「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第14回 『Vampillia主催 いいにおいのするいきのいいやつらTOKYO』

BiSHはBiSの最初期と最末期が混在しているグループだーー初ライブ現場を体当たり評論

BiSH

 DJブースを飛び出してフロアへモッシュに繰り出すなど、西村ひよこちゃんがひとしきり暴れた後に、次の出演者の名前が呼ばれた。BiSHである。まず歌われたのは、5月27日にリリースされるファースト・アルバム「Brand-new idol SHiT」の収録曲「SCHOOL GIRLS, BANG BANG」だった。

 BiSHは、BiSが2014年7月8日に解散した後、「BiSをもう一度始める」という宣言のもと、2015年1月14日に早くもメンバー募集が始められたグループだ。そのスタッフは、最初期のBiSチーム。マネージャーの渡辺淳之介、サウンド・プロデューサーの松隈ケンタ、衣装の外林健太、アートディレクションの真田礼(Studio-Novel)である。

 「SCHOOL GIRLS, BANG BANG」を歌い終わると、元研究員たちが奇声を上げるなかBiSHが自己紹介を始めた。セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハグ・ミィ、アイナ・ジ・エンドの順番で、自己紹介もかつてのBiSマナーに沿ったものだ。

 私は、最初期のBiSがライヴのたびに「BiSの5箇条」を読み上げていたことを思い出していた。それは以下のようなものである。

「その一.自給自足をモットーに自分たちでできることは自分たちでします!
その二.一人前のアイドルを目指して、アイドル研究をし自分たちに活かします!
その三.応援してくれるみなさまを、研究員としてお迎えします!
その四.報告会という名のライブをいっぱい行います!
その五.向上心、研究心、感謝の心、忘れずに行動します!」

 すると、BiSHが「BiSHの三箇条」と言い出したので、私は思わず声を上げてしまった。その概要は以下のようなものだった。

「その一.ファンの総称は清掃員といいます。
その二.ライヴの写真撮影は自由です、ただし録画録音はスタッフが叩き潰します。
その三.あとは自由です。他のお客さんに迷惑をかけないように楽しみましょう。」

 BiSのデビューから4年が経った結果、BiSHではここまで大雑把になったのか、という内容だった。ただ、写真撮影の許可は、解散前のBiSが撮影を黙認して、横浜アリーナでの解散ライヴの宣伝に活用したことを思い出す。そうしたソーシャルメディアを使った戦略は残っていた。そして現場に特に大きなルールがない、というのもBiSを踏襲したものだ。

 2曲目の「BiSH-星が瞬く夜に-」ではリフトの嵐に。コールも、メンバー名と本当に合っているのか怪しい気がするが、とにかく激しい。3曲目の「サラバかな」では、いきなりMIXが打たれる。フロアはクラウドサーフの嵐となり、リフトされながら写真撮影する(元研究員改め)清掃員も多数現れた。4曲目の「ぴらぴろ」の段階になると、「盛り上がり」という次元を超えて、フロアには奇祭感が満ちている。最後の5曲目は「スパーク」。ミディアムなロック・ナンバーだが、「もう楽曲と関係ないのでは」というほどの狂気じみた盛り上がりが最後まで続いた。

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