最近のゲームに“リメイク作品”が多い理由は? 専門家に聞く

今後は低予算制作のゲームが増える? 他業界からの参入も

――今後のゲーム業界はどのように変化していくと考えていますか?

中川:ここ15〜20年くらいの世界的な動向として、ごく一部のグローバルな巨大企業が大規模予算を投入して開発する超豪華なAAAタイトルと、個人ないし独立系の小規模スタジオが安価なゲーム開発エンジンを使って制作するインディーゲームとに市場が二極化していると言われて久しいですが、この傾向がますます極端になるでしょう。既存市場のユーザーが一つのゲームタイトルに費やせる可処分時間はもう飽和しつつあると言われていて、大企業が多額の製作費を投じて1から新作ゲームタイトルを制作して何十万本・何百万本売って回収するというような大量生産・大量消費型のビジネス形態は遅かれ早かれ徐々に衰退していくことになるはずです。

――ゲーム会社が生き残っていくのは困難になりそうですね。

中川:はい、日本の大手ゲーム企業について言えば、これまでのような家庭用ゲーム中心の業態では、長期的には任天堂以外はほとんど生き残れない可能性が高い。2010年代以降はガチャ課金型のスマートフォンアプリゲーム市場の開拓期だったので業界全体としては右肩上がりで成長していましたが、それも頭打ちになりつつあって、何年も成功し続けるトップタイトルと高額の開発費を投入しながら爆死していくボトムとの乖離がもっと極端になっています。そうなると、開発規模が小さくてプレイヤーの可処分時間を圧迫しないインディーゲーム的な方向にしか活路を見出せなくなるのではないか。

――つまり、低リスクの低予算製作ゲームが増えて、各ゲーム会社がこぞって制作するようになると。

中川:そうです。ちょうどいま、音楽や出版業界がそうなりつつあるように、基本無料〜少額サブスク型のプラットフォーム配信とか、コミケや文学フリマのようなインディー市場に大手ゲームブランドが軒を並べるような状態が当たり前になるのだと思います。というかPCゲームの主要なオンライン流通プラットフォームであるSteamではずっと前からそんな感じですし、そういうニッチで安価なインディー発のタイトルの最終移植先として、子供たちなどカジュアルな家庭用ゲームユーザーもニンテンドーeショップでのDL販売を通じて気軽に遊べるようになったのがNintendo Switchというハードの歴史的な意義の一つだったとも思います。

 これは逆に捉えるならゲーム市場への参入障壁が下がっているとも言えて、他のエンターテインメント業界の企業が参入する流れが活性化していく傾向もあります。現に大手出版社の集英社は子会社として、コンピュータゲームおよびボードゲームの制作会社・集英社ゲームズを2022年2月に設立。PCゲームやスマホゲームをすでに多くリリースしています。近い将来には、エンタメ系やテック系だけでなく、アートや教育、あるいは飲食やライフスタイル産業などの分野と徐々に統合再編されていく可能性もありそうです。

 なので、狭義のコンテンツ産業に閉じず、人間が生きていくあらゆるシーンにデジタルゲームが培ってきたクリエイティブな要素を融合してゲームの概念を多様化していくことが、これからのゲーム業界の生存戦略になるのではないでしょうか。

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