サッカーファンにとって、現代は海外サッカーもネット経由で気軽に視聴できる、夢のような時代だ。一方で、リーグや大会ごとにライブ配信プラットフォームが異なり、契約が煩雑になってしまうだけでなく、すべて契約するとサブスク代もなかなかの額になってしまうという悩みがある。そんな悩みを多くの局面で解決してくれそうなのが、欧州リーグや日本代表戦などの一部試合の生中継をはじめ、今年から「ABEMA de DAZN」、「ABEMA de WOWSPO（商品名：WOWSPO）」を展開する『ABEMA（アベマ）』だ。

　「ABEMA」は、2022年8月より生中継を開始した「プレミアリーグ」を皮切りに、2023年2月より「ブンデスリーガ」や日本代表戦など、注目試合を一部無料で生中継。そして「ABEMA de DAZN」は、ABEMAがスポーツ・チャンネルDAZNと展開するサービスで、DAZNが放映権を持つ国内外のサッカー注目試合を一部無料で視聴可能。さらに「ABEMA de WOWSPO（商品名・WOWSPO）」も同様に、「WOWOW」で配信している各競技の世界最高峰の国際大会や海外リーグなどをABEMAで視聴できるという画期的な取り組みとなっている。

世界のサッカーがABEMAに集約される

　さまざまなサッカーの試合がABEMAに“集約”されるという意味では、既存のサッカーファンはもちろんのこと、サッカーには興味があっても「どこで観ればいいのかわからない」という層にこそ恩恵があるだろう。なにしろ、ピックアップされた注目試合をライブかつ無料で視聴できるのだから、初心者ならではのハードルはすべて排除されていると言っていい。

　それでも「興味はあっても、どう楽しめばいいのかわからない」ということもあるだろう。スポーツ観戦自体が初心者の場合は、なおさらだ。そこで、元Jリーガーでサッカー解説者の林陵平氏は、「推しチームを作る、選手名鑑やSNSを活用する、試合直前のメンバーの確認。この3つが重要ですが、これからサッカーを観始める方は、推しチームを作ることが特に大切かと思います」と力説する。

　近年になって“推し文化”がさまざまなジャンルで確立されてきたように感じるが、ことサッカーにおいては古来より「サポーター」という形で多くのサッカーファンが“推しチーム”を時には熱烈に、時には陰ながら後押ししてきた。その文化に馴染みのない人たちからすると、もしかしたら「熱狂的すぎて怖い」という印象もあるかもしれないが、大多数はただ純粋に特定のチームへの愛を貫く人々だ。

　また、林氏は「推しチームになるきっかけは、好きな選手がいる、チームカラーが格好良いなど、どんな些細なことでもいいと思います。ぜひ推しチームを作って週1で観る習慣を作ってみてください」と、“推しチーム作り”を推奨する。サッカーは基本的に1チームが1週間に1〜2試合を戦い、その結果によって喜びや悔しさが共有される。勝てばストレートにうれしく、負けても悔しさが次の試合へのエネルギーになり、次の1週間を頑張れる――。“推しチーム”の存在は、結果いかんにかかわらず日々の活力となり、おおげさではなく人生を豊かにしてくれるだろう。

サッカー観戦の入口におすすめしたい、遠藤航所属リヴァプールの一戦

　さて、ここまで林氏の言葉も借りながらサッカー観戦の手引きのような内容をつづってきたが、手始めに視聴することをおすすめしたいのが、日本時間4月27日午後8時30分キックオフのプレミアリーグ第34節、ウェストハム対リヴァプール（ABEMAで無料生放送）だ。世界的人気チームのリヴァプールには日本代表MF遠藤航が所属しており、現在イングランド・プレミアリーグでマンチェスター・シティ、アーセナルと熾烈な優勝争いを展開中。そのなかで遠藤はレギュラーの一員としてチームを引っ張っている。

　ここまでお読みいただいた方であれば、なぜこの試合がおすすめなのか、おわかりかもしれない。日本人選手（それも日本代表のキャプテン）が在籍し、世界最高峰のリーグで優勝争いをするリヴァプールは、これからサッカー観戦を始める層にとって、“推しチーム”の有力候補になることだろう。今シーズン限りで退任するユルゲン・クロップ監督率いるチームは、アグレッシブなスタイルが特徴ということもあり、戦術に明るくなくても見ていてワクワクするという点も見逃せない。

　古豪ウェストハムとの試合はアウェイながら、クロップ監督に有終の美を飾らせたいリヴァプールにとっては必勝の一戦。そこで生まれる感情は、なによりも大切な“推しチームの思い出”になる可能性だってある。日本でも視聴しやすい時間帯ということもあり、この試合をぜひサッカー観戦への入口としてみてほしい。