新型Apple Watchは“買い”か? 過去最大の文字盤や睡眠時無呼吸の通知など、注目ポイント総まとめ

 9月10日午前2時(日本時間)、アップルは「September 2024 Keynote」と題したイベントを開催し、その席でApple WatchとAirPods、そしてiPhoneの新製品を発表した。iPhoneに続いて新しくなったApple Watchをチェックしてみよう。

新モデルのSeries 10は従来よりもさらに大きく、かつ薄くなった

 Apple Watchにおいて時間や通知、ワークアウトを確認するのに一番重要になるのが画面の文字の読みやすさだ。今回、最新となるApple Watch Series 10はその点を重視して、過去最大のディスプレイを搭載してきた。なんとApple Watch Ultra 2より僅かだが大きい。

 くわえてケースの側面まで広げた「Ion-Xガラス」と明るさを最大40%アップした広視野角OLEDディスプレイにより、斜めから見た時も視認性が高まっている。ディスプレイの電力効率が向上したことで、これまで1分間に1回だった常時表示モードでの更新が1秒間に1回になり、手首を下げている時でも秒針が見えるようになった。

 前モデルの41mm/45mmから42mm/46mmと僅かにボディサイズが大きくなったが、ICなどを積層したパッケージ(SiP)やスピーカーなどの内部モジュールを小型化することで、ケースの厚さは前モデルより10%薄い9.7mmを実現した。重量も前モデルより最大10%軽くなっており、身につけた時の快適さが向上している。また30%小型化したスピーカーは音楽やポッドキャストを直接再生できるようになった。

ケースを薄くするため元々小さかった内部モジュールをさらに小型化。スピーカーに関しては音響性能を妥協することなく30%のサイズダウンを行っている

◯バッテリー駆動時間は変わらず

 バッテリ駆動時間は最大18時間、省電力モード使用時は最大36時間と前モデルと同じだが、充電コイルをより大きく高効率化したことで充電時間を高速化。15分の充電で最大8時間の通常使用が可能となり、30分で最大80%充電できる。就寝前にバッテリ残量が僅かでも、8分充電すれば最大8時間の睡眠記録が可能だ。

バッテリーの持ちは変わらないが、充電時間を高速化したことでちょっとした空き時間に残量不足を解決できる

◯水深計と水温センサーを搭載

 前モデルのSeries 9やUltra 2では心拍数や呼吸数、手首の皮膚温などが測定できたが、こうした重要な指標を記録する機能は新しいSeries 10にも引き継がれている。残念ながら個人的にも期待している血糖値や血圧の測定機能は今回も見送られたが、新たに搭載された水温センサーと50mの耐水性能により、水中や水際でのアクティビティに強くなった。

Series 10を装着したまま水中に入ると自動的に水深アプリが起動して6mまでの水深や水温が確認できる

 Ultra 2のように水深40mまでのダイビングは無理だが、水深6mまでのシュノーケリングや浅い潜水、プールや湖、海で遊ぶシーンには十分対応できる。現在の水深や水温、水中にいる時間、最大深度も表示できるのでスイミング時の利用にも最適だ。さらにwatchOS 11で導入された新しい潮位アプリを使えば、世界中の海岸線とサーフィンスポットの潮汐情報にアクセスできる。

 

◯呼吸の乱れを検知して睡眠時無呼吸を通知

 さらに今回注目したい新機能が睡眠時無呼吸の通知だ。搭載している加速度センサーを使って睡眠中の手首の僅かな動きをモニタリングすることにより、正常な呼吸パターンの中断を「呼吸の乱れ」として記録。分析したデータが睡眠時無呼吸の兆候を示している場合にはユーザーに通知してくれる。3か月間分のデータや通知の詳細、追加情報をPDFにまとめてくれるので、医療機関で受診する際にも役立つ。

 世界中で10億人以上に影響を与えている睡眠時無呼吸は睡眠時に何度も呼吸が止まり睡眠が途切れがちになる危険な状態だ。Series 9やSeries 10、Ultra 2では、睡眠時の呼吸の乱れを記録して睡眠時無呼吸の兆候がある場合は教えてくれる。

 こうした機能はFDAやその他の世界的な保健機関から製造販売承認を受ける必要があるため、日本国内での利用開始に時間がかかるのが常だった。現に電気心拍センサーを使った心電図アプリが日本で使えるようになったのは、米国より2年以上も遅れた経緯がある。

 しかし今回の睡眠時無呼吸の通知は、米国やEU、日本を含む150を超える国や地域で今月中に利用可能になる予定だ。ちなみに睡眠時無呼吸の通知は前モデルでも使えるので、Series 9のユーザーはwatchOS 11にアップデートしよう。

◯内部パッケージもS10にアップ

 搭載しているSiPはS9からS10に変更。電力効率やインテリジェンスを重視した設計で、4コアのNeural Engineにより機械学習のタスクをこなし、ダブルタップやSiri、音声入力、ワークアウトの自動検出などインテリジェンスな機能を動かしている。新しいニューラルネットワークにより周囲の雑音を抑え、騒がしい場所や街中の道路、風の強い日でも通話相手にクリアな音を届けることができる。

◯光沢ブラックとチタニウムボディを追加

 今回のSeries 10では光沢のあるアルミニウム仕上げのジェットブラックが追加された。耐久性の高いアルミ合金をシリカナノ粒子を使って磨き上げたケースは表面に物が映り込むほど。そのほか定番のシルバーにローズゴールドを加えた3色がSeries 10のカラー展開となる。

 さらに今回は従来のステンレススチールに代わって鏡面仕上げのチタニウムボディも追加された。こちらはナチュラルとゴールド、スレートグレイの3色。チタニウムボディに合わせた文字盤やミラネーゼループとリングブレスレットのベルトも用意されている。

 価格はアルミニウムのGPSモデルで42mmが59,800円から、46mmは64,800円からラインアップ。GPS+Cellularモデルは42mmが75,800円から、46mmは80,800円からとなっている。

 一方チタニウムボディはGPS+Cellularモデルのみで42mmが109,800円から、46mmは117,800円からだ。ベルトの素材や種類によって価格が変わるので、詳しくはアップルのサイトで確認してほしい。ケースサイズが変わったが、以前の41mmと45mm用のバンドはSeries 10の42mmと46mmのケースでも使えるし、新しい42mm/46mm用のバンドも以前のApple Watchモデルに対応する。

◯Apple Watch Ultra 2にブラック追加

 今回、Apple Watch Ultra 2に関しては新型の発表はなかったが、新たにブラック仕上げが追加され、従来のナチュラルとブラックの2色展開になった。

今回、新たにApple Watch Ultra 2に登場したブラックチタニウム。このケースにふさわしいバンドも用意されている

◯販売開始はiPhone 16シリーズと同じ9月20日から

 新しいApple Watch Series 10と新色を加えたApple Watch Ultra 2は予約受付中で9月20日からの発売となっている。また、Series 10とUltra 2にはHermèsモデルも用意されているので興味のある方はこちらもチェックしてみよう。

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