ジャスティン・ビーバーお騒がせの背景は? 「奇行」を誘発する米メディアとの対立
1月23日に飲酒運転の容疑などで警察に逮捕され、2500ドルの保釈金を払って釈放された、カナダ出身の人気歌手ジャスティン・ビーバー。過去にもワールドツアーで訪問した各所でトラブルを起こすなど「奇行」の多さで知られる彼だが、ここにきて米国内で「国外退去を求める嘆願書」の署名が21万人分も集まるなど、社会的にも渦中の人物になりつつある。
それにしても、ジャスティン・ビーバーはなぜ、奇行とも言うべき振る舞いを続けるのか。海外のアーティスト事情にも通じているライターの麦倉正樹氏は、「パパラッチメディアの取材が過激化したこと」を背景のひとつに挙げる。
「ジャスティンはもともと中性的な容姿で声も高く、アイドル性があったため、瞬く間にティーンたちのスターになりました。しかしジャスティン自身はここ数年、タトゥーを入れたり、髪型を変えたり、ズボンを腰履きにしたりと、ヒップホップや西海岸周辺の文化に対する興味を持ち始めています。友人関係もそれに伴い変化し始めていることが、彼自身がここ数年で一番大きく変わった部分でしょう。そうした変化をパパラッチメディアは見逃さず、交友関係やパーティの様子などをさかんに報じ、ジャスティンもそれに激しく反発。しだいに行動がエスカレートしていった面は見逃せません」
今回の逮捕劇では、ジャスティン本人の写真がバッチリ撮られたことも、彼の形勢を不利にしているようだ。
「これまではたびたびゴシップを報道されてきたものの、ジャスティン本人であるかどうかが不確かな情報が多かったのです。しかし、今回のマイアミで起こった事件では、本人の写真も撮られていることから、ジャスティンを叩きたいと思っていたメディアから総バッシングを浴びる結果となりました。『若くて金持ち』の『マスコミに反抗的な子供』が、『飲酒』をして『ランボルギーニ』で『スピード違反』を起こしたという格好のネタだったからです」
今回の事件が大きな話題になっている要素はもう一つある。それは前述のアメリカの政府機関の象徴であるホワイトハウスの目安箱のようなものであるサイト「ウィー・ザ・ピープル」に、ジャスティンの国外退去を望む声が約21万人(現在も増加中)から上がったからだ。
このことについて麦倉氏は「ホワイトハウスはここに寄せられた意見が10万通を超えると、国家として公式な回答を、1ヶ月以内にはしなければならないというルールがある。オバマ大統領は愛娘がジャスティンのファンで、過去にホワイトハウスに招待したこともあるため、複雑な心境でしょう。しかし、対応しないとなると、アメリカの民主主義の根幹に関わるので、2月22日(署名が10万通を超えた1月22日から1ヶ月後)までには確実に何か動きがあるでしょう」と予想した。
予想を超えた規模で問題になっていることに対し、本人はどう受け止めているのだろうか?
「これまでのスターであれば、一切の活動を自粛していたかもしれません。しかし、彼にはTwitterに約4000万人のフォロワーがいます。これは彼にとって心強いことだと思っているようで、騒動の後もMVの告知をしたり、写真をアップしたりとファンに対してメッセージを送り続けています。逮捕後に撮られたマグショットが笑顔だったのも、『自分が悲しんでいると、ファンが悲しむ』と思ったゆえのものだったのかもしれません」
最新作は昨年末に配信限定でリリースされた『Journals』。1月31日には「マリファナ陽性反応が出た」との報道もなされており、ジャスティン・ビーバーの今後の音楽活動については不透明さが増している。
(文=編集部)