サンリオが自社ゲームブランド「Sanrio Games」を始動 3年で10タイトルを投下、Switch向け新作まで飛び出した発表会をレポート
FPSゲームの登場も? ジャンルを“サンリオ流”でラッピングし、幅広いファン層を射抜く
サンリオの野望は「単なるゲーム事業の強化」にとどまらない。今後3年間で10本程度のタイトルをリリースするという計画には、これまでのサンリオのイメージを覆すような野心的な戦略が含まれている。その最たるものが、男性および男児ファン層の拡大である。浜崎常務は、これまでサンリオが十分にリーチできていなかった層に対し、ゲームという間口を通じてアプローチしていく方針を明かした。
具体的には、FPS(一人称視点シューティング)のような、世の中的に人気が高く、特に男性ユーザーの多いゲームジャンルを“サンリオ流”にアレンジし、提供することを検討している。既存の「可愛いサンリオ」というイメージを維持しつつ、その世界観を異なるゲームジャンルにラッピングすることで、新たなファン層を開拓しようという試みだ。
またプラットフォーム戦略においても、家庭用ゲーム機のみならず、PCやモバイル、さらにはVR(バーチャルリアリティ)といった先端技術領域への注力が語られた。現在サンリオが展開しているVRコンテンツでは、すでに多くの男性ユーザーやコアなファンが定着しており、こうしたデジタル領域での成功体験をゲーム事業にも継承していく構えである。ゲームで獲得したアイテムをVR空間でも利用可能にするといった、デバイスを跨いだ連動も視野に入れており、デジタル空間全体を通じてサンリオの世界を拡張していく構想が示された。
企画は内製、開発は共創 「ハイブリッド型」パブリッシングの全貌
開発体制についても、サンリオらしい柔軟なアプローチが取られている。社内に大規模なエンジニアチームを抱えるのではなく、企画の根幹をサンリオが担い、実際の制作は世界中のパートナー企業と共同で行うというスタイルだ。
タイトルの特性に合わせて、100%出資から共同出資まで多様な協業パターンを使い分け、各ジャンルに最適な開発会社とタッグを組むことで、クオリティとスピードの両立を図る。質疑応答の場面では、M&Aを含めた投資の可能性についても言及され、ゲーム事業が同社の成長エンジンとして明確に位置づけられていることが再確認された。
サンリオが自らゲームをパブリッシングするということは、単に収益の柱を増やすこと以上の意味を持っている。それは、ファン一人ひとりの日常に寄り添い、共に過ごす時間を最大化するという、サービス業としての原点回帰でもある。
辻󠄀社長が語った「One World, Connecting Smiles.」というビジョンは、国境や世代、そして性別を超えて笑顔の輪を広げることを目指している。今回発表されたSanrio Gamesは、そのビジョンをデジタルという最もダイナミックな手段で実現するための挑戦状であるといえる。
サンリオが提供する夢中時間が、今後どのように世界中のプレイヤーを魅了し、新たな「幸せの輪」を広げていくのか。老舗ブランドがデジタルという広大な海へと漕ぎ出したこの新たな航海を、期待を持って見守りたい。