アダストリア、ファッション特化のメタバース『StyMore』をオープン 語られた“デジタルファッション市場への期待”
アパレルECストア「.st(ドットエスティ)」などを手がける株式会社アダストリアは、本日よりデジタルファッション特化型のECプラットフォーム『StyMore(スタイモアー)』をオープンする。第1弾の参入企業には、株式会社サンリオが参加し、今後もさまざまな衣装を提供していく。
オープン当日の4月10日にはメディア向けの発表会も開催され、『StyMore』の概要やドットエスティの戦略説明、サンリオとのコラボレーションが実現した経緯などが語られた。
〈登壇者〉
株式会社アダストリア執行役員 マーケティング本部長 兼 ドットエスティ事業本部長 田中順一氏
同 メタバースプロジェクト責任者 兼 ドットエスティメディア部長 島田 敦史氏
株式会社サンリオ 事業戦略本部デジタル事業開発部 ゼネラルマネジャー 町田 雄史氏
2030年に一大マーケットに? アダストリアが見据える未来のデジタルファッション市場
アダストリア(およびドットエスティ)は、これまでも積極的にメタバースでのアパレル展開をおこなってきた。2022年7月のメタバースプロジェクト発足以降、8つのブランドからデジタルファッションを販売しており、ユーザーの間でも好評を博している。
また同社は2022年にオリジナルアバター「枡花 蒼(ますはな あお)」「一色 晴(いっしき ひより)」の販売を開始。しかし、同社メタバース事業の売り上げの内訳を見ると、デジタルファッションや小物雑貨の割合が約8割を占めており、デジタルファッションの高い需要に気が付いたのだという。
アダストリア・田中氏が「2030年には大きなマーケットになるという予測のもと、力を入れている」と話すように、同社のメタバース市場予測調査によれば、日本国内のメタバース内での消費は2025年で1兆円、2028年には3兆円を越える市場になるという。将来を見据えてのプラットフォーム参入というわけだ。
一方で、アダストリア・島田氏は「アバターに服を着せることの難しさ」を市場全体の課題としてあげた。通常、ユーザーは購入したアバター向けの衣装を「Unity」などの3D制作ソフトで“着せて”使用する。これは自由度の高さを担保する反面、クリエイティブツールに明るくないユーザーにとっては難易度が高く、参入の障壁となっていた。
『StyMore』では、購入した衣装をスマートフォンアプリ『MakeAvatar』を用いてアバターに簡単に着せることができ、そのまま『VRChat』などのプラットフォームへアップロードも可能。購入した衣装を気軽に着替えられることで、より市場の拡大に寄与する狙いだ。
コーポレートショップ第1号は一大VRイベントなども手がけるサンリオ
コーポレートショップ第1号として参入した株式会社サンリオは、『VRChat』で開催されるイベント『SANRIO Virtual Festival』を手がけるなど、メタバース事業に積極的な企業だ。前回開催された『SANRIO Virtual Festival 2024 in Sanrio Puroland』ではアダストリアとも手を組み、コラボアパレルをリアルとバーチャルの双方で展開している。
こうしたコラボレーションが実現したきっかけについて、サンリオ・町田氏は「もともとはアダストリアさんにお声がけいただいて交流が始まった。コミュニケーションをとる中で熱量を感じたことと、「共通点として『クリエイター寄り添い型』の取り組みを前提としていることで意気投合した」と語った。
もともと自社IPのコラボレーションに積極的なサンリオと、アダストリア・田中氏が発言したように「とにかくやってみよう」という社風があるアダストリア。どちらもそうした積極性に加えて、コミュニティとの繋がり、クリエイターを中心とした「UGC(User Generated Content:ユーザー作成コンテンツ)」へのリスペクトを持っている企業だ。手を組むことはある種必然だったといえる。
『StyMore』は本日より利用でき、出店企業・クリエイターの募集も随時おこなわれている。今後さらなるIPコラボをおこなっていく計画も明らかにしており、どんな衣装がラインナップされるか、楽しみにしたい。
クレジット:アダストリア ファッション特化型メタバースプラットフォーム発表会
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