にじさんじ・小柳ロウが続ける「自分探し」の軌跡 “愛されキャラ”な一面など、新たな魅力を日々更新中

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む「歌ってみた」などの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)」からも新規ライバーがデビューし、現在約150名を超えるメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さでシーンに大きな影響を与えている。

 これまで伊波ライ、星導ショウとDyticaのメンバーについてつづけて書いてきたが、今回は3人目として小柳ロウにフォーカスしていこう。

新人離れした落ち着きの裏にある“人見知り”な気質

 小柳ロウは、伊波、星導、叢雲カゲツらとともに2023年4月29日にYouTubeで初配信をおこない、にじさんじの一員としてデビューした。すこし鈍い色合いの青紫をイメージカラーに、男らしいショートヘアと切れ目、低い声色には新人とは思えぬほどに落ち着いた振る舞いでクールさが漂っており、多くのファンから注目された。

 ゴツゴツとしたその低い声色は、にじさんじの先輩であるベルモンド・バンデラスやオリバー・エバンス、ローレン・イロアスらとも通ずる魅力がある。イメージカラーと切れ目であること、その声色と振る舞いが相まってやや近づきがたいイメージを持たれがち。初見では、どことなく澄ました顔でツンとした印象すら感じることも多いかもしれない。しかし、実際には本人いわく「かなりの人見知り」だそうで、会話の中で彼の口から「ムリ」「ヤダ」と出てくることもしばしば。

 そんな小柳は、自分のペースや行動をかき乱されず、ブレずに動きたいという真面目で一本気な性格だ。配信内でも集中すると一気に言葉を発さなくなり、ゲームにのめり込むことがある。

【初配信】ぼっち・じゃ・ねぇし!【小柳ロウ/にじさんじ】

 ところで、VTuberの配信でまず目に入るものといえば、配信や動画のサムネイルだろう。だれが、どんな内容を、どんなムードで配信しているかを伝えるために、サムネイルは非常に重要となる。

 VTuberのサムネイルというと、自身のファンアート(もしくはオフィシャルビジュアル)にゲームロゴを足しておく作り方などが人気だが、小柳はそこに手描き文字風フォントでなにか一言を添えているのが特徴的だ。

 毎配信、ポエミーな一言を添えたサムネイルは、不思議と手作り感が増すもので、配信内の概要だけでなく、「小柳ロウ」の素の部分が伝わってくるようだ。

【LETHAL COMPANY】社員研修 2日目【小柳ロウ/にじさんじ】
【お披露目】新衣装【小柳ロウ/にじさんじ】

いつの間にか定着していたイジられキャラなど、不憫な一面も

 ほかの同期やにじさんじの面々と少し異なる「真面目なムード」を醸し出すことの多い小柳。それゆえか同期や先輩たちからイジられることも多く、ユーモラスに躱したり、あるいはまともにツッコんだりと、人見知りをする彼なりの振る舞いで応じてきた。自身の名前である「小柳ロウ」にかけて「◯柳◯◯」……たとえば“大柳ハイ”といった形で、韻を踏むようにして名前イジリをされるのは、その典型だろう。

 また配信内外を問わずさまざまな形で多くの人と関わってきたなかで、その声色や落ち着いた振る舞いに安心感・信頼感を抱かれることも多く、なにかと無理難題を持ちかけられることも。そのままコントのようなトラブルに巻き込まれることもしばしば起こる。

 逆に本人がタイミング悪く行動をしてしまったことで状況がこんがらがったり、真面目であるが故に事前準備したことがフイになってしまうことがあるなど、コアなファンの間では“不憫キャラ”として見られていることもあるようだ。

 もっとも直近で起こった“不憫”なエピソードといえば、8月8日、9日、11日に開催される『にじさんじ甲子園2026』に初めて監督として出場することになり、お試しの育成を配信したときだろう。

 オフの時間を使ってゲーム「パワプロ」や栄冠ナインに関する情報を集め、育成のコツを掴めたと話すと、学んだことを活かしてマスの踏み方を確認して進行しようとしたが、コメントから出てくる指摘に、自分が自習した内容と異なる考えが多く、逆にリスナーからどういった考えで進行するかを聞き出す形で配信を進めていくことに。

 今年発売された『パワフルプロ野球2026-2027』は、前作から仕様が細かく変わっていることを小柳が知らなかったようで、オフの時間で学んでいたことがまったく通用しないことを悟った彼は、その時点でコメントからあがったアドバイスや教えをまとめていくという流れへと移っていったのだ。

 こういった大型企画では「リスナーは指示コメをしない」(※指示コメ:配信している人物に対してプレイ内容を指図するようなコメントのこと)というのが当然の鉄則、マナーとなっているが、この配信に限ってはリスナーからの教えや指摘をしっかりと受け取り、自習してきた小柳が間違いに気づいて学びを得るという珍しい内容と化したのだった。

 リスナーからは別の「パワプロ」作品について調べたのではないかと指摘があったが、事前にどういった内容を小柳が学んだかは定かではない。いずれにせよ、小柳は数日かけて学んできたことがフイになった……なんとも“不憫”な姿を見せることとなったのだ。

 ちなみに、情報を整理した上でいざ本番として大会チームの育成をスタートした際には、「エラー」などのマイナスの特殊能力を持つ選手が5~6人在籍することとなる、特殊能力を付与できるアイテムが中々獲得できないなど、さらに“不憫”な一面が顔をのぞかせていた。

 そんな小柳の姿をみた主催者・舞元啓介は、「多分この大会で、小柳を知る人が“この兄ちゃん、クールキャラじゃないな”って気づくと思います」「声がかっこいい、ただ面白いお兄ちゃん。ぜひこのタイミングで小柳を知ってほしい」と話していたのだが、事実彼のイメージがガラリと変わったというリスナーやファンは少なからずいそうである。

【パワプロ】試走をさせてください。【小柳ロウ/にじさんじ】

 こういったさまざまな“不憫”なシーンを見てきた熱心なリスナーたちも、月日を経るごとにイジりのコメントを送るようになり、小柳がそういったコメントを拾っていく姿も見られるようになった。

 クールで近寄りがたいムードをビジュアルからは受け取りながら、配信を見ればフランクで砕けた人物像がすこしずつ伝わっていく。デビューから現在まで、登録者数や視聴者が増えていっても、この流れは変わらず起こっていたのではないだろうか。

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 この数年で後輩たちが増えたり、にじさんじ外のストリーマーと関わる機会が増えたりしたことで、声を上げて笑う姿を見せることが多くなったように筆者にはみえる。デビュー当初は「新人だから……」と遠慮がちな部分もあったようにおもうが、現在では落ち着き払った振る舞いからひねりの効いた冗談やツッコミをコラボ相手に伝える場面も格段に増えた。

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 キリッとしたクールさと、くすっと笑わせるユーモラスさをうまく織り交ぜる、硬軟合わせた振る舞いで多くの視聴者を楽しませるようになった。そこに、彼なりの変化や成長が垣間見えるのだ。

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