大学生が初体験した“ジャケ買い”の魅力 「音」ではなく「デザイン」に魅了されて思ったこと

大学生が体験した“ジャケ買い‘の魅力

 音楽を聴くためのツールとしてサブスクではなくレコードやCDが主流だった時代、音楽の選び方の手段として、そのCDやレコードのカバージャケットのデザインに惹かれて購入する“ジャケ買い”が音楽ファンの間では一般的だった。だが、私は中古CD屋にいくことはもちろんなく、自分の好きなアーティスト以外のCDを買うこともめったにない。そんな私の話を聞いて、編集長が「これを使ってジャケ買いしてみてほしい」と、PCを使わずにCDをスマートフォンに取り込める『CDレコ』を手渡してきた。せっかくの機会なので、ジャケ買いの旅に出るとしよう。

 私は池袋駅から徒歩10分の『だるまや』という中古CD・レコードショップを訪ねた。普段、サブスクで自分の好きなアーティストの音楽しか聴かない私は、あふれるほどのCDが並ぶ店内やノスタルジックな雰囲気な外装に心が惹かれた。

 モノクロに赤字でタイトルが書かれたジャケットのBOSSANOVA CASSANOVA『Second Kiss』と今まで触れたことのないジャンルであるサキソフォンカルテットのWorld Saxophone Quartet『Requiem for Julius』の2枚を購入した。

 『Second Kiss』は、1995年にリリースされたBOSSANOVA CASSANOVAの2ndアルバム。ジャケットからはかっこいい雰囲気の音楽を想像していたが、実際は夏らしいさわやかなメロディと切ない歌詞のジャズテイストのアルバムだった。

 『Requiem for Julius』は、サックスアンサンブル集団・World Saxophone Quartetが、1995年に死去した創設メンバーであるジュリアス・ヘンフィルというメンバーに対して捧げた鎮魂曲だった。このCDは私が連想していた通り、繊細ながらも力強いサウンドの楽曲が多い印象だった。

 普段はCDを買ってもスマホに入れるにはパソコンを経由してひとつのアルバムを入れるのにも時間がかかっていたが、『CDレコ6』では直接スマホにBluetoothで接続してダウンロードできるため,半分の時間で簡単にダウンロードすることができた。配信されていないアーティストのCDを買ってもダウンロードするのが面倒で2~3か月放置してしまう経験のある私にはぴったりのアイテムだった。CDと同じくらいのサイズ感で重量もそこまで重いわけでもなく、持ち運びもしやすいため、友達と貸し借りしあって使うこともできる。

 現代では自分の好きなアーティストの楽曲やストリーミングサービスのヒットソングをシャッフル再生して流れてくる人気の音楽しか聴かないという人がほとんど。ストリーミングサービスでもジャケットは表示されるが、ジャケットのデザインがきっかけで新たなアーティストに出会う人はほとんどいない。中古CD屋に足を運んでCDを選び、『CDレコ』でスマホにダウンロードして聴くという、過程も含めた音楽の楽しみ方を体験してほしい。

CDから遠ざかっていたZ世代が“ジャケ買い”に挑戦 サブスクにはない出会い方がそこにはあった

サブスクで手軽に好きな音楽を聴けるようになり、フィジカルなアイテムとしてレコードが再評価されているいま、CDは少し縁遠いものにな…

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