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10thシングル『青空のラプソディ』インタビュー

fhánaが初の京アニ作品主題歌で“踊った”理由「ダンス・ミュージックには主役がいない」

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 2016年は2ndアルバム『What a Wonderful World Line』とそれに伴うツアーを成功させ、8月にはシングル『calling』をリリース。アニソン、バンド、エレクトロ・シーンなど様々な境界線を越えてますます飛躍を遂げてきたfhánaが、最新シングル『青空のラプソディ』を完成させた。2017年の第一弾シングルとなる同作の表題曲は、京都アニメーション制作のTVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマ。同曲では、バンドの結成秘話をモチーフにメンバー全員がダンスを披露するMV同様、ディスコ~フィリー・ソウル直系の贅沢なサウンドを活かすことで、これまで見たことのない彼らの表情が全面に押し出されている。そして、この作品の何より重要なテーマと言えるのは、「異なる価値観を持つ人々が、いかに手を取り合い、共に歩んでいくか」ということ。そんな楽曲に込めた思いと彼らの現在地について、佐藤純一(Key./Cho.)、yuxuki waga(Gt.)、kevin mitsunaga(PC./Sampler.)、towana(Vo.)に訊いた。(杉山 仁)

「『今までの殻をぶち壊すことができるか?』という問いかけがあった」(佐藤)

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――シングル表題曲「青空のラプソディ」は、fhánaにとって初となる京都アニメーション作品とのタイアップ曲になりました。京アニと言えばfhánaのバンド名に影響を与えた『CLANNAD』の制作会社でもあるだけに、今回のオファーは感慨深かったんじゃないですか?

kevin:決まった時は本当に嬉しかったですね。

佐藤:『CLANNAD』がfhánaのバンド名に関わっているのはもちろんですし、個人的にも『涼宮ハルヒの憂鬱』が大好きで、京アニという制作会社自体に思い入れがあるんですよ。

towana:私も京アニ作品とのタイアップは「ずっとやりたい!」と思っていたので、気持ち的には「やっと」という感じで。

yuxuki:実は最初、プロデューサーの佐藤純之介さんから「今までの殻をぶち壊すことができるか?」という問いかけがあったんですよ。

佐藤:そうそう。「今までのイメージを振り切れるならいい話がある」と言われて、「できます」と答えたら、それが京アニ作品で、『小林さんちのメイドラゴン』だったんです。

――『小林さんちのメイドラゴン』は、原作も本当に面白いですよね。

佐藤:絵も可愛いし、ドタバタコメディでその時点で面白いですけど、ちょっと読み進めると、実はただドタバタしているだけじゃなくて、ディープなテーマがある。ドラゴンのトールがメイドの恰好をして人間の小林さんの家で働き始めるという居候コメディで、トールと小林さんとでは種族も文化も違いますよね。しかも本来は、ドラゴンの方が人間を殺す立場でもあって――。違う文化で生きてきたからこそ生じる葛藤があったり、それでも小林さんや周りのみんなが好きだからうまくやっていきたいというトールの想いがあったり、ドラゴンの世界から他のドラゴンがきて戦いをしかけてきたりと、違った文化同士の衝突や、それでも仲よくやっていくためにはどうするかというテーマが描かれていて、深いなぁと思いました。あと、登場人物がみんな孤独で寂しいんですよね。笑える要素も沢山あるんだけど、孤独なものたちが寄り集まって心が暖かくなっていく過程に、ホロリとくるというか。

yuxuki:僕もまず1巻を買って、気が付いたら全巻揃えていました(笑)。僕はファフニールさんが好きですね。それぞれのキャラが濃くて魅力的だし、会話だけでも面白い。

kevin:僕はギャグ漫画ってあまり通ってなくて、ギャグアニメもあまり観てこなかったんですよ。でも、この作品は面白くて、まんまと笑っちゃいました。

towana:しかも、アニメではちゃんと京アニのキャラデザになっているんですよね。話自体も、これから原作を京アニさんがどんな風に作品に仕上げていくのかすごく楽しみです。

TVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』 PV第1弾

――今回はfhánaとしてオープニング曲「青空のラプソディ」を担当して、エンディング曲のちょろゴンず「イシュカン・コミュニケーション」も佐藤さんが作曲、yuxukiさんがギターで参加しています。まさにがっつりと作品に関わっている形ですね。

佐藤:そうですね。今回の「青空のラプソディ」は「fhána史上もっとも明るい曲を作ってくれ」と言われたんですけど、実は色々と試行錯誤しました。最初はこれまでのfhánaにもあったような、テンポが早くて明るいロック曲を作ったら、「もっととんでもないものを作ってほしい」と言われて。「電波ソングみたいなものを作る必要があるのかな」とも思ったんですけど、自分が好きで聴いてきた音楽の中で、明るくて、fhánaがあまりやってこなかったものとして、ディスコやソウル・ミュージックというテーマを思いついたんです。

――「青空のラプソディ」はまさに、ディスコストリングスが効いたフィリー・ソウル的な楽曲ですね。しかも、Aメロの裏で取るビートがドタバタしていて、そこに小林さんやトールたちが織り成すにぎやかな日常の風景が見事に表現されていると思いました。

佐藤:ディスコっぽいストリング・アレンジでスタートして、ドタバタしたAメロがあって、Bメロから転調してロマンティックなコード進行になって、サビでパーッと開ける展開で。ドラムは僕の打ち込みで、ベースは(『けいおん!』の関連作なども手掛ける)信頼のおける田辺トシノさんにお願いしました。後半にはまさにディスコ・ゾーンがありますね。でも、この曲には疾走感も切なさもあると思うんです。ドタバタしていて、明るくて、しかも切ない。これは『小林さんちのメイドラゴン』の魅力でもあると思うので。それから、<chu chu yeah!>というガヤっぽいパートは、メンバーみんなでブースに入って録ったりました。間奏の「ヘイ! ヘイ!」とかもですけど、お客さんと一緒に言いたいと思ったんですよ。ただ、最初はそのフレーズが<chu chu yeah!>になるとは思っていなかったですね。<stay with me!>ぐらいのイメージでいたら、林(英樹・fhána楽曲すべての作詞を担当)くんからこの歌詞が送られてきて、最初は「大丈夫かなぁ」って(笑)。

――今回はみなさん同様、林さんも普段のイメージをだいぶ踏み越えていますよね。

kevin:そうなんですよ。かなり踏み越えてくれているんです(笑)。

――towanaさんも、テンポが速くて展開も複雑な曲だけに、歌いこなすのは大変だったんじゃないですか?

towana:早口で歌詞が長いから時間はかかりましたけど、歌いこなすこと自体は難しくはなかったです。<chu chu yeah!>も最初は照れくさかったですけど、4人でブースに入って録音したり、男の子メンバーだけで録ったりもして、すごく楽しい雰囲気でした。

佐藤:楽器は相当難しかったですよ。「開けたことのない引き出しを開ける」という感じで。yuxukiくんのギター・ソロでは、YouTubeでビバップのギター・ソロの教則映像を観たりもしましたね。

yuxuki:家でソロを考えてスタジオに向かったら、「こういうのを弾いてほしい」とYouTubeの動画を見せられて、「はぁ!?」って(笑)。もちろん、楽しかったですけどね。

佐藤:「(ビバップは)小指使いが大事なんだよ」とか言いながら……。

kevin:それでいきなり弾けちゃうのが凄いなって(笑)。

佐藤:さっきフィリー・ソウルの話が出ましたけど、今回はMFSB(音楽番組『ソウル・トレイン』のテーマ曲「T.S.O.P.」などで知られるフィラデルフィアのソウル・バンド)やロリータ・ホロウェイ(ゴスペル・シンガーからキャリアをはじめ、サルソウルから多数のヒット曲を放ったソウル・ディーヴァ)のような、ゴージャスなストリングスやワウギターが鳴るソウル・ミュージックが作りたかったんです。それで、今回はストリングスもこれまでで最大の12人編成にしました。そのうえでミックスを考えて、ゴージャスだけどスッキリした、ノリノリのディスコ・サウンドを作りたいと思っていたんですよ。

――ディスコは価値観の違う人たちがひとつになって踊ることで発展していった音楽ですが、『小林さんちのメイドラゴン』もまた、異なる価値観の者同士が心を通わせていく作品です。そういう意味でも、今回の作品にはディスコが合っていたのかもしれないですね。

佐藤:確かに、ダンス・ミュージックにはそういう魅力がありますよね。ロックにはステージ上の演奏者が神のような存在で、その人の物語を楽しむという感覚がありますけど、ダンス・ミュージックは主役がいなくて、みんなで盛り上がって溶け合うような感覚があって。言われてみると、確かにそういう部分はあったのかもしれないです。

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