Facebook、インタラクティブ・ライブ動画事業に注力か? スタートアップ「Videpresso」を買収

 SNS最大手Facebookが、またひとつスタートアップを買収した。InstagramやOculusといった企業名を挙げればわかるように、買収された企業は後々Facebookの重要なビジネスを担うことになる。今回買収された企業が担うビジネスも、最近、Facebookが注力しているものに関係している。

ライブ動画をインタラクティブにするVidepresso

 US版TechCrunchは14日、Facebookがアメリカ・ユタ州に拠点をおくスタートアップVidepressoを買収したと報じた。創業して6年になる同社は、ライブ動画に投票機能、コメントの表示、グラフィック等を追加してインタラクティブなコンテンツにできる動画制作ツールを開発している(トップ画像と以下の動画参照)。

Vidpresso:LIVE | The Leader in Live Streaming - Sizzle Reel 2017

 買収額は明らかにされていないが、Instagramを買収した時の7億1,500万ドル(約800億円)、あるいはOculusを買収した時の30億ドル(約3,300億円)といった大きな金額は動いていないと推測される。というのも、Videpressoの資本金が大きくないことがわかっているからだ。2014年、同社はベンチャーキャピタルのY Combinatorから12,000ドル(約130万円)出資してもらったほか、複数のエンジェル・ファンドから資金を調達していた。この出資額からわかるように、同社は大型出資を受けた投資家垂涎のスタートアップ、というわけではなかったようだ。

 なお、今回買収されるのは同社の開発チームと開発した動画制作ツールであって、同社自体は引き続き存続する、とのこと。おそらくはInstagramやOculusのように、企業名を残しながらFacebookの傘下に入る、ということになるだろう。

買収の背景

 今回の買収は、Facebookが提供しているライブ動画配信サービスの充実を狙ったもの、というのが大方の見方だ。2016年にiPhone向けに提供したのを皮切りに、現在ではPCからも利用可能な同サービスに関しては、現在までに35億件のライブ動画が視聴されたと言われている。この件数は、Facebookで視聴された通常の動画の6倍にのぼる。

 そんな大きな成功を収めている同サービスも、YouTubeがアンケート機能を実装したことに見られるように、近年のトレンドとも言える動画にインタラクティブな機能を求める市場のニーズに応えなければ、継続した成長は望めない。こうした市場のニーズに応えるために、Videprssoを買収してインタラクティブ動画制作ツールを手に入れた、と見られる。

 今回の買収に関して、Videpressoは公式サイトのトップ画面にコメントを掲載している。そのコメントでは、Facebook傘下となることで同社のツールをより多くのユーザに提供できるようになる、と述べている。また、同社にはすでにBuzzFeedやTEDといった有名メディアのパートナーがいることも伝えている。Facebookは、以上の有名メディアとも間接的につながることとなる。

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