太田省一『ジャニーズとテレビ史』第九回:2015年ジャニーズ冠番組
嵐、SMAP、TOKIO、関ジャ二、セクゾ……2015年にジャニーズグループが冠番組で見せた「成熟」と「成長」
一方、今年は新しく始まった冠番組にも見どころが多かった。
関ジャニ∞は、今年5月『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)と『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ系)が同時に始まった。前者がアーティストとのコラボ演奏が目玉の音楽番組、後者がメンバーのみによる多彩な企画を基本にしたバラエティと、それぞれ異なる彼らの魅力を引き出している。関ジャニ∞は、各メンバーのレギュラー番組の広がりを見ても、テレビ的に今最も充実したジャニーズグループのひとつと言えるかもしれない。
何度かの特番を経て今年4月からレギュラー化された『KAT-TUNの世界一タメになる旅』(TBSテレビ系)は、私自身個人的にも毎回楽しみにしている番組だ。『とんねるずのみなさんのおかげでした』などでおなじみの、強めのいじりで出演者のキャラクターを際立たせていくマッコイ斉藤の演出とKAT-TUNの相性が良い。それぞれの個性がくっきり出るようになった分、メンバー同士の絡みにもいい間合いやメリハリが生まれている。私としてはKAT-TUNを飛躍させる番組になるのではと思っていたので、先ごろ発表された田口淳之介の脱退はその意味でもとても残念だ。番組の今後の展開に引き続き注目していきたい。
これも特番があった後に今年7月からスタートしたHey! Say! JUMPの『いただきハイジャンプ』(フジテレビ系)。芸能界の「いただき」を目指すというコンセプトのもと、メンバーが毎回体当たりのロケ企画に挑んでいる。そのロケパートの頑張りぶりもさることながら、スタジオでの全員によるトークパートの空気感が心地よい。いわゆる「わちゃわちゃ感」の魅力だが、そのなかにもこのグループ特有の和やかな雰囲気があるところがいい。12月30日には初の全国ネットとなる特番も決まり、これからグループの独自性をファン以外にもどうアピールしていくのか、最初の勝負どころといったところだろう。
「20周年」を迎えた番組やグループが「成熟」を感じさせるとすれば、これらの番組やグループから感じるのは「成長」である。番組の始まりをきっかけに、メンバーのキャラクターがよりクリアーになり、それがグループのパワーへと還元される相乗効果が生まれる。まだまだ改善の余地もあるだろうが、それは可能性を秘めているということでもある。すでに昨年以前から冠番組を持っていたKis-My-Ft2やA.B.C-Zは、そこで培った経験を生かして、メンバーそれぞれの他番組への出演も目立ち始めている。それもまた「成長」のひとつの表れだろう。