新作『Attractive Museum』インタビュー

OSTER projectが語るボカロシーンの変化「今は視聴者も多様な曲を受け入れる体勢ができている」

いずれは舞台音楽にも挑戦したいそう。

「最近はイベントに30-40代の主婦の方なんかも来てくれる」

――新曲をアップするたびに、視聴者の反応を感じ取っていると思いますが、どんな反応がありましたか?

OSTER:やっぱり多くのリスナーにとっては、今までのかわいい楽曲のイメージが根付いていたので、一部から「Osterにこういうのは求めてない」という意見も正直に言うとありました(笑)。でもそれよりも「こういう路線もいけるんだ」という声があったことに手応えを感じました。

――「Music Wizard of OZ」などは、20分という収録分数の中に、色々な側面が入ったミュージカルのような曲ですよね。

OSTER:かわいいだけで20分通すと、絶対に飽きちゃうと思ったので。三食パフェだと気持ち悪くなりますよね(笑)。この曲は「いろいろな楽曲を作っていこう」というポリシーの集大成として作ったものなんです。

――OSTERさんの表現したい世界観の核の部分について伺います。何か一貫して変わらずに伝えたいものが頭の中にあって、それを表現していくタイプですか?それとも作っていく中で変化していくものに身を委ねるタイプですか?

OSTER:音楽に関しては、自分で作っていく中で「次に何が来たら気持ち良いだろう」という風に考えながら作ります。私は音楽理論の勉強などをあまりしていないので、設計図や譜面は書かずに、頭のなかで思いついた音楽をマウスで打ち込んでいっています。それを繰り返していますね。それに、コンセプトを決めてから作り始める曲の方が多いです。頭の中でイメージや登場人物、それの向かう結末などを頭の中で固めて、それに沿って展開や歌詞に使う単語を考えると、歌詞も出来ていきます。

――実際に、ユーザーとのコミュニケーションを含め、既に公開されている曲の手応えはいかがですか?

OSTER:最近ニコニコ動画は人が減ってきているような印象があって、正直あんまりわからないんですけど、イベントなどではけっこういろいろな年代の方が来てくれています。30-40代の主婦の方なんかも来てくれていて話しかけてくれました。しかも内容が「いつも鮮やかな7th(コード)の使い方が素敵です」という(笑)。聴いてくれてる方はいるんだ、という実感はそういうところで感じます。

――動画やアニメもそうですが、音楽以外の文脈もこの作品に流れ込んでいると思います。ご自身の音楽以外にバックグラウンドになっているものやカルチャーは?

OSTER:私は本を読むのが苦手で、国語も全くわからないんですけど、昔から映画はわりと好きで、ミュージカルやアニメーション、ハリウッド映画が好きなんです。ジョン・ウィリアムズのような、誰が聴いても爽快感のある派手なオーケストラがすごく好みで。現在上映中の『アナと雪の女王』はミュージカル色が強くて、『美女と野獣』の頃のディズニーを思い出しました。あと、活字は嫌いですが、ハリー・ポッターは何回も読んでいます。

――そういったミュージカルの劇伴のようなものを手がけることもいずれは視野に入れていますか?

OSTER:やってみたいですね。ミュージカルは昔から憧れていたものなので、目標のひとつです。魔法的な世界観は好きなので、音楽の中で表現したいです。台詞の入った作品に関しては、ボーカロイドを使うことが難しいと思うので、実際の舞台音楽などを手掛ける機会があったらいいな、と思います。

――ご自身が舞台演出からやってみるとか。

OSTER:演出となるとプロの方にお任せした方がいいと思います。音楽の分野でだったらもちろんやりたいです。いろいろなことを平行してやりつつですが、インストに力を入れたいですし、アーティストプロデュースもやってみたいし、ジャンルに縛られずいろいろチャレンジしたいです。いろいろですね、本当に(笑)。

(取材・文=編集部/写真=竹内洋平)

■リリース情報
『Attractive Museum』
発売:4月23日(水)
価格:初回限定盤(CD+DVD+楽譜集)¥2,800/通常版(CD)¥2,300(共に税別)

<CD収録内容>
1. MARSHMALLOW HOLIC
2. POMPADOUR
3. サマーアイドル
4. ドロッセルの剣
5. レツェルの騎士
6. 魔法使いのショコラティエ
7. tete-a-tete
8. ガンガンがんばリンク!!
9. flower of sorrow
10. 狐ノ嫁入リ
11. on the rocks
12. マスマティガール
13. おおかみなんかこわくないッ!
14. Music Wizard of OZ

<DVD収録内容>
1. Music Wizard of OZ Music Video
※初回限定盤のみ

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