「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第14回 『Vampillia主催 いいにおいのするいきのいいやつらTOKYO』

BiSHはBiSの最初期と最末期が混在しているグループだーー初ライブ現場を体当たり評論

 

 BiSHは、かつてのBiSでの熱狂を求める者たちの受け皿に、まずはなることができた。それを確認することができたのが、2015年4月30日に渋谷TSUTAYA O-nestで開催されたVampilliaの主催イベント「いいにおいのするいきのいいやつらTOKYO」だった。

Vampillia課外活動セット

 ライヴの一番手であるVampillia課外活動セットは、ヴォイオリンが響くなかで、ヴォーカルがポエムリーディングのように「エクスタシー」という言葉を繰り返す。耽美的にしてドラマティックな演奏だ。

 その演奏が終わると、ミッキーマウスの耳と鼻をつけている以外は人間のままの男性が、高い声を発しながらステージに現れた。何者かと思っていると、そのままギターをセッティング。ギターの/japanだった。他のメンバーがその姿を「Vampilliaの最高傑作」と呼んでいたが、最高傑作かはさておき、たしかに唐突極まりなかった。そして、ヴォイオリンの流麗な響きを中心に据えた演奏とともに、ダミ声の男性ヴォーカルと、オペラのような女性ヴォーカルが交錯していく。

 Vampilliaは、元相対性理論の真部脩一や、アヴァン・ドラマーとして名を馳せる吉田達也を擁するバンドだ。この日は「千手観音」と紹介しながら吉田達也をステージに招き入れた。そして、もうひとりステージに呼ばれたのは、「ミスiD2015」グランプリの金子理江。Vampilliaが音楽を担当し出演もする「いいにおいのする映画」には、金子理江も出演する。その彼女がVampilliaの演奏をバックに歌ったのは「mirror mirror」だった。Vampilliaの2014年のアルバム「The Divine Move」でBiSが歌った楽曲だ。ハードになっていく演奏をバックに、金子理江はBiSに代わって「mirror mirror」を歌い切った。

DJ MEGUMI a.k.a. 西村ひよこちゃん

 続いてDJをしたのは「DJ MEGUMI a.k.a. 西村ひよこちゃん」。要は西村ひよこちゃんなのだが、彼が手掛けたBiSのMiX CD「DJ MEGUMI'S BiS MIX」のジャケットに登場しているのが、「DJ MEGUMI」ことコショージメグミ(元BiS、現Maison book girl)なのでこんな名義なのだ。

 この日はBiSの楽曲のみのセットで、「アイドル」やtengal6(現lyrical school)とのコラボ曲「いんたああくしょん」といった渋いところから流しはじめたが、いまひとつフロアの反応が鈍い。すると西村ひよこちゃんは「豆腐」を流しながら手に本物の豆腐を持ち、口に入れると、そのまま私の知人のライターにディープキスしながら、彼の口内へと豆腐を流し込んだ。嗚呼……と思っていると、次に西村ひよこちゃんの口の豆腐を受け止めることになったのは私であった。

 詳細は省くが、私は結局2回西村ひよこちゃんとディープキスをすることになった。その成果がこのライヴレポートであることを忘れないでほしい。ジャーナリズムには常に犠牲がつきものである。

 その日は元BiSメンバーのうち、カミヤサキ(現プラニメ)、ファーストサマーウイカ(現BILLIE IDLE)、コショージメグミが来場していたが、「nerve」ではコショージメグミが次々と寿司を食べさせられていた。

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