デビューシングル『NAI NAI NAI』リリースインタビュー

Lily's Blowが目指す“男よりも男前な音楽” 「ゴリゴリのロックをやっている女の子が少ない」

 都内のライブハウスを中心に活動するシンガー、NANAのソロ・プロジェクトLily's Blowが、メジャーデビュー・シングル『NAI NAI NAI』をリリースする。表題曲は、コミックアプリcomicoで中高生から絶大な人気を誇るコミックが原作の映画、『傷だらけの悪魔』(原作:澄川ボルボックス)の主題歌。NANA本人も、「滝沢菜々」として映画本編に出演し、バンド演奏を披露している。「イジメ」をテーマにしたシリアスな作品世界とは対照的な、軽快なロックンロールがどのように使われているのかも気になるところだ。

 地元でバンドをメンバーとともに結成し、プロを目指すも一度は「解散」という挫折を経験し、それでも歌い続けてきた彼女。その情熱はどこから来るのだろか。昨年11月に20歳を迎えたばかりの彼女に、デビューまでの経緯や、プロデューサー近藤ひさしとの出会い、これからの抱負などを訊いた。(黒田隆憲)

気持ちを誤魔化してバンドを続けていくのも違う

ーーNANAさんが音楽に目覚めたきっかけは?

NANA:小さい頃から歌うのは好きで、よく友達とカラオケに行って歌っていました。高校の時に同じクラスだった友達と、その子が連れてきた人たち何人かでカラオケに行ったら、彼らがちょうどバンドを組もうとしていて、「NANAも入んなよ」「入る!」みたいなノリで加入することになったんです(笑)。SCANDALさんや、アヴリル・ラヴィーンさんのカバーも数曲やりましたが、基本的にはオリジナル曲が中心でした。作詞作曲は私で、アレンジがギターの子で。

ーー結構、早い段階からオリジナル曲を作っていたのですね。

NANA:「バンドやるならオリジナルでしょ!」という話になって。私はそれまで曲作りなんてしたことがなかったし、理論も分からなかったんですけど、なんとなくテキトーに……(笑)。Aメロ、Bメロがあって、サビが来てCメロ、みたいな。そこに、その時の自分の感情を言葉にして乗せていきました。その頃、色んな経験をしたから、言いたいことがわーっと出てきやすかったのだと思います。周りの友達から相談されていた悩み事とか、友達へのメッセージとか。よくある恋愛の話とか(笑)、そういうことを歌にしていました。

ーー地元のライブハウスでは、かなり動員力もあったそうですね。

NANA:そうですね。女の子のボーカルで、ゴリゴリのロック! みたいなバンドが、あんまり地元にいなかったから、珍しかったのだと思います。

 

ーー「音楽でやっていこう」と思ったのも、その頃から?

NANA:はい。「みんなで上京しようよ」っていう風に盛り上がっていきました。進路に対する迷いなども、全くなかったですね。音楽しかやりたいことはなかったし、「今やりたいことを諦めて、やりたくもないことをするよりは、とりあえずやりたいことを全部やってみて、うまくいかなかったらその時に考えよう」って思うタイプなんです。親も背中を押してくれましたし。

ーーバンドで上京して、音楽活動は精力的に行なっていたのですか?

NANA:それが、半年ちょっとして、方向性の違いというか。バンドでやっていることと、自分のやりたいこととの間にギャップが出てきてしまって……。私から「解散しよう」と持ちかけました。

ーーそれは辛かったですね。

NANA:今までずっと一緒にやってきた仲間だし、私のことを信じて東京まで付いてきてくれたのに、その人たちの夢を切り捨ててしまう形になるんじゃないかと思って、決断するまではすごく悩みました。一昨年の12月くらいから考え始めて、それから1カ月の間ずっと悶々としていて。年末年始、他のメンバーは帰省している人もいたんですけど、私は一人で考えたくてこっちに残っていました。それで、年明けてすぐに電話をして。

ーーメンバーの反応はいかがでしたか?

NANA:最初は「なんで?」みたいな感じでしたが、徐々に理解してくれて。今は応援してくれていますし、地元に帰った時には会ったりしていますね。「Twitter、チェックしてるよ。フォローはしてないけどね」なんて、冗談めかして言われます。「俺、あの曲のギターパート全部覚えたからすぐ弾けるぜ?」とか言って、PVの真似してからかってきたり(笑)。

ーーそういう良好な関係を保てるようになったのは、解散するときにNANAさんが誠意を持ってメンバーと対峙したからなんでしょうね。

NANA:そうなんでしょうかね。でも、切り出す時は本当に怖かったです。バンドを組む前からの友だちだったし、その関係も終わってしまうんじゃないか、もう二度とこの人たちと関われないんじゃないかと思ったら、「やっぱり言わない方がいいのかな」と思ったこともあります。でも、このまま自分の気持ちを誤魔化してバンドを続けていくのも違うなって。だから、今こういう関係でいられるのは本当に嬉しいです。

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