LOUDNESS高崎&二井原は、なぜ世界で戦い続けたか? 「『もっと行けるはず』というのが自分たちの中にあった」

 

「最初に掲げた目標がまだ達成できてないと思う」(高崎)

──これは高崎さんにお聞きしたいんですが。高崎さんは35年にわたってLOUDNESSというバンドを守り続けてきました。正直、長期間にわたり1つのバンドを続けることってすごく大変なことだと思うんです。活動を続けていく中で「もうダメなんじゃないか?」と考えたことはありましたか?

高崎:うーん、ないね。80年代に誕生して今でも活動しているバンドはいくつかいると思うけど、LOUDNESSは今まで一度も解散宣言をしたことがないし、どの時代でも、それこそあまり人目に付かなかった時代でもずっと作品をコンスタントに出し続けてきた。さすがにひぐっつぁんが亡くなったときはいろいろ考えましたけど、それ以外はやり続けようと思ってましたよ。というのはね、最初に掲げた海外での成功という目標がまだ達成できてないと思うし、80年代の活動でも自分たちとしては不完全燃焼な部分があったので。もっと行けるはずやっていうのが自分たちの中にあったから、今もやっぱりやり続けているわけやし。ソロアルバムをコンスタントに出していた時代もありましたけど、今はもう100%をLOUDNESSに注ぎ込んでいる感じですね。

──特に90年代に入ってから、それまでの海外展開が途絶えたタイミングがありましたよね。その頃はもどかしさを感じたりは?

高崎:それはなかったかな。どの時代でも世界のロックの基準の中で、世界の現役のロックを聴いてくれてるファンにめがけて、俺たちは今この時代にこれをやっていると発信していた。今はYouTubeのおかげでLOUDNESSの活動もだいぶ知ってもらえるようになって助かってる部分もあるけど、そういうのがない時代でもCDに自分たちのロックスピリットを常にギュッと注入していたから、いつかわかってくれるはずやという気持ちで音楽をクリエイトしてました。

──LOUDNESSはその時期によってサウンドも変化してきましたし、その都度の旬の音が反映される時期もありました。そんな中でも、LOUDNESSは常にLOUDNESSであり続けた。高崎さんの中でLOUDNESSがLOUDNESSであるために必要なもの、必要の要素な何だと考えていますか?

高崎:自分の中では、僕がひとりになってたような時代でも、まずはいつでも自分が気持ち良く演奏できることがファンも気持ち良いと思っていた。また、その都度その都度歌い手が変わることによって、その人が活きるようなリフや曲を作ってきたので、一緒にやっているメンバーが活かされる、活かすような楽曲を常に心がけていました。あとは、自分の中でロックというのはひとつしかないんで、日本のロックとかどこどこのロックとかやなしに世界共通のロック、自分たちの生き様であったりロックに対する理解度、いろいろあると思うけど、キャリアとともにロックというものにどんどん精通してきていると思うので、そのスピリットを出していけば絶対に世界のロックファンに通用していくはずやと、そういう考えでずっとやってきた。その努力の結晶がだんだん実になってきてるんじゃないかな。

「40周年を迎えるときはフェスのヘッドライナーに」(高崎)

──35年という歳月は、生まれた子供が親になるくらいの期間ですよね。実際、ライブにも数世代にわたるお客さんが来ていると思うし、若いLOUDNESSフォロワーバンドもどんどん増えていると思います。

高崎:そうですね。若い人にも伝わっていかないと、バンドってだんだん減退していくから。

──この先も海外フェスへの出演が続きますね。そういった場所で、幅広い年代にLOUDNESSの健在ぶりをアピーリしてほしいです。

二井原:もちろんそうしますよ。今後はスペインやドイツのフェスに出るし、アメリカも「MONSTERS OF ROCK CRUISE 2016 -WEST-」(10月開催。豪華客船で数日クルージングしている間に、数多くのメタルバンドがライブを行なう)があるし。もしかしたらその前後に、アメリカのどこかを回るかもしれないですけどね。

高崎:西海岸の80'メタルファンはすごく楽しみにしてるみたいだけどね。すぐにソールドアウトしたみたいだし。

二井原:すごいメンツだもんね。あそこはすごい空間ですよ。ロックスターがいっぱいおって、隣で普通に飯食ってるもんな(笑)。

高崎:しかも、そういう人らからも「一緒に写真撮ってくれ」とたまに言われるんですよ。

二井原:僕もこないだ、グラハム・ボネットから声かけられたもん。

──ええっ!?

二井原:「うちの若いもんが君のファンやから、一緒に撮ってもらえないか」って。逆に僕は遠慮して、グラハムに声かけられなかったんですよ(笑)。

高崎:それはすごい。自分もこないだ、いろんな有名なミュージシャンから声をかけられたな。

二井原:まぁぱっと見渡して、35年やってるバンドってそうそういないですからね。

高崎:途中で解散して再結成したバンドはおるやろうけど、ずっとやり続けてるバンドは少ないよね。特に80'メタルがクラシックロックの枠に入ってきて、また脚光を浴びるようになってから復活したバンドも多いし。

二井原:METALLICAとか同期ぐらいになるのかな。

高崎:あとはDEF LEPPARDとかIRON MAIDENとか。

──そう考えると、すごいところまで来ましたよね。

二井原:長いもんですね(笑)。

高崎:俺忘れてたんやけど、自分のキャリアを計算したら来年で40年になるんですよ、LAZYを入れて(笑)。こないだ向こうのフェスにFOREIGNERが出ていて「40th Anniversary」と掲げているのを見て、一緒やなと。そのとき「俺も長いことやってるなぁ」と一瞬思ったけど(笑)。

二井原:最近イベントに出ても、還暦を過ぎてる向こうのメタルの人もちょこちょこいるから、そこからしたら55歳なんてまだ若いもんやね(笑)。

高崎:40周年で俺の歳ぐらいだったら、まだ若いんですよ。俺はデビューが16歳で早かったから。普通は40周年といったらもっと歳いってますからね。

──でもこのペースで活動していたら、LOUDNESSとしての40周年も本当にあっという間なんでしょうね。これからもLOUDNESSがどこまで到達するのか、ぜひ見届けたいと思います。

高崎:どうせなら、ヘッドライナーになりたいですよね。海外フェスも行くたびにどんどんポジションがいいところになってきてるので、それこそ40周年を迎えるときはヨーロッパのフェスでもヘッドライナークラスになれてたら、それはほんまに通用したという証ですし。

──海外だけじゃなくて、日本でもそういうポジションになっていてもおかしくないですよね。

二井原:言われてみれば、あんまり日本のフェスからは声がかからないですよね。どうやらLOUDNESSって扱いに困るみたいで(笑)。中途半端な位置に立たすわけにはいかないけど、メインステージはもう決まってるしみたいな。

──過去には『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』にも出演していましたが。
高崎:2回ぐらいね。

二井原:あとは『SONIC MANIA』と『LOUD PARK』ぐらいでしょ。80年代は大阪南港でやったフェスに出たけど、日本のフェスって数えるぐらいしか出てなくて。『ロックンロールオリンピック』にも呼ばれなかったしさ(笑)。ヨーロッパの並み居るフェスにたくさん出てるのに、自国のフェスにはなぜ呼ばれないっていう……なんか愚痴っぽくなっちゃったけど(笑)。

高崎:中途半端にギャラが高いんちゃう?

二井原:そうか(笑)。でも呼んでくれたらどこでもやりたいんやけどね。日本の子供たちが集まるようなロックフェスで、ポーンとやってみたいですよね。

(取材・文=西廣智一/写真=石川真魚)

■リリース情報
LOUDNESS 35周年企画 第8弾作品
『SAMSARA FLIGHT~輪廻飛翔~』
発売:7月6日(水)
価格:CD+CD+DVD ¥7,000+税
<DISC1 -CD- セルフリメイクアルバム>
1.STREET WOMAN
2.THE LAW OF DEVIL'S LAND
3.LOUDNESS
4.IN THE MIRROR
5.BLACK WALL
6.ROCK SHOCK(MORE AND MORE)
7.LONELY PLAYER
8.DEVIL SOLDIER
9.BURNING LOVE
10.ANGEL DUST
11.ROCK THE NATION
12. TO BE DEMON

<DISC2 -CD- ファン選曲ベストアルバム>
LOUDNESS 35th Anniversary
FAN’S BEST SELECTION ~We are the LOUDNESS~
1.CRAZY DOCTOR
2.CRAZY NIGHTS
3.IN THE MIRROR
4.S.D.I
5.DREAM FANTASY(夢・Fantasy)
6.SOLDIER OF FORTUNE
7.LOUDNESS
8.GOTTA FIGHT
9.LIKE HELL
10.ARES’ LAMENT(アレスの嘆き)
11.SLAUGHTER HOUSE
12.SPEED
13.LET IT GO
14.THE SUN WILL RISE AGAIN
15.METAL MAD
16.MILKY WAY
17.GHETTO MACHINE

<DISC3 -DVD->
LOUDNESS WORLD TOUR 2015 “THE SUN WILL RISE AGAIN”
30th Anniversary THUNDER IN THE EAST in JAPAN
2015.09.07(MON) at SHIBUYA KOKAIDO
「CRAZY NIGHTS」
「LIKE HELL」
「HEAVY CHAINS」
「GET AWAY」
「WE COULD BE TOGETHER」
「RUN FOR YOUR LIFE」
「CLOCKWORK TOY」
「NO WAY OUT」
「THE LINES ARE DOWN」
「NEVER CHANGE YOUR MIND」
作品解説:伊藤政則 (初回・通常共通)

■通常盤:
¥2,800+税
「セルフリメイクアルバム」(全12曲+ボーナストラック1曲)
1.STREET WOMAN
2.THE LAW OF DEVIL'S LAND
3.LOUDNESS
4.IN THE MIRROR
5.BLACK WALL
6.ROCK SHOCK(MORE AND MORE)
7.LONELY PLAYER
8.DEVIL SOLDIER
9.BURNING LOVE
10.ANGEL DUST
11.ROAD RACER ※通常盤ボーナストラック
12.ROCK THE NATION
13.TO BE DEMON
作品解説:伊藤政則(初回・通常共通)

■ライブ情報
7月16日「ROCK FEST BARCELONA」(スペイン)
8月5日「WACKEN OPEN AIR FESTIVAL」(ドイツ)
10月1日〜5日「MONSTERS OF ROCK CRUISE 2016-WEST-」(アメリカ)

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