『ぽこ あ ポケモン』の「ルネシティ」再現建築がスゴい “サントリーニ島風”など考察を交えてリビルドした力作
2026年3月5日に発売された『ぽこ あ ポケモン』は、ポケモンの世界でスローライフを送りながら自分だけの風景を作れるクラフトゲームだ。主人公はメタモン。さまざまなポケモンの能力を借りて、何もない世界に賑わいを取り戻していく。本筋のストーリーとは別に、アイデア次第でポケモンの世界観を自由に表現できる「クラウド島」も用意されており、熱心なプレイヤーによるワールド開拓が日々続いている。
そのクラフト機能を使い、ホウエン地方の「ルネシティ」を再現した動画が公開されている。面白いのが、「2D〜2.5Dでしか存在しないマップを、オープンワールドとして再現したらどうなるか」をテーマに、原作の情報を土台にしつつ、描かれていない余白は制作者の解釈で埋めているところ。
動画の作者「ポケ文句2 (Pokemon Theories)」氏は、普段は『ポケットモンスター』シリーズの考察を投稿しているチャンネルだ。世界観の掘り下げから生まれる独自解釈で、シリーズの新しい見方を提供してくれる。
整地とカルデラ掘りから始まる「ルネシティ」のリビルド
ルネシティは『ポケットモンスター ルビー・サファイア・エメラルド』とそのリメイク版『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』に登場する街だ。パッケージポケモンの「グラードン」「カイオーガ」と出会う「めざめのほこら」があることで記憶に残っている人は多いだろう。
この街には「海底火山の噴火でできた」という設定がある。それを形にするため、制作者はまず更地を整地し、巨大なカルデラを掘るところから着手した。街への入り方も原作準拠で、深い海でダイビングを使い、海底洞窟を抜けて浮上する。
家屋のデザインやめざめのほこらの造形は、ルネシティが登場する複数の作品を組み合わせて再構成されている。
ルネシティと成り立ちが類似する「サントリーニ島」がモチーフ
この建築で面白いのは、2Dマップでは描かれなかった部分の埋め方だ。カルデラの中に発展した街という地理から制作者が連想したのは、ギリシャのサントリーニ島やミコノス島だ。サントリーニ島もまた、紀元前の巨大噴火で島の中心が吹き飛び、海水が流れ込んでできたカルデラの上に成り立っている。断崖の縁に沿って白い家々が積み重なり、細い路地と階段が斜面を縫う。眼下には海に沈んだカルデラが広がる。「海底火山の噴火でできた街」というルネシティの設定と、地形の成り立ちがそのまま重なる。
原作には存在しないエリアも建設された。インバウンド向けのヴィラリゾートが建ち、路地やバルコニーから中心街を見下ろせる。「デートスポットとして栄える」という原作のセリフひとつから、ここまで世界観を広げている。
ポケモン世界ならではのロケーションも多い。キレイハナが管理する中庭と農園、なんちゃって秘密基地、桟橋。さらに『劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス』の舞台「アルトマーレ」を意識した2本の柱や、シンオウ地方の「送りの泉」と同じ系統のものではないかという解釈から生まれた祠も置かれている。
仕様の穴を突くテクニック
見た目を支えているのは建築の小技だ。本来なら「家判定」が通らない広さを成立させる方法、床下高さ1マスの部屋の作り方、特定の空間にだけBGMを流すゾーニング設定など、実践的なノウハウが随所に出てくる。
景観を優先して共有装置をあえて置かない判断や、飲食店に男女別のトイレまで用意する徹底ぶりからは、「ルネはきっとこんな街なんだろう」という制作者の思想がそのまま伝わってくる。
動画終盤ではライトアップされた夜のルネの全景が映される。この光景を自分で見てみたかったことが、制作の動機のひとつだったという。
現実と重ねて広がる解釈
『ポケットモンスター』の世界は、現実の地理や文化と重ねて読み解ける余地が大きい。ルネシティにサントリーニ島を重ね、そこから街の暮らしまで組み上げていく今回の作業は、考察チャンネルの主が建築ツールを手に取ったからこそ生まれたものだろう。
街は今後のアップデートに合わせて更新していく予定だという。本編のあとには、おまけとして「使用ブロックの選定」と「制作過程」も収録されている。更地から街が立ち上がっていく様子は、シンプルに見ていて楽しい。
制作者のチャンネルには、『ポケットモンスター』の考察や裏話に関する動画が数多く並んでいる。どちらかといえば、本稿で取り上げた建築系の動画のほうが珍しい部類だ。あわせて覗いてみてほしい。
『ぽこ あ ポケモン』はNintendo Switch 2向けに発売中。追加ダウンロードコンテンツ『ぽこ あ ポケモン エキスパンションパス』も配信中で、第1弾「ブクブクうみぞこの街」は2026年8月5日に配信された。第2弾は2026年冬に配信予定となっている。第2弾はアクセサリー追加が中心となるようだが、2027年配信予定の第3弾では新たな街も追加予定だ。どんな世界の広がりを見せるのか、そしてそれを巧みに用いるクリエイターたちの動向にも注目したい。