『パルワールド』なぜ一過性のブームで終わらない? 第2の『原神』としてファンを魅了する理由
7月10日、サバイバルクラフトゲーム『パルワールド』がついに正式リリースを迎えた。Steam上では同時接続数が最大85万人に達するほどの熱狂的な人気を博していおり、すっかり覇権級のヒット作となっている。同作が刹那的な“バズり”で終わらず、ここまで根強い人気が定着したのはなぜなのだろうか。
2年半のアーリーアクセスを経て正式版へ 287体のパルと進化した世界
あらためて説明すると、『パルワールド』を制作したのは『クラフトピア』でもお馴染みの株式会社ポケットペア。マルチプレイに対応したオープンワールドサバイバルクラフトゲームで、“パル”と呼ばれる生き物たちを捕まえて戦わせたり、働かせたりしながら世界を探索していくという内容だ。またクラフト要素も強く、さまざまな武器や建物を作り上げられるのが醍醐味となっている。
アーリーアクセス版が世に出たのは2024年1月のことで、それから約2年半を経て、正式版が配信された。初期の頃と比べるとさまざまな調整が加えられており、とくにパルの数は最初期から倍以上となる287体にまで増加している。
なお同作は、ゲーム内の一部要素が既存の作品と類似しているという指摘が出ていたことも有名。任天堂および株式会社ポケモンが特許権侵害をめぐる訴訟を起こしており、その決着はいまだ付いていない。一方でポケットペアは特許侵害について否定しつつ、その点がより明白になるよう『パルワールド』のシステムを変更するという対応を取ってきた。
いずれにせよ今ではそうした騒動の印象が薄れるほど、コンテンツの勢いが完全復活を遂げているようだ。その理由は色々と挙げられるが、『原神』のヒットと共通する現象と考えられるかもしれない。
『原神』にも通じる、“類似性”を超えて支持された理由
今やすっかり世界的な人気作品となった『原神』だが、リリース当初は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』との類似性を指摘する声が相次ぎ、ちょっとした騒動に発展していた。しかし同作はたんなる“類似品”では終わらないクオリティの高さや、独自のゲーム性を見せつけることで、ゲーマーからも評価されるようになっていった。またコンテンツの更新スピードが早く、ユーザーの要望に細かく応えていったことも、信頼獲得の一因として挙げられるだろう。
『パルワールド』もこうした点は共通しており、『ポケットモンスター』や『ARK: Survival Evolved』を思わせる要素はありながらも、同作ならではの独自性を構築することに成功している。モンスターとの交流に自由度の高いクラフト、絶妙な難易度のアクションに広大なオープンワールドと、各要素が徹底的に作り込まれていることにも驚かざるを得ない。
今どきのゲーマーは目が肥えており、どこかで見たようなアイデアを真似ただけでヒットするような甘い世界ではない。多くの人が夢中になっているのは、それだけの工夫が注ぎ込まれているためではないだろうか。
さらに同作はアーリーアクセス版からコンテンツ量が多いゲームだったが、正式版のアップデートでは、パッチノートがPDFで27ページ分にも及ぶほどの新要素が追加された。ただコンテンツを増やすだけでなく、快適さや遊びやすさを向上させるようなテコ入れも行っている。アーリーアクセス版を遊んできたユーザーから見ても、ほとんど新作ゲームを遊ぶかのような大型パッチだ。継続的にコンテンツを盛り上げようという気概を感じられる。
懸念もある一方、“覇権級”の勢いは続くか
とはいえそんな同作にも、懸念点が全くないわけではない。たとえば気になるのは、類似性問題に端を発する“グレー”なイメージを払拭できるかどうか。近年のゲーム人気は、ストリーマーやVTuberによる実況配信にも大きく左右される。配信が実質的なプロモーション代わりになるからだ。逆にいうと配信で扱いにくいタイトルになると、そのゲームは大きな不利を背負ってしまうことになる。
また『原神』のように、追加コンテンツを継続的に配信できるかどうかも重要。これには資金力が必要になってくるが、大規模ゲーム会社ではないポケットペアに、どれほどの余力があるかはわからない。
サバイバルゲームの金字塔として、今後もその勢いが続いていくのか。『パルワールド』の今後に注目したい。