「収益は親孝行に」父親を息子がプロデュースするYouTuberはなぜ人気に? 理由を紐解く

 約20万円の使い道については、息子の「親孝行の資金として貯金」という提案に対し、お父さんは「お前、貯金しろよ。本当に俺は充分だよ」「皆んなに見てもらってるっていうのが楽しいから」と返答。息子曰く、「物欲とか本当になくて、物に対するこだわりマジでない」というお父さんだが、そんなお父さんの「ただな、俺、北海道は行きたい。それだけは夢」というお願いに応えるべく、収益は貯金していくことを宣言している。

YouTube収益を全て使ってお父さんの夢を叶えた

 では、これまでは収益でどのような親孝行を行なってきたのか。2回目の収益を発表した動画では、収益の約4万円の使い道についてお父さんが「お前と七輪やりたかったんだよ」と発言したことで、自宅の庭で七輪をすることに。収益を使って七輪に備長炭、タープといった道具のほか、牡蠣やタイなどの魚介類やお肉、野菜などの食材を購入。動画には初めての七輪に挑戦するも、熱しすぎて牡蠣が干からびるといった微笑ましい失敗も描かれている。さらに次の週に投稿された動画では、収益でお父さんからママに掃除機のプレゼントを贈るなど、家族愛溢れる展開に。コメント欄には七輪の失敗をも楽しむ仲睦まじい親子の様子や家族愛に、「牡蠣リベンジしてくださいww」「親孝行費です」「是非北海道旅行へ」といったメッセージとともに、数百円、数千円のほか、1万円超えの「スパチャ」と呼ばれる投げ銭が贈られている様子が伺える。

 スパチャはクリエイターを応援できる機能「スーパーチャット」の通称で、最低100円から利用できるYouTubeの機能。視聴者から贈られた金額から手数料を引いた分がクリエイターに支払われている。YouTuberたちの誕生日などお祝いごとの動画や配信では高額なスパチャがコメント欄に溢れることが多いが、通常の動画に数千円や1万円を超える高額なスパチャが頻繁に飛び交うことは稀なケース。一体なぜ、このチャンネルの動画には高額の投げ銭が飛び交っているのだろうか。

 コメント欄をみると、息子が親孝行をしている姿に感銘を受けている視聴者はもちろん、物欲のないお父さんの「北海道に行きたい」という夢を応援する視聴者がとにかく多いことがわかる。とくに息子とお父さんの関係性は、親をすでに亡くしている視聴者や家庭の事情で親と離ればなれになってしまった視聴者の憧れとなっており、できなかった親孝行を自分に代わってふたりに叶えてもらいたいという思いがいくつかのコメントから感じとれる。そんな思いで同チャンネルの息子に託したお金は、その使い道が動画を通して報告されるため、スパチャを送った側も有意義なお金の使い方として受け止められるのではないだろうか。

 親子バラエティのコンセプトとなっている親孝行は、『孝行のしたい時分に親はなし』という言葉があるように、いつでもできるわけではない。同チャンネルは、そのことを身をもって知っている視聴者をはじめ、すべての視聴者に共通するテーマである親子の関係性や家族愛について改めて考える機会を与えているからこそ、ここまで大きな注目と反響を集めているのかもしれない。

人気YouTuber・中町兄妹初のオフ会に2万3千人の応募 収益は全額江戸川区に寄付

2024年6月22日、江戸川区総合文化センターでYouTuberの中町兄妹のオフ会が行われた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる