アイドルはなぜ名曲をカバーする? TPD、アイドルネッサンスの躍進から分析

 2014年の新人王といえるアイドルグループはどこだろう? 新人の定義をどこに置くかでいろいろと変わってくるが、今年「メジャーデビュー」したグループを一つの基準とするならば、東京パフォーマンスドールは間違いなくその有力候補だろう。

 昨年、17年ぶりに新メンバーで再結成された東京パフォーマンスドールは、ほぼ1年間、渋谷の劇場「CBGKシブゲキ!!」で演劇とライブを組み合わせた独自公演で力を蓄え、今年6月に『BRAND NEW STORY』でCDデビュー。11月に発売されたセカンドシングルの『DREAM TRIGGER』は同週発売のベイビーレイズ、でんぱ組.incを抑えて週間4位とTOP5入りを果たした。CDデビューからわずか4ヶ月で東名阪及び福岡でのZEPPツアーを成功させるなど、急激に注目度を挙げているグループだ。

 もう一組、今年「結成」されたグループという基準でいえば、アイドルネッサンスがその有力候補として名前が上がるグループだろう。アイドルネッサンスは、ソニーミュージックアーティスツが40年目にして初めて手がけたアイドルグループ。彼女たちは、古今の名曲を発掘しパフォーマンスする「名曲ルネッサンス」をテーマに活動しており、最初のシングルはBase Ball Bearの『17才』、2枚目は東京スカパラダイスオーケストラの『太陽と心臓』のカバーだった。夏休みに開催されたAKIBAカルチャーズ劇場の「新人公演」で優勝し、10月からはレギュラー公演もスタート。先日12月13日にはタワーレコードのアイドル専門レーベル「T-Palette Records」に所属することがサプライズで発表された。

 この2組に共通しているのは、カバー曲を上手く活用しながら活動しているということだ。東京パフォーマンスドールの場合、シングルとしてリリースされた2曲や「PLAY×LIVE『1x0』」公演で披露してきた数曲がオリジナル曲としてありながらも、ライブで歌われる曲には、17年前まで活動していた先代東京パフォーマンスドールのリメイクを適所に組み込んでいる。アイドルネッサンスに至っては、今のところオリジナル曲は一曲もなく、すべてカバー曲でライブを構成している。

 ではそれがそれぞれのグループにとってマイナスになっているかというと、まったくそんなことはない。東京パフォーマンスドールは先代の頃から楽曲面での評価は高かったし、どの曲も今の時代に合わせて新しくリアレンジされている。東京パフォーマンスドールのワンマンライブは、20曲以上の曲をDJプレイのように繋いでいき、90分をノンストップで歌って踊る「ダンスサミット」というスタイルを採用しているが、再結成の直後からクオリティーの高い楽曲をこれだけ揃えられたのは、先代の楽曲を有効利用しているからだ。

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