嵐・二宮和也はどう“居場所”を作ったか 歌手・俳優としてのスタンスを読む

現在、教師役でドラマの主演を務める二宮和也。

 嵐の二宮和也が3年半ぶりに主演を務める連続ドラマ『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』が評判だ。進学校に赴任した新人教師が部員5人で創部以来勝ったことのない弱小野球部監督に就任。部員たちの恋愛や友情、進学などの悩みを解決しながら、意外性に満ちたセオリーを駆使して甲子園を目指す姿を描くこのドラマ。これまで2回の放送を終えて平均視聴率は12.7%と、話題作の揃った春ドラマのなかでも上々の滑り出しをみせている。

 映画にバラエティにと獅子奮迅の活躍。そのマルチタレントっぷりをいかんなく発揮している二宮だが、自身のなかにはあくまで「本職はアイドル」という意識が強いという。その一方でアイドルだからとバカにされたくない、アイドルに対する偏見を変えていきたいという思いも強い。

雑誌『PICT-UP』のインタビューで彼は次のように語っている。「自分に関わってくれる人たちが『付き合わされてかわいそう』とか『こんな仕事する人じゃないのに』とか思われたくない。共演するのはみなさんすごい方たちばかりですから、その人たちの価値を下げたくない。『あの人いい仕事しているな』と思われるようでいたいんです」。並々ならぬプロ意識、本職ではない場所でも期待以上に応えようという姿勢は、奇しくも今回のドラマのテーマ「居場所作り」と合致する。へっぽこ高校球児、あるいは青志先生同様に二宮もこれまで自らの手によって自分の「居場所」を築いてきたのだ。

 同じことは歌手としての活動にも言える。ドラマの主題歌である新曲「GUTS!」には二宮のソロパートがあるが「嵐のなか戦う友よ、いざゆけ」と伸びやかな高音で歌う姿は彼の真骨頂。特に「いざゆけ」と優しく背中を押す歌声は表現力豊かで説得力がある。先述のインタビューで二宮は「デビュー当時は出来ないことや失敗してしまったことの方が圧倒的に多かった。でも諦めずに続けてきたことで、ようやくいろいろ分かってきた」と語っている。

きっと初めは右も左も分からなかったに違いない「歌をうたう」ことが、厳しいボイストレーニングや幾度とないコンサートを重ねることで自分の「居場所」となっていった。15年というキャリアを経ることで手にしたもの、そこからくる説得力が彼の優しいエールには詰まっているように聴こえてならない。

関連記事