宗像明将の武藤彩未ライヴDVDレビュー

アイドル戦国時代の次なる指標 ソロアイドル=武藤彩未の「パフォーマンスの進化」を追う

 

 さらに「A.Y.M Live Collection 2014 ~進化~」 は、6月と8月のライヴを収録した2枚組。6月はアコースティック編成でのライヴ、8月はエレクトリック色の強いバンド編成でのライヴという、まったく正反対のライヴである。

 Disc 1は、2014年6月10日にshibuya duo MUSIC EXCHANGEで開催された、チェロ、ピアノ、パーカッションからなるアコースティック編成での生演奏ライブ「A.Y.M. Ballads」を収録したもの。そう、バースデーライヴからまだ2ヶ月も経っていないのだ。続けて見ると軽く混乱するほどである。

 冒頭の「明日の風」から、アコースティック編成でも武藤彩未の安定した歌唱が光る。パーカッションにラムジー、チェロに柏木広樹、グランドピアノに本間昭光を迎えてのステージだ。武藤彩未も驚くほどアーティスト然とした姿ではあるが、本人としては真摯に歌うという点でふだんと大きな意識の違いはないのだろう。武藤彩未が大人っぽい声色で挨拶すると、会場からは笑いが起き、「やっぱ無理ですわ」といつもの調子のMCに戻るのも武藤彩未らしい。

 本間昭光によるアレンジでミディアム・ナンバーとなった「宙」や「Seventeen」では、武藤彩未のヴォーカリストとしての表現力を実感することになる。チェロの艶やかな響きとの相性も良く、さらに武藤彩未のヴォーカルは 「押し」と「引き」を知っているのだ。

新曲「風のしっぽ」も、武藤彩未の声の低音から高音まで使うメロディーラインで、まさにアコースティック編成での初披露に向いている楽曲。 「女神のサジェスチョン」や「時間というWonderland」の軽いラテン風味も秀逸なアレンジだ。パーカッション、チェロ、ピアノの演奏が拮抗した「A.Y.M.」も、この小編成だからこそ生み出せる緊張感に満ちている。

 特典映像は、このアコースティック編成での「『FRIENDS』~A.Y.M. Ballads Ver.~ 」。ここでも押しと引きを操るヴォーカルが光る。

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