『アンナチュラル』でも二次創作ブームに ドラマの楽しみ方“ニコニコ動画化”なるか?

 初音ミクをはじめとしたVOCALOID楽曲や、それに続く「踊ってみた」「歌ってみた」「弾いてみた」などの二次創作、またユーザーによる生放送やゲーム実況文化の先導となったニコニコ動画が衰退の一途を辿っている。

 ニコニコ動画を含む動画プラットフォーム「niconico」を運営するドワンゴの親会社・カドカワ株式会社が2月8日に発表した平成30年3月期第3四半期決算短信によれば、昨年9月末で228万人いた同サービスの有料会員「ニコニコプレミアム会員」の数は、昨年12月末で214万人と3か月で14万人も減少した。

 しかし、ニコニコ動画が勢いを落とす中で、同サービスが築いてきた文化は、全盛期を知らない世代にも受け継がれている。二次創作や生放送は、最近までログインしなければ動画の再生・投稿ができなかったニコニコ動画から離れ、比較的操作が簡単なTwitterやYouTube、LINE LIVEをはじめとしたプラットフォームに移行し展開されているのだ。

 さらに驚くことに、二次創作に関して言えば、同人文化が根付いているアニメやゲーム、漫画だけに留まらず、最近ではドラマの盛り上がりにもその傾向が見られるようになってきた。今期で言えば『アンナチュラル』(TBS系)が典型的な例だろう。

 石原さとみ主演・『逃げるは恥だが役に立つ』 の野木亜紀子が脚本を務めた本作は、死因を究明する“不自然死究明研究所”、通称UDIラボで働く人々を描いた法医学ミステリー。先の読めぬ展開、愛すべきキャラクターたち、実際の事件を予言したかのように現実味のある脚本など、ほかのドラマと比べても別格なクオリティーを見せ、人気を博している。

 しかも同作を基にファンたちから様々な二次創作も生まれているのだ。3月4日に放送された『TBSラジオ特番 米津玄師×野木亜紀子 アンナチュラル対談』を記念して、番組公式Twitterから「#アンナチュラルイラスト企画」と名付けられたハッシュタグとともにイラストを募集することが発表された。これを機に、愛が溢れた膨大な数のイラストがTwitter上に投稿されており、募集締め切りを過ぎても勢いは留まることがない。

 『アンナチュラル』は内容の質が高いだけでなく、番組公式Twitterと野木のTwitterがファンに非常に協力的なのも特徴的。石原をはじめ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊のUDIラボのメンバーを含むキャストのオフショットを発信するだけでなく、ファンたちの創作物をピックアップして紹介するという、異例の“神対応”を見せている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる