ターボ向後監督のアイドルキュレーション 

グラビアとアイドルの境界線を飛び越える 「地下アイドル」の新しい表現のカタチ

まるで小説「ロリータ」のドロレス・ヘイズ? 黒宮れい率いるガールズバンド BRATS

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 スクールガールコンプレックスならぬ、ロリータコンプレックスという言葉を生んだナボコフの名作「ロリータ」は、現在のウェブにおけるテキスト環境を完全に先取りしたような鋭意な言語感覚と、女性に振り回されたい、そして破滅したいという、これまた現在におけるアイドルとそのヲタの方々の関係を予見したような小説だが、このBRATSのボーカルを担当する黒宮れいほど、そんなドロレス・ヘイズ的な無邪気さと攻撃性を秘めたアーティストは日本に存在しないといっていい。

 2009年から発売されている彼女のグラビアイメージ作品はとにかく天衣無縫で、見ているとカメラ酔いするくらい自由に、そしてキュートに自らの小悪魔っぷりを発揮している名作ばかりだ。そんな彼女が、BASS担当の姉の黒宮あやと共に始めたガールズバンドがBRATSである。

 メンバーの学業専念による脱退が相次ぐなど、波瀾万丈な遍歴がありつつも、ライブを重ねる度にロックボーカリストとして明らかに成長している彼女にも驚愕するが、いま一番注目されているのはブログで発揮されている黒宮れいの「言語感覚」である。読んでいただければ一目瞭然の独特のグルーヴ溢れるテキストは、ほとんど奥田民生の世界。そのまま歌詞にできるような絶品の「コトバ」である。現在は音源も乏しくライブでの活動が中心のBRATSだが、彼女が歌詞を書くようになった時こそ、その真価が現れるようになるに違いない。

BRATS(ほぼ黒宮れい)OFFICIALブログ

 グラビアイメージの活動もしつつアイドルとしてブレイクを果たしたでんぱ組.incの最上もがのように、今後グラビアとアイドルの境界を超えることで、新しい表現のカタチを手に入れた彼女たちが、アイドル界にさらなる新風を巻き起こしていく予感だ。

■ターボ向後
AVメーカー『性格良し子ちゃん』を率いる。PUNPEEや禁断の多数決といったミュージシャンのMVも手がけ、音楽業界からも注目を集めている。公式Twitter

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