ハロウィンに“ゾクゾク感”を楽しむなら? ジャンプスケアがない名作ホラーゲームたち

 ホラーと言えばジャンプスケア(突然のビックリ表現)。そう思う人も多いのではないだろうか。そして、驚かされるのが嫌だからホラーは敬遠しているという人も多いことだろう。

 そこで今回は、ジャンプスケアの存在しないホラーゲームを紹介しよう。心臓が破れるような思いはしたくないけど、ハロウィンの夜更けにゾクゾクとした恐怖を味わいたい人にオススメだ。

アイデンティティ崩壊に抗うSFホラー『SOMA』

 本作は『Amnesia: The Dark Descent』の開発者によるSFホラー。脳に障害を負った男サイモン・ジャレットが、藁にも縋る思いで最新医療を受ける。しかし、次に目覚めたのは、遥か未来の放棄された海底基地だった……というストーリーだ。

 世界はすでに滅ぶことが確定しており、Arkという名のロケットに人間の意識を移して生き延びようという計画が進んでいるのだが、そこで人類は「意識を移した先の自分は本物なのか」という問題を突き付けられる。いわゆるアイデンティティ・クライシスを扱ったSFだ。誰もいない苔むした海底基地を歩くだけでも、背筋が凍る思いがする作品である。

 サイモンを助けるのは、Arkプロジェクトの主任科学者キャサリン。何も知らずにただ自分だけが生き延びようと願うサイモンと、Arkに意識を移すことだけが唯一の道だと信じて曲げないキャサリンとのあいだのギクシャクした会話をぜひとも楽しんでほしい。

 なお、ジャンプスケア自体は存在しないが、異形のモンスターに追いかけられるパートはあり、捕まると主人公が殺されるカットシーンが入る。その手のホラー演出が苦手な人は注意してほしい。

怪異のことなら何でも相談してください!『奇天烈相談ダイヤル』

 こちらは怪異専門の電話相談所の職員となり、相談内容が怪異なのか、ただのイタズラなのか判定し続けるゲーム。ルーカス・ポープの名作『Papers, Please』に影響を受けていると公言している。

 某国民的漫画家の絵にだいぶインスパイアを受けたビジュアルのゲームだが、中身はなかなかハード。相談してくる人々の話を聞きながら、怪異なのかどうかの判定を下していこう。あんまり間違えるとハートが空になってしまうぞ。

 おばけは一切出てこないが、おばけの話を読みたい! というワガママなあなたにオススメである。90年代の電話相談所というなんともレトロな設定も味わい深い一本だ。

2Dホラーアクションの定番となった作品『Little Nightmare』

 いまやジャンルの定番となった『Little Nightmare』も紹介しよう。

 「モウ」という名前の巨大な船に囚われた「シックス」は、猛烈な空腹を抑え込みながら、船から脱出を図る、というもの。船のシェフや、着物姿の女性レディに襲われつつも、シックスはどうにか船から逃げ延びていくのだった……。

 本作は『Little Nightmare』『Little Nightmare 2』『Little Nightmare 3』(※『3』は現在開発中)と順調に続編が出ているが、初代と『2』の開発をTarsier Studiosが、『3』の開発をSupermassive Gamesが担当している。

 ただ、Tarsier Studiosは『REANIMAL』という作品をアナウンスしている。『Little Nightmare』初代に似たホラー2Dプラットフォーマーの風格が漂っているので、ぜひこちらもチェックしておいてもらいたい。

何にも現れないLiminal Spaceを探検しよう『POOLS』

 お次はリミナルスペースを探索するホラーゲーム『POOLS』。

 リミナルスペースというのは、不気味な雰囲気を醸す建造物や道を指すネットミームであり、2019年に4chanに投稿された動画「The Backrooms」に端を発するものだ。

 この手のホラーは「エンティティ」と呼ばれる異形に襲われるのが定番となっているが、本作はその要素を排している。閉鎖的な空間で、底の見えない水をかき分けたり、当てもなく彷徨ったりするのが本作のすべてだ。

 光と音だけでなんとなく怖い雰囲気を醸すのが上手い作品である。ジャンプスケアなしでリミナルスペースの独特な空気を楽しみたい人は触ってみてほしい。

名作ウォーキングシミュレーターも実はちょっと怖い『Gone Home』

 2013年に登場した名作ウォーキングシミュレーター『Gone Home』。こちらはホラーゲームというわけではないが、午前一時に誰もいない豪邸を歩き回るのは、ちょっと怖い感じがする。もちろん怪物が襲ってくることはないが、時折遠くで雷鳴がするので、それがまた良い雰囲気を醸しているのだ。

 たった2時間のボリュームだが、非常にセンシティブな話題を取り扱っており、なおかつそれが物語的に昇華されているので、まだ体験していない人はぜひとも遊んでみてほしい。

 実は『バイオハザード7』のディレクターである中西晃史氏が、本作から影響を受けて『バイオハザード7』を作ったと、経済誌『Forbes』のインタビューで語っている。『Gone Home』の日記やメモを読んで物語を理解するという行程に、不吉な物語を挟み込んでいくという着想に至ったようだ。

 以上、ジャンプスケアがないホラーゲームを紹介させていただいた。ジャンプスケアがないからといって、まったく怖くないわけではないので、そのあたりはご留意を……。

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