2024年の話題作、ここまでどうだった? 超大作アクションから“11年越しの正式版”まで5作を一挙解説

 2024年も後半に入って久しい9月。今年も数多くのゲームタイトルが発売されてきたが、本稿では印象的だった話題作のなかから5つをピックアップし、それぞれの特徴を踏まえ、“実際にどうだったのか”という視点で解説していきたい。

黒神話:悟空

 中国発のアクションゲーム。プレイヤーは「天命人」になり、孫悟空を復活させるために必要な「根器」を集めるための旅に出る。猪八戒や牛魔王を始め、作中では「西遊記」のキャラクターたちが多数登場。「西遊記」の後日談とも言えるような物語が展開した。

 「西遊記」のその後を舞台にしていることもあり、三蔵法師一行などの主要人物、世界観についてあらかじめ知っていなければ、本作のストーリーを理解するのは難しいだろう。反面、キャラクターたちのその後が分かるという点では、ファンからすれば感慨深い。

 個人的には妖怪の解説が印象的で、倒したザコからボスまで余すことなく説明されており、ストーリーの補完に役立つ。クリアした時点ではまだ未翻訳な部分もあったが、固有名詞はともかく難読系の単語などはあまりなく、文章が非常に読みやすい。ちょっとした短編を読んでいるかのようにすんなりと頭に入ってきた。

 近接武器の棍を軸にしたコンボ攻撃に加え、敵の動きを止めたり自分が分身したり、かつて倒した敵に変化したりと、スピーディーかつ多彩な技を駆使したバトルも見どころ。基本的にザコ敵は蹴散らせて、ボスにはそれなりの苦戦を強いられるというバランスも良い。自然豊かな竹林や銀景色の雪山、溶岩が煮えたぎる火山など、出てくるステージも豊富。目を引く斬新なシステムなどがあるわけではないが、代わりにアクションもアドベンチャーも、その迫力や規模はまさに超大作と言える。

7 Days to Die

 2013年にアーリーアクセス版が発売されて以来、約11年越しの2024年についに製品版が発売された本作。ゾンビがはびこる世界を舞台に、プレイヤーはアメリカのアリゾナ州にあるNaveganeという都市で生き延びるための方法を探る。

 時間が経つにつれて減り、飲食せずに放っておくと死に至る「食料値」と「水分値」のほか、辺りを歩き回っているゾンビ、ゾンビたちが活性化する夜、7日ごとに発生して大量のゾンビが襲い来る「ブラッドムーンホード」など、多くの要素がプレイヤーを追い詰める。

 最初は1日すら生き残れるか怪しいが、死んでもすぐに復活できるおかげでリトライしやすいのがポイント。途方に暮れていた序盤から、徐々に物資を集めてはクラフトをくり返し、装備や拠点を発展させていく。できなかったことができるようになっていく過程には、過酷な状況と闘ってきたからこそ得られる無二の達成感がある。素材集めやフィールド探索は時間を食うため、楽しもうと思うと数十あるいは百単位の時間が求められるが、腰を据えてプレイできるなら、まずオススメできる1作でもある。

Stellar Blade

 遥か未来の地球を舞台に、地上を占領している「ネイティブ」という化け物を一掃するべく戦う兵士・イブを主人公にしたアクションゲーム。「勝利の女神:NIKKE」などで知られる韓国のゲームメーカー・SHIFT UPが手がけている。

 ボディラインが強調されたスーツをまとうイブの艶めかしさと、複数の動物を掛け合わせたような異形の姿のネイティブたちが出てくるという対照ぶりが本作の印象的な部分でもある。グロテスクな怪物が徘徊する廃墟を探索するのは勇気も根気も要るが、イブの後ろ姿を眺めているだけで少しは楽になる。裸同然の「スキンスーツ」などスーツ自体の数も多く、着せ替えが楽しめるのもうれしいところだ。

 一方、基本的にフィールドは1本道。メインストーリーが進むルートに対し、複数の寄り道が付いてくるという点では普通のアクションゲームだが、本作では道中にギミックも用意されている。銃だけしか使えないエリアを探索したり、機材を動かしてレーザーを誘導したりと、バリエーションも豊富。1本道を進むプレイヤーを飽きさせないような作りになっていた。

 終盤からボスが一気に強くなる点は気になるものの、アドベンチャー要素を備えたアクションゲームとして十分なクオリティ。なにより、それまでソーシャルゲームを作っていたメーカーが初めて手掛けたコンシューマー向けゲームとして見れば、クオリティの高さが際立つ。作品自体の良さはもちろん、SHIFT UPの今後も期待できる1作と言えるだろう。

祇:Path of the Goddess

 カプコンが手がける完全新作のアクションストラテジー。プレイヤーは巫女の世代に召喚された「宗」という存在を操作し、禍福山という山村を襲った穢れと戦っていく。本作は和風の世界観になっており、攻撃時に放つ斬撃が演舞のようになっていたり、万華鏡を思わせる幾何学模様が演出に盛り込まれていたりと、ビジュアル的にも印象深い。

 本作は複数の村がステージとして用意されており、それぞれの場所では昼と夜というふたつのフェイズを交互にこなしながら攻略を進めていく。昼は村を探索し、封印された村人の救出、あるいは村の穢れを祓うために世代を鳥居に導く。夜は村人と協力して、世代に襲い掛かる敵を倒していく。

 昼の探索で手に入る「結晶」が重要で、非力な村人に役職を割り振って戦力にしたり、世代を鳥居に導くための「霊道」を引く際にも使う。戦える村人が少ないと夜のフェイズで苦労するが、だからといって霊道を引かないと、敵が出現する源である鳥居にいつまでもたどり着けないので、全部を村人に割り振るわけにもいかない。こうした結晶のリソース管理がおもしろい。

 ほかにも、主人公は自由に動ける反面、村人はこちらが指示しなければ基本的に移動できず、さらに止まった位置の周辺でしか戦えない。つまり主人公と村人でシステムが違う。いわばアクションとストラテジーを合わせたような独特のルールで、これもまた印象的だった。

 探索向けの昼と戦闘をこなす夜という2種類のフェイズ、主人公と村人の動き方の違いなど、タイミングや種類によってシステムががらりと変わるゲーム性は、遊んでいて飽きない。唯一の欠点と言えばボリュームが少ないことだろうが、周回向けの要素もあるのでそれなりに補えてはいる。なにより、「バイオハザード」や「デビルメイクライ」、「ストリートファイター」など、すでに世界的なシリーズ作品を手がけているカプコンから、このような挑戦的なタイトルが出るのはそれだけで喜ばしい。

プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠

 中世のペルシャを舞台にした「プリンス オブ ペルシャ」シリーズの最新作。ペルシャ王国の若き戦士・サルゴンを操作し、カーフ山に誘拐されたガッサン王子の行方を追う。

 本作のバトルは攻撃を重視している。双剣を使った高速のコンボをくり出せるだけでなく、盾を持っている相手の股下を潜り抜けて背後から攻撃したり、浮かせた敵に空中コンボで追撃したりと、攻めのバリエーションは非常に多い。

 さらに「受け流し」が使えれば、敵の攻撃を捌きながら反撃ができるので、こちらの手数が増えてより攻撃的な立ち回りが可能になる。相手の大技を受け流すと「返り討ち」が発動し、強烈な一撃をくり出せるのもたまらない。成功すれば敵に大ダメージを与えられるが、失敗すればこちらがピンチになる。その駆け引きがバトルの緊張感を際立たせる。

 探索要素も作り込まれている。とくに罠が特徴で、刃がついた歯車やトゲがびっしりの壁といったさまざまな罠があちこちに配置されており、プレイヤーはそこをジャンプや特殊能力を駆使して突破しなくてはならない。後半になると、直前の位置まで巻き戻る力や、足場を透明化・実体化させる力、壁を伝うジャンプなどをフルに活用し、針の穴を通すような動きでなければクリアできないステージもあり、総じてゲーマーも満足できるような骨太の難易度だ。

 今回は個人的に印象的だった5作をピックアップした。もしこのなかで気になるタイトルがあれば、ぜひ一度遊んでみてほしい。

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