダンスを披露し、あっこゴリラならではのパフォーマンスを繰り広げて観客を沸かせた。シンデレラMCバトルでの優勝を経て一回りも二回りも大きくなったあっこゴリラの姿がそこにはあった。
ここで一度、あっこゴリラからSTUTSにバトンタッチ。昨年末にリリースされた「夜を使い果たして」のヒットも記憶に新しいSTUTSがMPCを操り、アルバム『Pushin'』に収録された「Renaissance Beat」などを奏でる。両手を使ってMPCを叩く鮮やかな手捌きに観客が魅了される。そしてついに「夜を使い果たして」を演奏すると、盛り上がりはピークに達した。間髪を入れずに再びステージにKMCが登場し、STUTSのビートに乗せて「Rock the bells」を熱唱。迫力満点のライブに観客は圧倒されるばかりだ。
最後にトリを飾るのはあっこゴリラの新曲「黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS」だ。「アフリカで黄熱病のワクチン打ったときにインスパイアされてこの曲を作りました!」と彼女は言う。しかもサウンドプロデュースはSTUTS。「そしてアフリカでくじけそうになった時にこの人の歌で何度も励まされました。永原真夏さんです!」とSEBASTIAN Xの永原真夏を紹介した。本来、曲のサビを歌うのはあっこゴリラだが、『ドンキーコング2.5』のための特別編成でサビを永原真夏が歌う。
新曲「黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS」は曲名に反して軽快なディスコチューン。STUTSならではのキャッチーなトラックにあっこゴリラの高速ラップと軽快ながらもどこか哀愁のあるメロディがマッチする。ジャングル路線を残しながらも、これまでになかったあっこゴリラの新境地を切り開いたとあたしは感じた。永原真夏のダイナミックな声量も強烈なインパクトを残す。さらりと歌うあっこゴリラとは対照的に永原真夏の低く太い歌声がアクセントになり、この素晴らしいコラボにオーディエンスはただひたすら熱狂した。
約3時間と短い平日のイベントではあったが、大盛況のうちに『ドンキーコング2.5』は幕を閉じた。いやー、とっても楽しかった。そしてすっごく酔っぱらってしまったよ。BATICAっていう会場もあっこゴリラの存在を身近に感じられてとっても良かった。
現在、「黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS」は絶賛配信中。また、3月16日には同じく恵比寿BATICAであっこゴリラ主催の『ドンキーコング2.55』が開催される。出演はFUZIKO、そして椿。あのシンデレラMCバトルを沸かせたメンバーが再び集結する。ぜひ足を運んでみてほしい。
■鼎
日々HIP HOPの現場に乗り込んでるゲイライター。
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