片耳イヤホンはセーフ? オープンイヤー型は? 道交法改正と青切符で話題の新たな自転車ルール、警察庁に聞いてみた

 先月、2026年4月1日施行の改正道路交通法により、自転車の運転にもいわゆる「青切符」(交通反則通告制度)が適用された。16歳以上の自転車利用者に対し、信号無視や無灯火、“ながらスマホ”などの違反行為に反則金が科されるが、微妙な問題として関心を集めているのが、「イヤホンを装着した状態での運転は違反にあたるのか」ということだ。

 「片耳なら問題ない」「オープンイヤー型や骨伝導なら安全」などといった見方がある一方で、その根拠は必ずしも明確ではない。今回、編集部は警察庁に取材をおこない、実際の運用について確認した。

判断基準は「装着の有無」ではなく「聞こえているか」

 まず押さえておくべきは、イヤホン規制の基本構造だ。道路交通法第71条第6号では、具体的な運転者の遵守事項を都道府県公安委員会に委ねており、各地の規則において「安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態での運転」が禁止されている。警察庁においても、「単にイヤホン等を使用しているかではなく、運転者が安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態であるかどうかによって違反の成否を判断する必要」があるとして、「イヤホン又はヘッドホンを使用した自転車利用者に対する交通指導取締り上の留意事項等について(通達)」(令和5年7月25日付け警察庁丁交指発第86号ほか)を発出。次のような方針を共有しているという。

「イヤホン等を片耳のみに装着している場合や、両耳に装着している場合であっても極めて低い音量で使用している場合等には、周囲の音又は声が聞こえている可能性があるほか、最近普及しているオープンイヤー型イヤホンや骨伝導型イヤホンについては、装着時に利用者の耳を完全には塞がず、その性能や音量等によってはこれを使用中にも周囲の音または声を聞くことが可能であり、必ずしも自転車の安全な運転に支障を及ぼすとは限らないことを踏まえ、外見的事実に着目して、画一的に違反の成否を判断しないよう都道府県警察に対して指導をしています。

 なお、単にイヤホン等を使用するなどして安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自転車を運転している場合には、現場でも原則として指導警告が行われ、直ちに検挙の対象となるわけではなく、これは青切符の導入後も変わりません。当該違反により、実際に交通事故を発生させたり、交通への危険を生じさせるなどした場合に、検挙の対象となります。引き続き、自転車利用時のイヤホン等の使用を含めた自転車の交通ルールや、自転車の交通違反の指導取締りの基本的な考え方について国民への広報啓発を図っていくとともに、交通反則通告制度を適切に運用していきます」(警察庁交通企画課)

 外見的事実に着目して、画一的に違反の成否を判断しないーーつまりは、運転中にイヤホンを利用することがすなわち道交法違反になるわけではないということがわかる。

 一方で考えておきたいのは、裏を返すと片耳での使用や骨伝導、オープンイヤー型のイヤホンなら安全だと、一律に判断はできないということだ。耳を完全に塞がない構造であっても、音量や使用環境によっては「安全な運転に必要な音又は声」を適切に認識できない可能性があるからだ。音量など数値化された基準もないだけに、実際の運用は個別具体的な状況認定に委ねられ、一定の幅が生じるだろう。この点は、自転車利用者にとって分かりづらいものとも言えるが、それぞれの運転者が明確に安全性を確保できる範囲を見極め、そのなかで意識的に利用するという、「安全運転」の本質を追求する制度設計だと考えることもできそうだ。

青切符時代に問われる「安全運転」の本質

 イヤホンの種類や装着方法にかかわらず、最終的に問われるのは「安全に運転できているかどうか」。警察庁は自転車ユーザーに向けて次のように呼びかけている。

「交通反則通告制度(青切符)の導入は、自転車の交通違反を簡易迅速に処理し、刑事手続に伴う手続の負担軽減を図るとともに、実効性のある責任追及を可能とするものであり、近年増加していた自転車の交通事故の防止に資するものであると考えています。

 自転車ユーザーの皆様には、自転車を利用するに当たり、交通事故の被害者にも加害者にもならないよう、

・ 車道が原則で、左側を通行、歩道は例外で、歩行者を優先
・ 交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
・ 夜間はライトを点灯
・ 飲酒運転は禁止
・ ヘルメットを着用

といった基本的なルールを守り、安全運転に努めていただくようにお願いします」(警察庁交通企画課)

 自転車とイヤホンをめぐる議論は注目を集めやすく、明確な基準がないことを不安に思う人も一定数いそうだが、求められている行動自体は極めてシンプルだ。周囲の音を適切に認識し、安全に配慮した運転を行うこと。今後、自転車とイヤホンの適切な使い方を考えていきたいところだ。

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