「アザラシ幼稚園」が大バズり 広がるライブカメラの影響力と可能性
2024年8月1日、とあるXのポストをきっかけに「アザラシ幼稚園」のライブカメラが大バズりしていることを知っているだろうか。
「アザラシ幼稚園」を紹介したホカホカ通信氏のポストは、2024年8月12日現在で5.3万リポスト、27万いいねとなっている。ポストをした当初、配信を視聴しているのは10人にも満たない人数であったが、2024年8月12日現在は視聴者数が6000人を超えている。
ライブ配信をしているのは、オランダにあるアザラシセンター『Zeehondencentrum Pieterburen』。この施設は野生のアザラシをケアし、自然へ帰す活動を行っている。
チャンネルでは8月9日からスーパーチャットを解禁。すると瞬く間に視聴者から投げ銭が集まり、ふたたび世間の注目を大きく集めた。そして8月9日午前2時にはマカダミアとローズマリーという2匹のアザラシを海へ帰す映像を配信。Xでは「アザラシ幼稚園の卒業式」というワードがトレンド入りを果たし、2万人を超える視聴者数を記録した。
その後もアザラシ幼稚園の様子はSNS上で拡散され、視聴者からはファンアートなども投稿される事態に。このムーブメントについてはアザラシセンターも反応し、公式Instagramで取り上げている。
視聴者のあいだでは、アザラシが立ち泳ぎをしている姿が“茶柱”に似ていることから、アザラシ幼稚園独自のワード文化も誕生。スーパーチャットをした人に対して「ナイス茶柱」「ナイス利休」というコメントが起きたり、アザラシがたくさん立ち泳ぎをしている瞬間を「スーパー茶柱タイム」と呼ぶなど、独自の用語も生まれているようだ。
一大ムーブメントを起こした「アザラシ幼稚園」だが、ほかにも動物や自然を配信しているライブカメラは多い。たとえば『ナミブ砂漠』のライブカメラは有名だろう。画面の中心に水飲み場が設置され、そこに野生動物が集まってくる様子が写しだされている。『ナミブ砂漠』は世界遺産にも登録されており、雄大な景色を日本にいながら楽しむことができるのだ。
いまの時期なら、アラスカの『カトマイ国立公園』のライブカメラもおすすめだ。ヒグマが保護されているこの公園では、シャケを捕まえるためにヒグマが川に集まる様子を見ることができる。また、アラスカ南部は白夜のため、夏の時期は夜でもずっと明るい。時間に関係なくヒグマやオオカミなどを見ることができる。
ライブカメラでは、場所や時間の関係なく自然や動物をリアルタイムで見ることができ、日々の癒しにもなるだろう。ちょっとした休憩時間などに見るのにも適したコンテンツだ。
さらに今回のアザラシ幼稚園の一連の出来事を受け、「来園客減少に悩む各地の水族館・動物園も真似できそう」「日本の動物園全部こんな風にライブカメラで配信したらいいのに」といった声も集まっている。一時的なブームではあったかもしれないが、この流れをきっかけに、動物保護活動を行っている施設などへ注目が集まるかもしれない。
始まりは「癒される」「かわいい」かもしれないが、ほんの少しだけ視聴者の意識を変えるきっかけにもなるかもしれないライブカメラ。またひとつコンテンツの可能性を垣間見たムーブメントだと感じた。