『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』 公開記念インタビュー
AKB48 大和田南那&込山榛香、15期生メンバーが語る“グループを引っ張る覚悟と成長”
AKB48の活動を追ったドキュメンタリー映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』が、7月8日より劇場公開をスタートした。同作品は、AKB48のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズの最新作。今回はSKE48のドキュメンタリー映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』などを手がけた石原真氏が監督を務め、10年の節目や高橋みなみの卒業を経験したメンバーたちが見据える、“次の10年”を描いた意欲作だ。今回リアルサウンドでは、グループの次世代を担う15期のメンバー・大和田南那と込山榛香にインタビュー。映画の見どころや高橋みなみの存在、後発グループの追い上げに感じることのほか、先日行なわれた『AKB48 45thシングル選抜総選挙』での躍進などについて、大いに語ってもらった。(編集部)
「自分が好きだったAKB48と、今の私がいるAKB48は全く違うもの」(込山)
――今回の監督は『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズを3作連続で撮影した高橋栄樹さんに代わり、長年TVプロデューサーとしてグループを撮り続けたNHKエンタープライズの石原真さんが担当しました。監督が変わって一番変化したと思う部分を教えてください。
大和田南那(以下、大和田):石原監督は私たちにとって身近な大人の方のひとりなので、色んなことを話せるんです。ファンの方でもあるので、私たちのことをよく知っていてくれるんです。コアな部分も理解してくださっていて、楽しく話してくださるので、素の表情がいっぱい引き出されてしまいます。
込山榛香(以下、込山):私はこれまで『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズをファン目線で見ていました。以前までは過呼吸のシーンなどグループの過酷な裏側を描いている印象だったのですが、今回は親戚のおじちゃんが、よく知っている親戚の子を撮っているような感じです(笑)。ホームビデオを見ているような気分で、すごく身近に感じました。
大和田:たしかに。今回は気持ちが穏やかでいられるし、楽しくみられるような印象を受けました。一人ひとりのメンバーや一つひとつの現象をピックアップしての解説も、石原監督らしいなと思いました。
込山:あと、前までは総選挙の裏側を追いかけていたけど、基本的には選抜メンバーの方をじっくりと取り上げていました。でも今回は、解説を入れながら私たち若手メンバーについて、個人の順位や全体のことをわかりやすく撮影していただいて、すごくありがたかったです。
――おふたりがそれぞれに思う『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』の見どころは。
大和田:岡田彩花さんが東京ドーム公演で「桜の木になろう」をセンターで歌った謎が明かされるシーンです。あれは現場にいる私たちも「え? 岡田さん卒業するの?」と思うくらいビックリした出来事だったので、今回の映画で真相を知って驚きました。そういうファンの方が気になったところを探ってくれるのは石原監督ならではですね。私も石原監督から「正直、向井地さんと仲悪いんですか?」って聞かれましたし(笑)。
込山:私は、NGT48の荻野由佳ちゃんがピックアップされるシーンです。彼女とは、15期生のオーディションを一緒に受けた仲なので、すごく刺さりました。それに、昔の先輩たちはAKB48に入ってからの苦悩を取り上げられることが多かったけど、荻野由佳ちゃんは、AKB48グループに入るまでの苦悩が描かれていて。同じく映画で取り上げられていたNGT48の西村菜那子さんもそうですが、これほどまでに「AKB48に入りたい」と熱い思いを持っている子ってすごいと思うんです。私たちは恵まれたタイミングからのスタートなので、先輩たちが乗り越えてきた苦悩はテレビでしか知らないですし、「若手は頑張ってない」「やる気がない」「ガツガツしてない」と言われることもあります。まだまだ力不足かもしれないですが、若手は若手なりに今の状況を考えて、自分たちがAKB48を引っ張っていけるように日々努力しているので、この映画はその一部が伝わる良い機会になってくれると思います。たとえ先輩たちのようにはいかなくても、自分たちのやり方で頑張っていきたいと思いました。
――その「自分たちなりのやり方」は、どのように見出そうとしているのでしょう。
込山:私は、(向井地)美音ほどではないですけどAKB48のファンなんです。でも、前田敦子さんや大島優子さんと一緒にお仕事をしたことがなくて、外側からしかその方たちの時代を知らないんです。だからこそ、自分が好きだったAKB48と、今の私がいるAKB48は全く違うものだと思っています。これから新しいAKB48を今いるメンバーで作っていきたいと思いますし、そのうえで「昔と違う」と言われたくない。私自身は今のAKB48のほうが好きになってきているので、ファンの皆さんにもそう思っていただけるように頑張りたいです。
――なるほど。おふたりは今のAKB48だからこそ持つ「良さ」って何だと思います?
大和田:もともとファンだったメンバーも多いので、アイドル側とファン側、両方の気持ちがわかることだと思います。
込山:それに、先輩たちが残してくださった実績があることも大きいです。
大和田:そうだね。先輩たちが作ってくださった基準があるから、それを踏まえて新しいことができたり、その基準を目標にして、さらに上のものを実現させようと思えるんです。
込山:より良いものを実現しようとするときに、以前までのことを教えてくれる方もいるし、危なくなったら守ってくれる方もいるので、とてもありがたい環境にいると思います。
――おふたりがそれぞれに思う『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』の見どころは?
大和田:見終わったときに、今までよりもさらに前向きになれるところです。
込山:私は、一人ひとりの取り上げられる回数が多いところです。それもまたAKB48というグループのいいところだと思うので、楽しんで観てほしいです。
――今回のドキュメンタリーは、高橋みなみさんの卒業が一つの大きなトピックですが、おふたりにとって高橋さんとはどのような存在ですか。
込山:私にとって、たかみなさんは恩人なんです。たかみなさんがいなかったら、今こうしてAKB48で楽しくやっていられなかったと思いますし、自分自身のことも好きになっていなかったと思います。たかみなさんは私が何を思っているのか、言わなくても気づいてくれましたし、言葉にしなくても背中を見せて引っ張ってくれる存在でした。先日の『45thシングル選抜総選挙』のスピーチで、私は「『努力は必ず報われる』この言葉を私が証明していきたい」って言ったんですけど……。
――あれは良いスピーチでした。
込山:ありがとうございます! 本当に自分が頑張らないと状況は変わらないと考えているので、その努力が自分だけじゃなく、周りに伝わっていけばいいなと思います。AKB48は、私やメンバーの頑張りだけではなく、ファンの皆さんが頑張って投票してくれたり、握手会でずっと並んでくれたり、ずっと応援してくださるからこそ長く続いている。そんなファンの方の努力が報われるのは、メンバーが笑顔であることだと思いますし、メンバーが報われたら支えてくださっているスタッフの方も報われる。みんなの努力が報われるよう、私が証明していきたいという思いを、あのスピーチには込めました。
――では、大和田さんにとって、高橋みなみさんの存在とは?
大和田:高橋さんは背中でグループを引っ張ってくれていた存在でした。卒業を発表されてからの1年は、みんな不安だったと思うんですが、実際に横山(由依)さんが総監督になると、意外と不安より楽しみな気持ちのほうが大きくて。横山さんは引っ張るというより、全員一列に並んで一緒に歩こうというタイプの総監督なので、「自分たちも作っていっていいんだ」「一緒に作り上げなきゃ」という自覚を持たせてくれるんです。
込山:そういう意味では、親離れした気分です(笑)。たかみなさんはAKB48におけるママのような存在なので、姉である横山さんと一緒に親離れしようとしているのが今のAKB48なのかもしれません。
――映画内では、若手メンバー躍進の象徴として、44thシングル『翼はいらない』でセンターに抜擢された向井地美音さんが多く取り上げられていますが、おふたりは向井地さんの活躍と自分たちの現状についてどう思いますか。
込山:私たち15期生のメンバーはこれまで、「三銃士(14期生である岡田奈々、小嶋真子、西野未姫の3名に対してファンが命名した呼称)」の先輩が上にいたから、選抜発表があっても「15期生なんかが入れない」という気持ちを持っていました。でも、南那と美音が『希望的リフレイン』で選抜に入ったことや、美音が「翼はいらない」でセンターに抜擢されたことで、「15期生でもAKB48の看板をはることができるんだ!」って一気に希望が湧いてきました。もちろん、自分が入れなかった悔しさはあります。ただ、「神様は乗り越えられる困難しか与えない」というし、これまでも実際そうだったので、総選挙の勢いのまま選抜に入れるようにもっと頑張ろうと思います。
――大和田さんは「party is over」でセンターを務めるなど、研究生からの昇格当初はすごい勢いでしたが、ここ数作はすこし選抜から遠のいています。正直この1年は辛かったのでは?
大和田:加入から4年が経って、この1年が一番自分に満足のいかない年でした。44枚目の選抜に入れなかったことも、悔しいというよりどこか自分の中で諦めてしまっている部分もあって。でも、総選挙で票数が上がったのは本当に嬉しかったですし、見てくれている人がいることに改めて気づいたので、ここから頑張っていこうと改めて思いました。