船旅動画が増加中 ヒカキンらYouTuberの動画から人気の理由と需要急増の背景を紐解く

　3名の動画のコメント欄をみると、「船旅してみたくなりました」「さんふらわあは、子どもの頃からの憧れのフェリー」など、船旅に憧れを抱く視聴者が多くいることがうかがえる。車や列車、飛行機での旅もそれぞれよさがあるが、やはり船は別格の模様。ヒカキンの乗船時の様子をみてのとおり、別世界に入ったかのような没入感は船旅動画特有のものではないだろうか。さらに3本の動画には、豪華客船での時間を擬似体験した感覚に陥る視聴者もおり、「非現実感がたまらない」といったコメントがみられる。船旅動画が人気になっているのには、こういった非日常を求める視聴者からの支持が関係していると考えられる。

　今回は3名のYouTuberの船旅動画を取り上げたが、YouTubeではここ1、2年で船旅動画が増えている。コロナ禍、全世界の客船のほとんどが運航を停止するという大きな影響を受けたクルーズ市場。国際客船協会（CLIA）が2024年4月に発表したクルーズ市場の状況をまとめたレポートによると、2023年の世界のクルーズ利用客数はコロナ禍前の2019年と比較して7％増え、3,170万人に達したという。こういった世界的なクルーズ利用客増加が、YouTubeでの船旅動画の需要に結びついていると推測できるが、日本の市場だけに目を向けると、今年7月に「飛鳥Ⅲ」が就航を控えているほか、2028年にはディズニー・クルーズが就航を予定している。車中泊や列車の旅とはまた異なる魅力をもつ船旅動画は、新たな客船の登場で、今後ますます増えていくことだろう。

（参考：国際客船協会（CLIA）「State of the Cruise Industry report」）