『17LIVE』CEO ジョセフ・フア氏に聞く、ライブ配信事業の現状と“新たな挑戦” 「3つの企業を同時に経営していく感覚」

17LIVE・CEOに聞く“ライブ配信事業の今”

ライブコマースが日本で流行らない理由は“唯一無二の文化”にあり?

ーー昨年の12月にはシンガポール証券取引所のメインボード市場へ上場するなど、会社にとって大きな動きも見られました。今後会社として中長期的に注力していく事業や領域を教えてください。

ジョセフ:3つありまして、ひとつはコアビジネス(ライブ配信事業)にもう少し時間とリソースをかけて、新規獲得を強化したいと思っています。サービス初期では自然に成長する期間もありますが、ある程度の規模になると自然成長が厳しいので、資金調達をしていま以上の規模にする努力が必要です。

 2つ目は新規事業の開発です。ライブコマースやeコマース(※)、Vライバーの事業などに着手しているところです。

 最後は新しい市場、おそらく東南アジアあたりでの展開を目指していきます。

(※)eコマース:電子商取引(インターネット上でおこなわれる取引≒ネットショップ、ネット通販)

ーーその3つの領域には、具体的にどのように取り組まれる予定なのでしょうか?

ジョセフ:3つの企業を同時に経営していくような感覚です。コアビジネスが、新しいビジネスを支える形にはなりますね。やはりライブ配信事業が1番成長しており、すでにルールやプロセスがしっかり整っていますから。ただ2つの新規事業に関しては、革新的な展開も望めますし成長の余地もありますから、その成長を制限してしまわないよう、がっちりとプロセスには当てはめないつもりです。コアビジネスの良いところだけを当てはめて最適化し、バッファを残しながら成長に導いていくのが理想です。

ーー2つ目に挙げられたライブコマースやeコマース、Vライバー事業のどんなところに面白さを感じていますか?

17LIVEで実施した越境ライブコマースの様子

ジョセフ:ライブコマースはいま世界中ですごく盛り上がっているのに、日本ではほとんど話題になっていないのがすごく不思議であり、ちょっとワクワクするなとも感じています。世界中でこれだけ浸透しているので、日本でのポテンシャルもかなりあると思うんですよ。ただ怖い部分もあって、大きな機会だとは思いつつも、まったく受け入れられない可能性だってありますからね。

ーーライブコマース市場は、日本と世界とでまったく状況が違うんですね。

ジョセフ:日本文化は本当に独特で、世界中どこを探しても見当たらない、唯一無二の文化なんですよ。日本にはスマートなアイデアが数多く存在し、しかもすごく完璧主義かつクリエイティブな方も多い。

 私なりに分析した日本でライブコマースが定着しづらい理由ですが、ライブコマース産業はトライアンドエラーの段階で、不確定要素が多く含まれているからではないでしょうか。これだけ品質や完璧さにこだわる文化があるので、ある程度不確定要素を排除しないと、日本では根付きにくいのではないかなと考えています。

 Vライバーは、日本ではもちろん世界中で人気ですから、わかりやすいですね。そのなかで私たちがなにをすべきかというと、まずぱっと見ただけでおもしろそうという魅力はすでにあるので、それを評価してより丁寧に魅力を説明し、広めていくことだと思います。時間がかかることなので、根気よく進める必要がありますね。

ーーありがとうございます。それでは次に、短期的な目標として2024年のうちにクリアしておきたいことを教えてください。

ジョセフ:CEOとしての責任は、株主を含めた関係者の方々への“価値”を創造していくことなので、今年のKPIと言われればビジネスを順調に伸長させることは当然クリアしなければなりませんね。同時に、創設者としてのKPIで言えば、「ワクワク感」と「リアル」を提供することと、人と人との繋がりを作ることです。

 いま立てている目標の1つに、「同じ人と再度話す度、その人の幸福度を上げる」というものがあります。最近ライバーさんや事務所・エージェンシーの方、17LIVEユーザーと話す機会があると、17LIVEの課題や要望を聞くようにしているんです。そこでキャッチアップしたことを改善して、年内にまた別の機会で同じ人ともう一度話をするときに、改善したことによって彼らがより幸せそう、楽しそうにしていたら、この目標は達成されたと言っても良いと考えています。17LIVEに対しての好感度を上げることが私の目標の1つです。

ーーそれでは最後に17LIVEユーザーへ向けて、今後どんなところに注目してほしいか、CEOとしてのメッセージをお願いします。

ジョセフ:今後17LIVEはよりワクワクするコンテンツを提供できるプラットフォームにしていきたいと思っています。私自身も1日4〜6時間ほどライブ配信を見ている一ユーザーとして、このプラットフォームを楽しんでいますので、同様のワクワクを皆さんと共有したいと思っています。楽しく感じられるはずですから。

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