chayが新曲で挑んだ、昭和歌謡とJ-POPの接続「音楽の奥深さに触れて意識が変わりました」

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 chayが10月21日にシングル『好きで好きで好きすぎて』をリリースした。同作は1stアルバム『ハートクチュール』の発売から半年の期間を経て制作した新作で、ヒット曲「あなたに恋をしてみました」の続編ともいえる、昭和歌謡曲の進行や展開を踏襲したサウンドと、2015年の今だから描ける詞世界をミックスした表題曲を含む3曲(通常盤は4曲)が収録されている。『CanCam』の専属モデルとしても活躍し、若い世代に厚い支持を得ている彼女が、次に目指す到達点とは何なのだろうか。じっくりと話を訊いた。(編集部)

「さらに昭和歌謡の奥深さを追求して、世代を問わずに楽しめるものにしたいと思った」

――今回の新曲「好きで好きで好きすぎて」は、chayさんのヒット曲「あなたに恋をしてみました」に続き、懐かしい昭和歌謡曲のテイストがふんだんに取り入れられた楽曲ですね。

chay:そうですね。「あなたに恋をしてみました」は、月9ドラマ『デート〜恋とはどんなものかしら〜』の主題歌ということもあって、これまでの作品の中で一番多くの方に届けることができました。また、昭和歌謡テイストのメロディやサウンドになっていたことから、聞いてくれる方の世代が広がった実感があります。今までは、ライブに足を運んでくださる方のほとんどが、高校生や大学生など、同世代の女の子ばかりだったのですが、今年、初めて行った全国ツアーでは家族連れの方も増えていて、すごく嬉しかったんです。

――それで今作では、さらに歌謡曲テイストを追求した、と。

chay:はい。その上で私たちが目指していたのは、当時を知る人には懐かしく感じてもらえて、逆に同世代の若い方にとっては新鮮に感じてもらえるような、絶妙なポイントだったんです。その結果、実際にリスナーの方から「ウチのお父さんが歌っていて面白かった」とか、「親子でカラオケで歌っている」といったメッセージを頂いて。今の時代、家族でコミュニケーションをとる時間が減ってきていると思うので、そうした中で私の曲が、家族のコミュニケーションツールとして使われているというのは、すごくやりがいを感じましたし、アーティストとして自分がやるべきことを見つけられたようにも思いました。私のライブを家族の思い出にしてもらえたりするのは、本当に幸せなことだなって。だからこそ、今作ではさらに昭和歌謡の奥深さを追求して、世代を問わずに楽しめるものにしたいと思ったんです。

――chayさんのアーティスト像もより明確になりましたね。

chay:耳ではもちろん目でも楽しませることができるアーティストになりたいという目標をずっと掲げてきたのですが、自分にしかできないことや、自分らしいスタイルというものがどういうものなのか、これまではよくわからなかった部分もありました。でも、「あなたに恋をしてみました」はすごく自分にしっくりきたんです。

――実際、chayさんは『CanCam』の専属モデルとして、若い女性のトレンドセッターのひとりとしても活躍しています。

chay:『CanCam』を読んで、私の音楽を聴き始めてくださった方もいらっしゃったり、逆に私の音楽を聴いて『CanCam』を読んでくださるようになったり…そういう風に色んな入り口があるのは、すごくありがたいことだと感じています。ファッションも大好きですし、メイクも大好きなので、そういう部分も曲と同時に発信できるエンターテイナーになっていきたいですね。

――chayさんはかねてよりシンディ・ローパーへの憧れを表明してきましたが、実は子どもの頃から昭和歌謡曲にも親しんできたそうですね。

chay:両親の影響もあり、自然と聴いていました。平山三紀さんの「真夏の出来事」や、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」や、郷ひろみさんの「男の子女の子」や、南沙織さんの「17才」や、それこそ「サザエさん」もそうなのですが、筒美京平さんの楽曲は特に親しんでいたと思います。今回の楽曲は、まさに筒美京平さんへオマージュを捧げていて、作曲してくださった多保孝一さんには昭和歌謡曲のことを色々と掘り下げて教えていただきました。音楽の歴史的な部分はもちろん、サウンドの作り方やコード進行まで私にとっては新鮮なことばかりで、本当に勉強になりました。たとえば3曲目の「Celebrate You」は、Aメロ〜Cメロまで全部同じコード進行で、その制約の中だけでメロディを紡ぐということに挑戦しています。こうした楽曲の作り方があるのだと視野が広がりました。

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