中国AI・Kimiに聞いたら、答えていたのはClaude? Anthropicが約30万件の入力転送を報告

 Anthropicは9月10日、AIの不正利用に関する調査レポートを公開した。中国のAIサービス「Kimi」を開発するMoonshot AIが、利用者のリクエストをClaudeに転送し、その回答を利用者に表示していたと報告している。Kimiが回答していると思っていた利用者に、実際にはClaudeの回答が届いていたという。

 同社によると、ある10日間に転送されたリクエストは約30万件に上り、大半がClaudeのOpusモデルで処理された。アクセスには5380の不正アカウントからなる中継サービスのネットワークが使われ、その多くはシンガポールや日本に所在するように見えたとしている。

 Moonshot AIは転送したやり取りの少なくとも一部を保存し、Claudeが回答に至る推論過程を取り出して、自社モデルの学習にも使っていたという。Anthropicが2026年5〜7月にMoonshot AIによる「蒸留」の活動として確認したやり取りは2300万件超。この数字は、前述した利用者のリクエストの転送件数とは集計対象が異なる。

 蒸留とは、あるAIの出力を教材として別のAIを学習させる手法だ。技術そのものは広く使われており、Anthropicも、小型で安価なモデルを作る用途などを挙げている。同社が問題視しているのは、不正アカウントなどを使って利用規約や地域制限を回避し、許可なく自社モデルの能力を取り込む行為である。2月23日の発表でも、Moonshot AI、DeepSeek、MiniMaxによる蒸留目的の利用を指摘していた。

 今回の報告では、転送された入力に顧客の機密情報が含まれていたことも指摘された。事例として、中国の大手国有企業のエンジニアが、社内システムの開発時に入力した内部コードや、実際に使える認証情報が挙げられている。一方、Anthropicは、Moonshot AIが転送について顧客に通知していたかどうかは把握していないとも記している。

 これらはAnthropicの調査に基づく主張である。同社は、推論過程を取り出す手法への防御を強化するため、新たな対策を導入しているとしている。

 

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