Apple創立50周年、表参道にMori Calliopeが降臨 2次元と3次元の境界を溶かした特別な一夜をレポート

 3月27日、東京・表参道のApple 表参道にて、Apple創立50周年を記念するスペシャルイベント『パフォーマンス:Mori Calliope – 創造性とテクノロジーの祝典』が開催された。出演したのは「hololive English -Myth-」所属のVirtual Artist・Mori Calliope。Apple Music RadioのDJ・みのとのトークセッションや、4曲にわたるライブパフォーマンスが披露され、多くのファンが詰めかけた店内は熱気に包まれた。

ニューヨークはアリシア・キーズ、東京はMori Calliope——世界を巡った50周年イベント

 Appleは今年4月1日に創立50周年を迎える。それを記念したイベントシリーズ『50 Years of Thinking Different』は、3月13日にニューヨークのApple Grand Centralでグラミー賞17冠のアリシア・キーズがサプライズコンサートを披露したことを皮切りに、世界各地のApple Storeを舞台にさまざまなプログラムで展開されてきた。

 中国・成都では歌手や女優として活動するクリス・リーが登場し、韓国のApple 明洞ではK-POPグループ・CORTISを招いた「Today at Apple」が開催された。欧米圏に目を向けると、ロンドンのApple Batterseaではマムフォールド&サンズのライブと、Nia ArchivesによるDJパフォーマンスが行われた。パリのApple Champs-Élyséesでは「French Touch」をテーマに、アンダーグラウンドかつカルチャー色の強いアーティストたちが選ばれた。

 そして東京のゲストプレゼンターに選ばれたのが、Mori Calliopeだ。各都市が地元の文化やシーンを体現するアーティストを選んできた中で、日本のVTuberカルチャーの世界的躍進を象徴する一人が起用されたのだ。

『iPod nano』とアウトキャストから始まった音楽人生

 今回会場となったApple 表参道。この日も日中は通常通り営業していたが、夜には『50 Years of Thinking Different』の巨大なロゴが浮かぶステージと、色とりどりのライトが交差する特設空間に生まれ変わっていた。さすがAppleとも言うべきか、特設ステージの音響も妥協なく、ライブハウスさながらの大迫力パフォーマンスが展開された。フロアには多くのファンがペンライトを手に詰めかけており、iPhoneを掲げてパフォーマンスを撮影する姿があちこちで見られた。

 イベントの進行はYouTubeチャンネル『みのミュージック』での音楽解説で知られ、現在はApple Music Radioのポッドキャスト『Tokyo Highway Radio with Mino』にも登場する「みの」がおこなった。

 いよいよ本日の主役Mori Calliopeが現れると、登場するやいなや「Go-Getters」を披露し、会場の雰囲気を一気に温める。会場を圧倒するパフォーマンスが披露された後、Mori Calliopeとみのの2人によるトークセッションが行われた。

 音楽のバックグラウンドを問われたMori Calliopeは、「子供の頃からずっと音楽が大好き。音楽との最初の出会いは、誕生日に買ってもらった赤い『iPod nano』でした」と答える。最初にダウンロードした曲はアウトキャストの「Hey Ya!」。「お母さんが、みんなが知っている曲だからってすすめてくれたんですが、ママはヒップホップが全然好きじゃなかったから、なぜこの曲なんだろうと思っていました」と、笑いを交えながら振り返った(余談だが、「Hey Ya!」はアップテンポかつ陽気な雰囲気だが、男女の不和をシニカルに歌った大人な曲だ)。

Outkast - Hey Ya! (Official HD Video)

 みのも「お父さんからもらった白いiPodで、そこから音楽が始まった」と続け、互いの「Apple製品と音楽の原体験」が呼応する場面が生まれた。Appleとの関係は今も続いており、新曲「Ningen Dakara」のデモはGarageBandを使ってわずか3時間で完成したという。 「かなり使いやすいから。iPadで作りました。めっちゃ楽しかったけど、なんか早かった」と、直感的な制作体験を語った。

 また今回のイベントのテーマでもある「Thinking Different」について問われると、Mori Calliopeは「バーチャルアーティストはすでにThinking Differentだと思っています。こんな姿だけど、人間の心があるってこと。日本では少しずつ当たり前になってきましたが、世界的に見ればまだとても珍しい存在です。でも、そこから抜け出すことがロックな精神」と語る。

 世界中のリスナーから支持されていることについては、「夢を見ているみたい。私のことを知ってるって、本当に嬉しいけど不思議な気持ち」とも率直に語った。さらに将来の展望として、「本物の3Dホログラムとしてステージに立ち、バーチャルアーティストが現実世界に当たり前にいる、そんな未来を目指しています」と述べ、観客に向けて自身のビジョンを熱く語りかけた。

Mori CalliopeのパフォーマンスにApple 表参道が熱狂

 トークセッションに続いて再びMori Calliopeによるライブパフォーマンスが行われ、会場の熱量をさらに押し上げた。

 漫画『ONEPIECE』106巻のプロモーションソングとして制作された「未来島 〜Future Island〜」、オールドスクールなファンクサウンドが心地よい「Orpheus」、ストリートブランドのANTI SOCIAL SOCIAL CLUB とのコラボMVが話題を集めた「DONMAI」の3曲を立て続けに披露。英語と日本語がシームレスに交差するリリックのラップは、Appleの高音質サウンドシステムと相まって、観客を圧倒した。

【MV】DONMAI - Mori Calliope x ASSC Collaboration

 観客の目の前で踊り、歌い、ステージを縦横に駆け巡るMori Calliope。彼女が3次元に登場したというよりも、圧巻のパフォーマンスによって2次元と3次元の境界を曖昧にしてしまったような印象すらあった。現実の観客が声を上げ、ペンライトを振り、iPhoneを向ける——それに応えるようにステージで躍動するMori Calliopeの姿は、「リアルとバーチャルの融合」というコンセプトをそのまま体現していた。

 今回のAppleによるMori Calliopeの起用は、「Appleがバーチャルアーティストを50周年の“顔”として正面から認めた瞬間」として記憶されるかもしれない。2次元と3次元の境界を溶かすVTuberと、テクノロジーと人間の創造性の境界を問い続けてきた企業が初めて正面から手を組んだ、まさに「Think Different」な夜だった。

Apple Store日本上陸20周年ライブにSTUTSが出演 豪華ゲストとともに表参道を湧かせた一夜

11月30日、Apple 表参道でApple Store GINZAのオープン20周年を祝うスペシャルイベント、「Today a…

関連記事