10thアルバム『ガガガを聴いたらサヨウナラ』インタビュー

“音楽屋”ガガガSPは今のシーンでどう戦っていく?「板の上に乗ったときに何が出来るか」

写真:青木カズロー

「僕らの場合は「どんだけ目立てるか」ということですからね」(コザック前田)

――表題曲「ガガガを聴いたらサヨウナラ」もかなり尖ってフレーズが含まれてますよね。「その辺のチャラチャラした音楽とはレベルが違う」もそうだし。

山本:パンチがありますよね。

コザック前田:こういうものを求めてるヤツがいますからね、ウチの客のなかには。イベントとかに出たときも、ほかのバンドの客に対して「ほら、これがガガガSPや。すごいやろ」って自分のことのように威張ってたりするんで(笑)、そういうヤツに痛快さを与えておかないと。そうしないと、ライブに来なくなりますからね。もちろん、この曲から入って来てもらっても嬉しいですけど。

――「難しいリズムを覚える前に女心を覚える」も印象的でした。最近の若いバンドって、リズムが複雑ですからね(笑)。

山本:テクニカルですよね、確かに。

コザック前田:パソコンを駆使できる世代ですからね。俺らが高校のときにそんなのなかったし、その差は大きいと思いますよ。子供のときから普通にパソコンを使ってたら、そこまで難しいことをやってる感覚もないと思うし。

山本:そうやな。俺らのとき、メインはタブ譜やったから。

コザック前田:チューナーじゃなくて音叉やしな。

山本:ハハハハハ! え、そこまで古い?

コザック前田:(笑)。あと、いまのバンドさんは性質が変わってきてる気はしますね。これは自分の印象ですけど、最近のバンドは内向きの人が多いような気がするんですよ。メンバー同士の世界のなかだけで曲を作ってるというか。僕らの場合は「どんだけ目立てるか」ということですからね。何にも出来ないのに、とりあえず外に出ていって、「誰よりも目立ってやる!」っていう。

山本:そこはいちばんの違いっすね。

コザック前田:いまは音楽を発信するツールがあるから、内向きでもええんやろうね。俺らはもう、とにかくライブをやって、レコード会社の人なんかに見つけてもらうしかなかったから。そう考えると、同じ音楽っていっても、カテゴリーがぜんぜん違いますよね。スポーツに例えるとテニスと相撲くらい違うんじゃないですか。

――そういう状況のなかで、どう戦っていくか?みたいなことも考えますか?

コザック前田:新しい感覚のものが出てきたとしても、逆に古いものが重宝されることも多いと思うんですよ。いろんなメディアがあっても、落語の寄席には人が集まるわけやし。

山本:そうやな。

コザック前田:そういう意味ではライブ型ですよね。板の上に乗ったときに何が出来るかっていうことを考えるし、そこでやれないことは音源にも入れないんで。キーボードもぜんぜん入ってないですからね、俺らは。4人で出せる音しか収録しないっていう。

――でも、音楽的なトライは多いですよね。

コザック前田:一応、いろいろやってますけどね。でも、結局「ガガガSPだな」って言われるんですよ。やまもっちゃんがウィーザーみたいなリフを弾いても、誰も気付かないっていう(笑)。

山本:そうやな(笑)。

コザック前田:アークティック・モンキーズのパクリみたいな曲に泉谷しげるっぽいメロディを乗せて「すごいの出来た!」って言ってたこともあったよな?

山本:あのときは革命が起きたと思ったんやけど、「ガガガSPらしい曲」って言われて終わり(笑)。

――(笑)。ボーカリストのキャラクターが強烈ですからね。

山本:うん、そうやと思います。

コザック前田:そういうタイプのボーカリストになりたいって思ってますからね。たとえば清志郎さんは、CMで流れただけで「清志郎さんや」ってすぐにわかるじゃないですか。エレカシの宮本さんもそうだし。そういうボーカリストを目指してますね、いまも。

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