声優・河西健吾×岡本信彦『3月のライオン』対談 「二海堂は岡本くんのイメージとはかけ離れていた」

河西健吾×岡本信彦『3月のライオン』対談

 本日、10月14日よりTVアニメ『3月のライオン』第2シリーズの放送が、NHK総合テレビにて開始される。本作は、羽海野チカによる同名コミックを『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の新房昭之監督が手がけたアニメーション作品。幼い頃、事故で家族を失い、心に深い孤独を背負う高校生プロ将棋棋士・桐山零の成長を描く。第2シリーズでは、厳しい勝負が続く中、零のよりどころである川本家の次女・ひなたが、中学校でのいじめに巻き込まれていく模様が映し出されていく。

 リアルサウンド映画部では、主人公・桐山零役の河西健吾と零のライバルであり心友でもある二海堂晴信役の岡本信彦にインタビュー。本作への想いや撮影秘話、尊敬している声優など、じっくりと語ってもらった。【インタビューの最後には、チェキプレゼント企画あり!】

岡本信彦「陰が桐山で、陽が二海堂という印象」 

河西健吾(桐山零役)

 ーーアニメ『3月のライオン』の第二シリーズが放送されることについて、率直な感想を教えてください。

河西健吾(以下、河西):改めて、第二シリーズが決まってよかったなという安心感があります。でも今はむしろ第三シリーズもやりたいという気持ちが強いです。

岡本信彦(以下、岡本):わかる。僕も一緒ですね。とりあえず今ある原作のところまではアニメも続けたいなと。『3月のライオン』はアニメの第一シリーズと第二シリーズの間に、実写化された劇場版も公開されていましたよね。映画の方はオリジナルのラストまで描かれていました。たとえ長い年月がかかってしまってもいいので、アニメでも最後までやりたいというのが本音です。

ーー河西さんは桐山零役、岡本さんは二海堂晴信役ですが、役に決まった時はどんな気持ちでしたか?

岡本信彦(二海堂晴信役)

河西:お話をいただく以前から原作を読んでいて世界観が好きだったので、ぜひとも出演したいなという気持ちでいっぱいでした。でも、オーディションは水物なので受かるかどうかわからず……。実際、フラットな状態で受けさせていただいたので、決まったって聞いた時には嬉しさのあまり、すぐに実家に電話して「決まったぞ」って思わず報告しました。そんなこともありましたね(笑)。

岡本:子どもの頃から将棋をやっていたのもあって、僕も原作の漫画は兼ねてから知っていました。実際に読んでみたら、将棋が好きとかそういうのを抜きにしてもすごく面白い作品だったので、何かしらで関わりたいなと強く思っていたんですよ。だから、受かったって聞いたときはすごく嬉しかったし興奮しました。

ーー岡本さんは今回、今まで演じてきた役のイメージとは異なるキャラクターですよね。

岡本:そうですね。ぽっちゃり系はあまりやったことがなかったです(笑)。人間ドラマが描かれている作品で、これだけアツいキャラクターの声を務めさせていただくのも初めてでした。実はこの時期、二海堂のほかにもぽっちゃり系の役がもう一本、立て続けに決まったんですよね。こういう流れもあるんだなって驚きました。

ーー確かに二海堂はアツいキャラクターですね。

岡本:陰と陽が位置付けられているのだとしたら陰が桐山で、陽が二海堂という印象です。彼もまた抱えているものや過去は決して明るいものじゃない。でもそれらすべてを飲み込んで、バックボーンにしていますよね。ポジティブに前向きに生きていこうという気合に溢れている。そういった意味でアツい子だと思います。第一シリーズでは「ハァハァ」と苦しみながら極限状態で将棋を指すシーンがありました。そんな負けず嫌いな一面がある一方で、人情味溢れる姿も垣間見える。ライバルとして桐山に電話をかけて喝を入れるシーンなんて、とにかくアツいですよね。

ーーそんな二海堂に対して桐山は内向的で繊細という印象です。

河西:現実に、零が存在していたらやっぱり周囲と馴染めないような気がします。ただ、彼なりの優しさみたいなものは兼ね備えているので周りがほっとかないというか、守ってあげたくなるタイプなのかなと。零はあかりさんに拾われたことがきっかけで、川本家と関係を築いていく一方で、将棋会館でも二海堂はじめ様々な人たちと出会っていきます。本当は彼の周りはたくさんの人で溢れているのに、そこに気づいていないんですよね。自分は孤独だって、どこか壁を作ってしまっているんですけど、そういう自信のなさだったり鈍感さだったりを取っ払ったら、根っこはすごくいい子なんだろうなって、僕は感じています。

ーー桐山は心の機微がとても繊細に表現されていますよね。アフレコする際に何か意識していることはありますか?

河西:そうですね……。原作がある作品だと、中には原作とはかけ離れたオリジナル要素が強いアニメもあるんですけど、『3月のライオン』は原作をかなり忠実に再現しています。そのため、答えと言いますかヒントはすべて原作にあるので、僕は原作を重んじながらやっていますね。でも、アニメならではの表現の部分もあるので、そこは現場で臨機応変に対応しています。

ーー特に原作のどの辺を忠実に?

河西:零はナレーションやモノローグがものすごく多い役なので、セリフとそこの線引きは意識しています。特にナレーションは、零が喋ってはいるんですけど、視聴者の方が聞いたときに「零じゃん」って思われたくはないので、あくまで客観的に演じるよう心がけています。ナレーションは零のセリフではないので。ただ、第二シリーズになってからは零本人の心情を入れつつのナレーションも増えてきているので、そこは彼らしさを出すために感情を込めていますね。

(c)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

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