10thシングル『何度目の青空か?』を分析
乃木坂46の勝負作『何度目の青空か?』が担う使命ーーグループの目指す今後の姿とは?
乃木坂46の記念すべき10枚目シングル『何度目の青空か?』が10月8日に発売された。CDデビューから3年を迎えた今年、グループとして勝負の年にリリースされる今回のシングルはいったいどのような内容になっているのだろうか。今回は本シングルに課せられた使命と目指す目標に焦点を当て、考察していく。
10枚目の表題曲「何度目の青空か?」に課せられた使命
今回のシングルがグループにとって重要なものであることは、単に"10枚目"という区切りのよさからではない。デビュー3年でグループとして一つの節目を迎えることはもちろん、乃木坂46を最前線で引っ張って来たメンバーが20歳前後まで年齢を重ね、アイドルとして一番成熟している時期を迎えていること、また乃木坂46にとってライバルであるAKB48グループに従来ほどの勢いが感じられないことが挙げられる。そんななかでリリースされるのがこの10枚目のシングルであることを再認識しておきたい。
「何度目の青空か?」はリリースが決まった時点でいくつかの大きな使命を課せられることとなった。一つは出演が期待される第65回NHK紅白歌合戦に向けたシングルとなることだ。9枚目のシングル『夏のFree&Easy』は50万枚を超える売り上げを記録したものの、8枚目シングルの『気付いたら片想い』のときと比べるとシングルの勢いや反響も期待以上のものではなかった。紅白出場に向けた最後のアピールとしてこのシングルは50万枚以上の売り上げはもちろん、それ以上のインパクトをシーンに与える必要がある。
乃木坂46のファンの中で、紅白となると必ず出てくるのが、「どの曲を歌うか」というトピックだ。売り上げでいえば、今年発売した「気付いたら片想い」や「夏のFree&Easy」が有力だが、ファンの中で上がるのは別の曲の場合が多い。そのうちの一つが5thシングル「君の名は希望」である。3万人を集めた神宮公演で本編の最後を飾ったこの曲は、メンバーからもファンからも大切にされており、トップクラスの人気と評価を得ている。生田絵梨花がピアノを弾き、昨年行われた代々木公演のようにストリングスを加えれば、ほかのアイドルには出せない乃木坂46だけの魅力を見る側に感じてもらえるだろう。ところが、「君の名は希望」を披露するにはいくつかの障害がある。乃木坂46の中では人気曲なのは間違いないのだが、売上としては前のシングルである4th「制服のマネキン」からの伸びも弱く、タイアップも特になかったため世間的な認知度はそう高くない。歌番組で新曲以外を披露するときも待望論はあってもなかなか歌われることがないという実情がある。
この「君の名は希望」をおさえて乃木坂46の代表曲として歌番組などでよく披露されるのが、2ndシングル「おいでシャンプー」である。この曲は乃木坂46が初めてオリコンシングルチャートで1位を獲得した曲であり、ライバルグループAKB48指原莉乃のソロ曲との同日発売対決で話題をよんだ曲でもある。センターが生駒から変わった今でも乃木坂46の代表曲としてメディアで披露されていることは、運営側が世間に認知してもらいたい乃木坂46のイメージがこの曲に詰まっているということだろう。また、サビの振り付けが横一列に列車のように並び前後に揺れるだけなので、カメラに1人1人の顔が抜かれやすくパフォーマンスの自由度も高いという大きなポイントもある。
では、乃木坂46らしさもあり、世間的な知名度もあるこの曲で決まりかというと、少し気になることがいくつかある。