ファン内蔵モデルまで登場、LiberNovoが示した高機能ワークチェアの進化の潮流

 LiberNovoは5月29日、都内にてメディア向けの発表会を開催し、最新アイテムとなる『LiberNovo Omni Pro』、『LiberNovo Omni SE』、『LiberNovo Maxis - Airflow』を発表した。まず、「LiberNovo(リベルノヴォ)って何?」と思う読者もいるかもしれないが、既に世界70カ国で展開されているワークチェアの新進気鋭メーカーだ。

 開発チームには元JDIのエンジニアを筆頭にテクノロジーに強い人材が集まっており、これまでの「ワークチェア」の枠に収まらない高性能チェアを生み出している。日本では昨年度に上陸し、クラウドファンディングのMakuakeで4.6億円以上を集めた注目のブランドでもある。

 そのLiberNovoが2026年度に新たに投入するのが「エアフロー」をキーワードにした最新型ワークチェア群だ。中でも上位モデル『Omni Pro』は、座面内部にファンを搭載し、熱や湿気を外へ逃がす「エアフローモード」を搭載する。今回の発表会で強く印象に残ったのは、LiberNovoが「海外で売れているワークチェアブランド」だけではなく、独自の機能性の進化や日本市場へかなり本気で向き合おうとしている点だった。

「蒸れ」に切り込むワークチェア

 やはり興味深かったのはフラッグシップモデルである『Omni Pro』のエアフローモード。これからの季節に気になる“蒸れ”に対して、これまで各社は高性能メッシュ素材などで対応してきたが、LiberNovoはそこからさらに一歩踏み込み、座面内部にファンを搭載し熱気や湿気を排出するという独自のアプローチを採用してきた。

 実際、会場で座ってみると、腰辺りに風が来るというより、腰辺りに熱がこもらない感覚に近い。派手な涼しさを演出するというより、長時間座った時の不快感を減らす方向性だ。

 また、リクライニングもこれまでの無段階ではなく5段階に整理されていた。自由度を増やすより、「迷わず快適な位置に入れる」ことを優先した設計だという。

家具から作業環境機器へ

 以前のワークチェアは、どちらかと言えばオフィス家具の延長線上にあった。しかし最近は少し違う。PCやディスプレイ、照明、キーボードと同じく、“デスク環境を構成する機材”として選ばれるようになっている。特に在宅ワークが広まって以降、その傾向はかなり強まった。「どこで仕事をするか」ではなく、「どういう環境で仕事をするか」が重要になったからだ。

 LiberNovoも、まさにその流れの中にあるブランドだろう。今回の『Omni Pro』では、アルミ合金フレームやデンマークGabriel社の高機能ファブリックを採用。通気性だけでなく、耐火性や安全性まで含めて設計されている。単純に「高級感がある」というより、“長時間身体を預けるための道具”として作られている印象だ。

 また、最近のワークチェア市場では「見た目」の重要性もかなり上がっている。以前は、“オフィスっぽさ”が強いメカニカルなデザインが多かった。しかし最近は、在宅環境へ置く前提の製品が増え、インテリアとの親和性も重視されるようになっている。LiberNovoも、かなりその方向を意識していた。特にアルミ素材の使い方や、背面フレームの処理などは、ガジェット感を残しつつ、仕事場にも家庭空間にも置けるバランス感を狙っているように見える。

「大きい人向け」を本気で作る

 今回、個人的にかなり印象に残ったのが『Maxis - Airflow』だった。このモデルは、身長190〜200cmクラス、体重181kgまで対応する大型ユーザー向けチェアとして設計されている。

 実はワークチェア市場では、「大柄な人が本当に快適に座れる椅子」は意外と少ない。海外ブランドであっても、実際には標準体型を基準に設計されているケースが多く、「高性能チェアを買ったのに窮屈」という話は珍しくない。特に日本市場は、住宅事情も含めて比較的コンパクト設計が多く、大柄ユーザー向けの選択肢は限られてきた。

 LiberNovoが面白いのは、単にサイズを大きくしただけではなく、大型ユーザー専用設計として作っている点だ。専用フレームや独自リクライニング機構を採用し、大きな身体でも自然に体重移動できるよう設計されているという。この辺りは、最近よく聞く「パーソナライズ」とも少し違う。単なるカスタマイズではなく、“そもそもの身体条件が違う人”を前提に設計しているからだ。

 実際、ワークチェア市場の想定ユーザーは長らく「平均的な体格」が中心だった。しかしグローバル市場では、体格差はかなり大きい。LiberNovoは、その現実をかなり正面から捉えているように見えた。今回の発表会でも、「誰にでも同じ椅子」ではなく、「ちゃんと合う椅子を選ぶ」方向性を強く感じた。

日本市場への本気度

 そして今回、最も興味深かったのは、日本市場への向き合い方だ。LiberNovoは日本上陸からまだ日が浅いブランドだが、既にMakuakeで4億円超を集めている。高機能ワークチェア市場としては、かなり異例の規模感だ。

 もちろん、日本市場では「海外で売れている」だけでは成功しない。特にワークチェアは、実際に座ってみないと分からない製品だからだ。腰の当たり方、リクライニング時の感触、座面の沈み込み、アームレスト位置 、これらはスペックだけでは判断しづらい。

 そのためLiberNovoも、かなりリアル体験を重視していた。発表会に登壇した担当者も「試座したい」という声が非常に多いことが紹介されていたが、実際これは高機能ワークチェア市場全体の流れでもある。最近はオンライン販売中心のブランドも増えたが、最終的に「座って納得する」体験が重要になっている。実際、オーディオや高級家電に近い感覚かもしれない。スペックやレビューだけではなく、「自分に合うか」を体験する必要がある。LiberNovoは、その点をかなり理解している印象だった。

 また、日本市場向けに価格帯の幅を広げている点も興味深い。上位モデルだけではなく、8万円台を想定した『Omni SE』も投入。主要機能を維持しながら価格を抑え、“まず高機能ワークチェアを試したい層”へもアプローチしている。

 日本市場では、20万円超クラスのワークチェアはまだ一部マニア向けの印象も強い。しかし一方で、「長時間座る環境へ投資する」という意識は確実に広がっている。特に在宅ワーク以降、椅子を「我慢して使うもの」ではなく、「仕事環境を作るための道具」として考える人は増えた。

 今回の発表会を見ていて感じたのは、ワークチェア市場が“快適に座る”から、“快適に働く”へ変わり始めていることだ。単なる姿勢補正だけではなく、「長時間どう集中を維持するか」「どう疲れを減らすか」の快適性が重要になっている。その中でLiberNovoは、かなりテクノロジー寄りのアプローチを取っている。

 エアフロー機能、専用設計、大型ユーザー対応、高機能素材――どれも単なるスペック競争ではなく、“長時間作業をどう支えるか”へ向いている。ワークチェアは、もはや単なる椅子ではない。少なくとも現在の高機能市場では、“仕事環境そのもの”を構成する存在へ変わり始めている。LiberNovoは、その流れをかなり正面から捉えているブランドなのかもしれない。

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