『今日好き』メンバー22名が2カ月の挑戦で見せた“のびしろ” 高校生たちの全力さに胸を打たれた「ダンスバトル」ステージレポ
4月11日より2日間にわたり放送された『30時間限界突破フェス』。ABEMA開局10周年を記念した同番組より特別企画「今日好きダンスバトル 一夜限りアーティストとコラボSP」が大盛況のうちに幕を閉じた。
参加したのは、ABEMAきっての人気番組である恋愛リアリティショー『今日、好きになりました。』(以下:今日好き)メンバー総勢22名。今回は全5チームに分かれ、憧れのアーティストと一緒にパフォーマンス。約2カ月間の練習の成果を、120%の力で発揮してくれた。
……と書くと、なんともさらりとしたレポートになるのだが、考えてみてほしい。多くのメンバーが、ダンス経験なしの初心者。それがたった2カ月の練習で、最大1.2万人を収容できる神奈川・ぴあアリーナMMのどデカいステージに立つわけである。しかも、隣を見れば一緒に踊るプロのアーティストに、目の前にはあのSAM(TRF)をはじめとする審査員の面々。あまりに規格外すぎて、並の高校生なら本番3日前くらいから緊張で一睡もできないだろう。
ただ、いまの『今日好き』には、それほど大きな期待がかかっている。これほどの会場に、土曜午後7時のゴールデンタイムという放送枠。必然的に、メンバーにもエンタメオールラウンダーとしての資質が求められるのかもしれない。“ABEMAお得意の無茶振り”といえばそれまでなのだが、それくらい物事に全力で取り組み、全国の高校生を感化させてほしい。たしかに、短期間での挑戦ではある。だからといってプロ同等とはいわずとも、練習すれば“できる”ことを示してほしい。今回の審査基準がグループ全体での“のびしろ”だったように、見せるべくは技術よりも、気合いの部分。そんなメッセージが込められていたのだと思う。
りのん、あやか、せりな……次世代アイドル集結? カメラとの連携も意識したステージ
トップバッターは「SANAGI」。りのん(多田梨音)、あやか(伊藤彩華)、ゆうひ(岩間夕陽)、せりな(佐藤芹菜)、たまき(今井環希)、すみれ(表すみれ)による今回最多の6人組チームで、共通点は全員とも不安を抱え自分自身の殻を破れないこと。特に、ダンス未経験のたまき、すみれをはじめ、ゆうひも途中、「この業界に向いていない」と言い出してしまうほど、日々の練習でネガティブが溢れて収まらない。
そんな彼女たちがコラボするのは、CUTIE STREET。今回は代表曲「かわいいだけじゃだめですか?」、そして「ひたむきシンデレラ!」を一緒にパフォーマンスしただけでなく、本番1カ月前には同グループが直々に、練習中のSANAGIの元をサプライズ訪問。アイドルである自分たちもまた、一人ひとりはネガティブな思考になりがちだが、チームになれば不安がなくなる。そして、特訓の成果を見て、少なくとも頑張りは最大限に伝わってきたとエールを贈ってくれた。
“スキルよりも本質重視”といわんばかりに、細かなダンスの技術が求められる「ひたむきシンデレラ!」。さらに、パフォーマンス全体として“アイドル”としての所作に照れが生まれるのも、SANAGIの面々に立ちはだかる大きなハードルのひとつ。だが、アイドルは笑顔を見せる仕事ではなく、見ている人を笑顔にさせる仕事。憧れのCUTIE STREETメンバーが「かわいい」と連呼し、稽古をつけてくれることで、グループ最大の壁を乗り越えた。
実際に本番では、たまき、すみれ、ゆうひのカメラを引きつけた“ファンサ”に、2025年末放送の『KYOUSUKI MUSIC STAGE』でもアイドルになりきったあやかによる、サビでの本家さながらの腕の角度と笑顔。せりなの正確かつ動きの大きなステップに、りのんが大サビ前で“ぱるたん”こと桜庭遥花と〈「かわいいだけじゃだめですか?」〉のフレーズを披露。すべて込みで、100点満点のアイドルだったと思う。
加えて、彼女たちのパフォーマンスを客席から見ていて感じたのが、ステージ上での隊列の整い方。複数名が綺麗なラインに並び、位置を移動する際、誰も誰の邪魔をしない。これは配信画面では伝わらなかったところではないだろうか。というより、たまき、すみれに至っては振り付けだけでも苦戦していたはずなのに、本番ではカメラのソロカットにもしっかりと対応できていた点で、ダンス以外の部分でも評価されるべきなにかがあったと思う。本当に、この間まで初心者だったのが信じられない。
RISING・ZERO、最大の課題は“コミュニケーション” いおうの肉体美もダンスに昇華
2番手は、いおう(榎田一王)、りお(酒井理央)、ゆうた(西小路侑汰)による「RISING・ZERO」。本人ら曰く全員揃って「陽キャな人の付き添い」だと自虐するものの、サポートをするのは“陽キャ”代表として中目黒を統率するKID PHENOMENONと、今回限りの監督となった中務裕太(GENERATIONS)。挑戦する楽曲は、GENERATIONS「Y.M.C.A.」、三代目 J SOUL BROTHERS「R.Y.U.S.E.I.」。どちらもあえて姿勢を崩すようなヒップホップチューンである。
SANAGI同様、こちらもダンスに苦戦。ただ中務によれば、肝心な問題はダンス以外の部分にあるという。それは、メンバー間でのコミュニケーション。レッスン場の空気が重いのに加えて、ダンスをするうえで最も不必要な要素だという恥ずかしさも拭いきれていないとのこと。
こうした問題点を解決すべく大きな役割を果たしたのが、りお持参のお母さん手作り弁当や、ダンス中の声出しなど。前者は、りおの両親が30年以上も営んでいるお弁当屋からのメッセージつきで。後者では、取り入れるだけで一気に技術も、表情も変わるなど、どちらもすぐさま効果が目に見える形に。この後、レッスンを訪れた本番組の進行役=有岡大貴と伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)が、初見から「楽しそう」だと太鼓判を打つほどだった。
本番前。CM中も「いくぜ!」と各々が声を上げ、円陣をしてお互いの背中をバシバシと叩き合っていたRISING・ZERO。パフォーマンス全体を通して、いおうはやはり体格のよさからステージ映えするし、りおは「R.Y.U.S.E.I.」でドロップ前に大きく観客を煽ったり、反対にゆうたは集中力がフル稼働。とにかく曲の世界にのめり込み、誰よりも真剣な表情を見せていた。まさに“ゾーン状態”。3人とも、ぐっと力を込めてから、それをしなやかに止めるときの動きが全グループ随一で、それが「R.Y.U.S.E.I.」中のランニングマンなどで見られた動きの統一感にもしっかりと効いていた気がする。