ポルノグラフィティが掴んだ“らしさ”とは? 今夜『Mステ』で成熟の新曲「LiAR」披露へ
聴いた瞬間に誰の曲なのかが分かる、というアーティストは決して多くない。
本日25日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演するポルノグラフィティ(以下:ポルノ)は、その数少ない1組だろう。同番組で披露する「LiAR」は11月9日にリリースの両A面シングル『LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ』の表題曲のひとつ。実は彼らが両A面シングルを発売したのは、2005年の『ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY』以来約11年ぶりだった。「ジョバイロ」は当時のプロデューサー・本間昭光が作曲、新藤晴一(Gt)が作詞を担当、「DON'T CALL ME CRAZY」は新藤が作詞作曲した楽曲であった。本間と新藤のコンビはこれまでに、「アポロ」、「サウダージ」、「アゲハ蝶」など数々のヒット曲を生み出してきた。しかし2011年以降は体制を一新し、メンバーそれぞれが全楽曲の作詞作曲を手掛けるようになっていった。
新体制後、「どうヒット曲を出すか、出すためにもいっぱい考えたいです。ポルノらしいと言われる曲を僕らの手で作るのか、ポルノっぽくないけどいい曲だからヒットすることもあるだろうし。その追求はずっとしていきたいですね」と岡野昭仁(Vo)がインタビューで語っていたように、彼らは“ポルノらしさ”について長らく悩んでいた。(参考:ポルノグラフィティ『15年の活動を振り返る☆ベスト盤のなかで好きな曲TOP10も発表!!』)多くのリスナーがイメージする“ポルノらしさ”とは、本間とともに作り上げたものだったからだろう。故に、その後リリースした作品はどこか迷いがあるようにも感じた。
しかし昨年8月、約3年ぶりにリリースしたアルバム『RHINOCEROS』を通じて彼らは成熟した姿を見せた。ラテン調全開の先行シングル曲「オー!リバル」や「ハネウマライダー」に次ぐ夏ソングで4つ打ちが印象的な「Ohhh!!! HANABI」、EDM調の「ANGRY BIRD」、新藤がリードボーカルを務めた「Hey Mama」……どれも異なる曲風ながら、岡野の滑舌の良いボーカルや、新藤のシンプルかつクールなギターソロのためか、アルバム1枚を通して聴いてもばらつきを感じない。彼らは幅広い曲風に挑戦しながら、それぞれの“ポルノらしさ”を掴んでいったと言える。そしてそれを同作で、岡野は他を追随させぬ疾走感ある詞曲で、新藤はかつての本間との共作を凌駕するようなキャッチーな歌詞とメロディで示していた。
そして今回の作品ではそれぞれが作詞・作曲した楽曲を両A面としてリリース。メンバー2人ともがハイクオリティな楽曲を安定して作ることができると示した。新藤が作詞作曲した「LiAR」はラテン調のメロディに乗せ、切ない大人の恋愛を歌っているのに対し、岡野が作詞作曲した「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」は現実と戦う姿を描いた、勢いあふれるロックチューン。メロディにも歌詞にも、それぞれが思う“らしさ”が前面に出ている。