デザイナー・安村俊介が語る、「ツール」を起点に始まるクリエイティブ しぐれういライブ演出の裏側と「ネオクロ」の衝撃

5月30日に開催されたしぐれういのライブ「SHIGURE UI Birthday Live “Wishing Umbrella”」の終演後、あるSNSの投稿が話題になった。しぐれういの人気楽曲「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」のライブ映像に、アドビがことし4月に発表したフォント「ネオクロ」が先行利用されていたのだ。
【Works】
Kアリーナ横浜で開催された、しぐれういリアルライブ『SHIGURE UI Birthday Live “Wishing Umbrella”』にて、
M16 『粛聖!! ロリ神レクイエム☆』演出映像制作を担当致しました。また、Adobe様より、公開前の新作フォント『ネオクロ』をお借りしてリリックタイポグラフィ作成しています!… pic.twitter.com/HZ6S6YHlFZ
— 安村俊介 YASUMURA Syunsuke (@Syun_blocks) May 30, 2026
「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」といえば、軽快なテンポとダンスで知られる楽曲。映像の歌詞表現が元のMV映像の世界観にマッチしていたこと、そして正式リリース前の新フォントの具体的なユースケースが出てきたことで、ファンだけでなくクリエイターの一部も反応していた。
今回、筆者は映像を制作したデザイナー・安村俊介氏に話を聞いた。「ネオクロ」の先行利用は、安村氏がクリエイティブ制作において「新しい表現」を探求する過程での偶然の出会いだったという。(三沢光汰)
「新しいツールや現象によって、どういう表現が可能になるか」を探求

——まずは、読者に向けてこれまでの経歴やバックグラウンド、いま主に手掛けられているお仕事やプロジェクトについて教えていただけますか。
安村:経歴というほどのバックグラウンドがあるわけではないのですが、現在は早稲田大学でHCI(ヒューマンコンピュータインタラクション)という分野の博士課程に所属しています。
お仕事については、いただけるお話を引き受けていたら、気付けばいろいろな現場にいた、という感じです。「これが転機だった」という明確な出来事があったわけではなく、気づいたらデザインの仕事をしていた、というのが正直なところです(笑)。
研究についてお話しすると、いまお仕事で携わらせていただいている分野とは少し離れていて、「インタラクション」という概念について研究しています。この後お話しすることにも関わってはくるんですが、「新しい技術や素材、身の回りにある現象をツールとして捉え直し、人とモノ・コトの関わり方に新しい可能性をつくれないか」ということを考えています。
——お仕事の実績や、Xの告知などを拝見していると手広くやられている印象です。
安村:そうですね。最近だと、『Xross Stars』というトレーディングカードゲームのブランドデザインとアートディレクションを担当しています。大会があったり、パラレル仕様カード(※いわゆるキラカード)の印刷加工をディレクションしたり、版制作を全部担当したり、映像広告を作ったりと、プロジェクトの中でいろいろクリエイティブワークがあるんですけど、その全ての監修をしています。
本日発売のTCG Xross Stars 第4弾『Grand Resonance』
今回も印刷加工良い感じに仕上がってます✨毎度引き続き全カードの印刷加工DTP担当しております。ぜひお買い求めください~!
動画は、KVにも映っている「とおこ」「じゃすぱー」「千燈ゆうひ」のLRPPサインカード@Xross_Stars#クロスタTCG pic.twitter.com/4Riv9rOvhR
— 安村俊介 YASUMURA Syunsuke (@Syun_blocks) July 17, 2026
あとは、個人として映像のお仕事をいただくことも、もちろんあります。直近だと、少し前にリリースされたものですが、集英社ゲームズさんから発表された、米澤穂信先生の書籍『本と鍵の季節』のゲーム化に関するプロモーションムービーを担当しました。
【Works】
米澤穂信さんの人気小説がゲーム化した、ドラマライク アドベンチャー『本と鍵の季節』プロモーション映像を制作しました📕🗝️#本と鍵の季節ADV https://t.co/MaQmfxOUFq
— 安村俊介 YASUMURA Syunsuke (@Syun_blocks) July 31, 2026
——デザインなど、クリエイティブワークをやられるようになったのはどんなキッカケからですか?
安村:もともと、デザインやクリエイティブに興味はあったんです。最初に触った本格的なクリエイティブツールはアドビの『Adobe After Effects』で、モーショングラフィックスを作るために入れました。イラストが描けるとか、3Dモデリングができるとか、別のスキルセットがあったわけではないので、初期のお仕事ほどモーショングラフィックスっぽいというか、映像案件が多いんですよね。それもあって、最初は結構エンタメ寄りのお仕事をいただくことが多かった、という流れになります。
——入り口はモーショングラフィックスだったんですね。何かの作品に出会って触発されたような形ですか?
安村:少し話が逸れるかもしれませんが、もともとゲームの『マインクラフト』をずっとやっていて、いわゆる「建築勢」として大きな街を作ったりして遊んでいたんです。あとは「リソースパック」というブロックの見た目を変えるテクスチャを描いて配布するというのもやっていましたね。
——「作って出すこと」の原点ですね。
安村:そうです。その後、大学に入るタイミングで、もう少し外に開いた活動、『マイクラ』以外の場所でも何かをやってみたくなって。くわえて、人と関わる活動、パフォーマンス的なことにも興味が出てきて、ダンスサークルに入ろうかと考えたりもしました。結局その時は入らなかったんですけど(笑)。
ただ、とあるモーショングラフィックス制作チームの映像を見たときに、単なる映像というよりはパフォーマンスに近いなと思って。ボディランゲージの延長じゃないですけど、それがかっこいいなと思って。最初は『After Effects』から入ったんですけど、実は「映像だけをやりたい」と思ったことはなくて。広く人に見せるコンテンツ、人にどう見られるかの設計をやりたいと思って、今のお仕事に携わらせていただいています。
——それを伺うと、『Xross Stars』のブランドディレクションをされているのもすごく納得がいきます。設計を担当する役回りとして参加しているんですね。
安村:僕は師匠がいないので、会社に入って先輩に教わってとか、どこかの業務にアサインされてという学び方をしていなくて。なので、スキルセットベースというよりは、「どういうことをしたら、どういうふうに見られるのか」をビジュアルベースで作るみたいな、それにかかわる全般をずっと見ていた、という感じですね。
なので、僕は明確な作家性があるタイプではなく、どちらかといえばジェネラリスト寄りなんです。そのおかげか、「とりあえずチームに入ってくれ」「作るものはまだ決まっていないけど、とりあえずいてくれ」という呼ばれ方をすることが割とあって、『Xross Stars』なんかはまさにそれでジョインした形ですね。
——ジェネラリストだからこそ、とりあえず一回声をかけて入っておいてもらえば、結構いろんな状況に対応できるというか、どんな状況でも一緒に作っていける人だなと思われているのかもしれないですね。
安村:『Xross Stars』も、最初から印刷加工をやる予定ではなかったんですよ。気づいたら印刷加工がめちゃくちゃ上手くなっていたんですけど、それも「やれ」と言われたからなんとかした、みたいなところがあって……(笑)。
今大会の景品カードもいい感じです。
いつも通り、印刷加工担当しております。キラキラ〜✨️イラストはぼるめてさん!@BORUMETE#クロスタTCG https://t.co/gDE1OgWnQU pic.twitter.com/yjJNaTRl1J
— 安村俊介 YASUMURA Syunsuke (@Syun_blocks) August 9, 2026



















